7月14日(火)上野星矢(Fl)/須藤千晴(Pf)
~浜離宮ランチタイムコンサートvol.198~
浜離宮朝日ホール
♪リムスキー=コルサコフ/熊蜂の飛行
♪グノー/アヴェマリア
♪ヴァヴィロフ/カッチーニのアヴェマリア
♪ピアソラ/アヴェマリア
♪イベール/フルート独奏のための小品
♪フランク/ヴァイオリンソナタ~第4楽章
♪ ♪ ♪
♪坂本龍一/シェルタリング・スカイ、レイン、戦場のメリークリスマス
♪バッハ/ 無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013
♪ボルヌ/カルメン幻想曲
【アンコール】
♪ 坂本龍一/東風(Tong Poo)
これも演奏会中止の嵐のなかで見つけたコンサートのひとつ。フルーティスト、上野星矢との出会いは12年前、芸大生時代の藝祭公演。そこで聴いたバッハが好印象で名前を覚えた。その後の躍進は目覚ましく、今や世界を舞台に活躍するフルーティストである。CD「万華鏡」は愛聴していて、このリサイタルはリアルな今の上野さんの演奏に触れる絶好の機会となった。
チケットは完売ということだったが空席は多く、自分の指定座席以外にも座れる席を設けてくれていたのは親切な対応(僕は2階の指定座席に座った)。バッハから坂本龍一まで、時代やジャンルを飛び越えた多彩なプログラムで、ソフトな声と語りによるMCを挟みつつコンサートを進め、聴衆を楽しませてくれた。
冒頭は超絶技巧で有名な「熊蜂の飛行」。とても滑らかで自由に飛び回り、超絶技巧曲であることを忘れてファンタジーの世界へ聴き手を誘ってくれたが、今日のコンサートで伝わって来た上野のフルートの一番の魅力は、心温まる優しい歌だった。
コンサートのテーマは「祈り」。今の状況下で安らぎを届けたいという思いから選曲を考えたとのこと。それを最も象徴的に伝えたのが、3人の作曲家による3つの「アヴェ・マリア」。ここで奏でるフルートは、ヴィブラートを抑え、優しく愛撫するように穏やかで親密。長くて深い息遣いでトラヴェルソを思わせるような温かな音色のメロディーが聴き手の心に沁みて来た。
この特徴は他の曲目でも示されていた。流麗でファンタジックなイベールの「小品」からも「祈り」が感じられたし、ドラマを秘めるフランクのソナタからは、エキサイティングな刺激は少なかったが、ピアノとの有機的な対話から詩情溢れるしっとりした佇まいが伝わってきた。
坂本龍一の映画音楽も、伝えるメッセージは瞑想や祈りではないだろうか。演奏から、そして非売品だった譜面をどうしても欲しくて、ネットオークションで競り落としたというMCで語ったエピソードからも、上野の坂本作品への深い共感が窺えた。また、バッハの音楽には器楽曲であっても「祈り」がある。上野が一音一音奏でる度に、暗闇を天使が飛び回りながら暖かく淡い光を一つずつポッと灯していくようなシーンが浮かんで来た。
このように今日の演奏会では終始安らぎや暖かさが伝わってきた。一方で刺激という点では少々物足りなさを感じた。「カルメンファンタジー」も比較的大人しい演奏に感じたし、バッハではもう一歩踏み込んで高みへ上って欲しいとも思った。当初の曲目として武満のVOICEが挙がっていたが、激しい息や発声が入るこの曲は、状況が状況だけに聴衆に不安を与える心配から曲目を変更したとMCで紹介された(イベールも良かったが、せっかく武満をやるはずだったので「エア」を聴きたかった)。VOICEの触りだけやってくれてその激しさの一端を体験したが、これがあったら全体の印象がまた少し違ったかも知れない。
東京二期会スペシャル・オペラ・ガラ・コンサート 2020.7.11 東京文化会館
広上淳一指揮 日本フィル/再開定期公演:ブラ1 2020.7.10 サントリーホール
読響 特別演奏会(鈴木優人指揮「ジュピター」ほか) 2020.7.5 東京芸術劇場
今こそ音楽を!弦楽六重奏の喜び 2020.6.23 ハクジュホール
