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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

チェンバーミュージックガーデン オープニング 堤 剛プロデュース

2022年06月09日 | pocknのコンサート感想録2022
6月4日(土)CMGオープニング 堤 剛プロデュース 2022
~Cl:吉田誠/Vc:堤剛/Pf:小菅優~
~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2022~
サントリーホール(小)ブルーローズ

【曲目】
1.シューマン/キルヒナー 編/カノン形式による6つの小品 Op.56~ 第1、2、4、6曲
2.ブラームス/クラリネット三重奏曲イ短調 Op.114
3.藤倉大/『Hop』クラリネット、チェロ、ピアノのための(2019)
4.フォーレ/ピアノ三重奏曲ニ短調 Op.120
【アンコール】
♪ シューマン/6つの小品 Op.56~ 第4曲アダージョ

毎年恒例のサントリーホールチェンバーミュージック・ガーデンのオープニングコンサート。ホール館長も務める堤剛のプロデュースで、名手3人による親密でエキサイティングな演奏を楽しんだ。

一番感銘を受けたのはシューマン。当時開発された足鍵盤付きピアノのための曲集を、キルヒナーが室内楽用に編曲した版。解説には「対位法の研究の成果が反映された曲集」と書かれてあり、第1曲は生真面目な対位法を駆使した印象が強かったが、その他の曲はカノンを織り交ぜながら歌と詩情に溢れ、いかにもシューマンらしい名品揃い。3人のプレイヤーは、深い呼吸でしっとり大きくこれらの音楽を包み込み、「歌」を温かく紡いでいった。どの曲も幻想小曲集の一曲のような魅惑の作品で、シューマンにはまだ知らない名品がたくさんあることを知った。

藤倉がサントリーホール他の委嘱で作曲した「Hop」も面白かった。スピード感があり生命力に満ちた作品。各パートがそれぞれ積極的に働きかけて、何かをたくらんでいるよう。堤の果敢な攻めが他の2人に火をつけている印象。ただ、これといった決め手が感じられず、どこかで聴いた曲のような印象だったが、3人の動きが落ち着いて静かなハーモニーを奏でる辺りからオリジナリティが感じられ、宇宙空間を彷徨うようなファンタジックな響きを聴かせた。3人のアンサンブルによる澄んだ響きが不思議な美しさを醸し出していた。

ブラームスとフォーレのトリオは、どちらも懐が深く、アクティブな演奏を聴かせた。堤は多くのシーンで頼もしい存在感を示し、アンサンブルにくっきりとした輪郭線を与え、吉田のクラリネットの、とりわけ弱音での磨きのかかった繊細な美しさは格別、小菅はアンサンブル全体を常に見据えつつ、自分のあるべき姿を確実にアピールしていた。

フォーレのトリオは、原曲ではクラリネットではなくヴァイオリンだが、プログラムノートによると、フォーレは当初クラリネットを用いる構想だったという。ただクラリネット版は、クラとチェロの音色がなぜか似通って、響きの多彩さに物足りなさを感じ、フォーレがやっぱりヴァイオリンにした理由がわかった気がした。

こじんまりしたブルーローズの会場に、感染対策を呼びかけるアナウンスが何度も流れた。「マスクをしていないお客様はご鑑賞頂けません」とまで。おまけにスタッフが客席を回りマスク着用の呼びかけ。全く声を発しない演奏中にマスクの効果なんてまずないのに、ここまで徹底されると演奏会に臨む気分が損なわれる。時差退場も必要ないし、おかげで帰りがけに声をかけようと思っていた友人を見失ってしまった。いい加減通常モードで演奏会を楽しみたいものだ。

武満&メシアン(チェンバーミュージック・ガーデン2021) 2021.6.11 ブルーローズ
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