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やっとかめ室内管弦楽団 第10回演奏会

2023年08月14日 | pocknのコンサート感想録2023
8月11日(金)出口大地 指揮 やっとかめ室内管弦楽団
  ~第10回演奏会~
杉並公会堂大ホール

【曲目】
1.シューマン/交響曲第1番変ロ長調 OP.38「春」
2.シューベルト/交響曲第8番ハ長調 D944「ザ・グレート」

4年ぶりにやっとかめ室内管弦楽団を聴いた。コロナ騒動のなかでも毎年しっかりこなしていた演奏会は都合で聴けなかったが、やっとかめはその間に更なる成長を遂げたと感じる演奏会だった。

前半はシューマン。冒頭のファンファーレが威勢よく始まると思いきや、優美に奥ゆかしく始まりハッとさせられた。暖かく柔らかな春の陽射しと、花々の香りが立ち昇るような穏やかさに包まれた開始。続いてファンファーレのフレーズをトゥッティが大きく優しく包み込むように繰り返す。やっとかめはこの開始部に限らず、がむしゃらに突き進むのではなく、豊かな表情を湛え、陰影に富んで奥行きを感じる成熟した音を伝えて行った。第1楽章の終盤に出てくる夢見心地のフレーズはクララへの呼びかけにも聴こえた。

小さなハプニングも克服し、柔らかさだけではなく随所でメリハリを効かせ、しなやかに力強く伸び伸びと春の喜びを謳歌する様子が頼もしい。対抗配置のヴァイオリン同士のやり取りも聴きものだった。こうした柔軟性を持つオーケストラだから、指揮の出口氏も細部の表情付けまで丁寧に施し、仕上げていくことができるのだろう。

後半はシューベルトの大曲。アマオケは取り上げることが少ないと思うが、これはやっとかめの持ち味を生かせる選曲だと感じた。これまでソロだと思っていた冒頭のホルンがa2だとわかったのはご愛敬として(ホルンは目立たないところでも終始しっかりと役目を果たしていた)、丁寧に要所を押さえ、表情豊かで伸び伸びとした演奏を繰り広げた。第2楽章では、叙情的できめ細かな表現の巧さと(オーボエのソロも詩情を醸し出していた)、しっかりとした足取りでリズムを刻む勇ましさがそれぞれ明確に描かれていた。

全曲を通して出口/やっとかめは、シューマンが「天国的な長さ」と評したというこの長大なシンフォニーを臆することなく、力まずに全体を大きく捉えて、大らかにまとめ上げた。ここまでのレベルに達しているアマチュアオケには更に望みが高くなってしまって恐縮だが、ここぞという場面での炸裂する勢いがあると、一層この曲の大きさが伝わってくるのではとも感じた。やっとかめのこれからに益々期待したい。

やっとかめ室内管弦楽団 第6回演奏会 2019.8.12 杉並公会堂
やっとかめ室内管弦楽団 第5回演奏会 2018.6.9 小金井宮地楽器ホール
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