超久々にコンサートを聴いて(江口 玲&川口成彦 ピアノリサイタル) 2020.6.19 紀尾井ホール
新型コロナウイルスによるコンサート中止に思う 2020.3.21
芸大バロックゾリステン 第1回演奏会(藝祭公演) 2008.9.6 第6ホール
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
「星去りぬ」~フルートとギターのための~(Fl:佐々木真/G:岩永善信)、第1行進曲「ジャンダルム」ほか
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け
~浜離宮ランチタイムコンサートvol.198~
浜離宮朝日ホール
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【アンコール】
♪ 坂本龍一/東風(Tong Poo)
これも演奏会中止の嵐のなかで見つけたコンサートのひとつ。フルーティスト、上野星矢との出会いは12年前、芸大生時代の藝祭公演。そこで聴いたバッハが好印象で名前を覚えた。その後の躍進は目覚ましく、今や世界を舞台に活躍するフルーティストである。CD「万華鏡」は愛聴していて、このリサイタルはリアルな今の上野さんの演奏に触れる絶好の機会となった。
チケットは完売ということだったが空席は多く、自分の指定座席以外にも座れる席を設けてくれていたのは親切な対応(僕は2階の指定座席に座った)。バッハから坂本龍一まで、時代やジャンルを飛び越えた多彩なプログラムで、ソフトな声と語りによるMCを挟みつつコンサートを進め、聴衆を楽しませてくれた。
冒頭は超絶技巧で有名な「熊蜂の飛行」。とても滑らかで自由に飛び回り、超絶技巧曲であることを忘れてファンタジーの世界へ聴き手を誘ってくれたが、今日のコンサートで伝わって来た上野のフルートの一番の魅力は、心温まる優しい歌だった。
コンサートのテーマは「祈り」。今の状況下で安らぎを届けたいという思いから選曲を考えたとのこと。それを最も象徴的に伝えたのが、3人の作曲家による3つの「アヴェ・マリア」。ここで奏でるフルートは、ヴィブラートを抑え、優しく愛撫するように穏やかで親密。長くて深い息遣いでトラヴェルソを思わせるような温かな音色のメロディーが聴き手の心に沁みて来た。
この特徴は他の曲目でも示されていた。流麗でファンタジックなイベールの「小品」からも「祈り」が感じられたし、ドラマを秘めるフランクのソナタからは、エキサイティングな刺激は少なかったが、ピアノとの有機的な対話から詩情溢れるしっとりした佇まいが伝わってきた。
坂本龍一の映画音楽も、伝えるメッセージは瞑想や祈りではないだろうか。演奏から、そして非売品だった譜面をどうしても欲しくて、ネットオークションで競り落としたというMCで語ったエピソードからも、上野の坂本作品への深い共感が窺えた。また、バッハの音楽には器楽曲であっても「祈り」がある。上野が一音一音奏でる度に、暗闇を天使が飛び回りながら暖かく淡い光を一つずつポッと灯していくようなシーンが浮かんで来た。
このように今日の演奏会では終始安らぎや暖かさが伝わってきた。一方で刺激という点では少々物足りなさを感じた。「カルメンファンタジー」も比較的大人しい演奏に感じたし、バッハではもう一歩踏み込んで高みへ上って欲しいとも思った。当初の曲目として武満のVOICEが挙がっていたが、激しい息や発声が入るこの曲は、状況が状況だけに聴衆に不安を与える心配から曲目を変更したとMCで紹介された(イベールも良かったが、せっかく武満をやるはずだったので「エア」を聴きたかった)。VOICEの触りだけやってくれてその激しさの一端を体験したが、これがあったら全体の印象がまた少し違ったかも知れない。
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