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山口徳花(Vc) Solo Bach Project – Vol.6

2020年12月30日 | pocknのコンサート感想録2020
12月28日(月)山口徳花(Vc & 解説)
Solo Bach Project – Vol.6【LC17】
ガルバホール新宿

【曲目】
♪ バッハ/無伴奏チェロ組曲 第3番ハ長調 BWV1009
♪ バッハ/無伴奏チェロ組曲 第6番ニ長調 BWV1012より「アルマンド」


数年来、僕が注目しているチェリスト、山口徳花さんのソロを聴きに新宿のガルバホールへ。山口さんが近年プロジェクトとして取り組んでいるバッハの無伴奏チェロ組曲の発表の一環として、これまで配信のみだった公開が、聴衆を入れてのライブ配信で行われた。会場のガルバホールはガウディのアートが施された趣のある空間。豊かで落ち着いた響きが会場を包み込み、音響もとても優れている。

そんななかで行われた山口さんのライブは、バッハの無伴奏チェロ組曲第3番の一本勝負。組曲を構成する6つの楽曲を一つずつ、ピアノを使った解説を挟みながら進んで行った。冒頭のプレリュードが朗々と鳴り響いた。即興性も感じられる攻めのアプローチで聴き手を惹きつける。山口さんの演奏は一貫して能動的で、それぞれの楽曲のキャラクターを的確に捉えつつ、奇をてらうことなく着実に音楽の持つ魅力を誠実に伝えて行った。このあと、YouTubeで順次公開している「バッハ無伴奏プロジェクト第32回目」として、第6番からアルマンドも演奏してくれた。こちらは深く思索に満ちた演奏だった。この演奏は期間限定でYouTubeに公開されている。

僕はとにかくリアルで音楽を聴くことにこだわっている。今日ここでライブを聴き、全身でチェロが会場の空気を震わせる振動に包まれる感動を味わった。やり直しなしのライブ演奏なので、音のカスレなどが時おり入ることもあるが、これも演奏者の能動的な挑戦の証、醍醐味としてプラスに捉えることができるのもライブの良さだろう。

楽曲ごとに入った山口さんの解説は、作品の成り立ちや楽曲の特徴、チェロという楽器の特性との関係、アーティキュレーションをどういう理由でどのように決定するか等々興味は尽きず、実際の演奏を聴くうえで大いに役立った。解説をする際に弾いてくれた山口さんのピアノがまた絶品で、思わず聴き入ってしまったりもした。解説を聴いて、山口さんがいかに真摯に作品に向き合っているかということも改めて感じることができた。

話を聞いていたら、更に、組曲を構成する舞曲本来の特徴が実際のバッハの作品にどんな風に表れているかとか、バッハにとって常に作品の根底にある信仰が、この組曲にも隠されているかとか、単旋律の楽曲に存在する隠れた「対旋律」について、紹介してくれた第2ブーレ以外での解釈など、更なる興味が膨らんだ。

山口さんは常に新たな課題を自ら課しつつ日々着実に成長している。これからの活動も応援しつつ見守って行きたい。

バッハ無伴奏プロジェクト第32回目の動画(第6番よりアルマンド)

(過去の演奏会の感想)
佐原詩音・會田瑞樹・山口徳花 トリプルコンサート 2020.9.13 ブックハウスカフェ・ひふみ座
Duo Axia (Pf:伏木唯 & Vc:山口徳花)2020.2.19 渋谷ホール
笠井誠一展記念コンサート ~山口徳花&守重結加 デュオ~ 2018.10.7 練馬区立美術館
山口徳花さんの演奏 ~ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネルより~
トリオ「森の詩」(MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
「子守歌」(Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)

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