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日本初の春画展へGO!!

2015年12月20日 | pocknの気まぐれダイアリー
12月19日(土)

日本初開催という話題の春画展を遅ればせながら観てきた。日本の春画を特集した展覧会は、ヨーロッパでは大々的に開かれて評判になっているそうだが、春画のルーツであるにもかかわらず、日本での春画展の開催にはかなりの紆余曲折があったらしい。

名のある美術館が春画展の実施にどこも難色を示すなか、目白台にある昭和初期に建てられた細川家の歴史的建造物でもあり、博物館として使われている永青文庫の館長の細川護煕氏(元総理)が開催を快諾したとのこと。エライ!

土曜日の夕方、暗いなかを会場までチャリで行ってビックリ!これまで永青文庫で行われる美術展には何度か出かけたことがあるが、日曜日の昼間に行ってもいつも閑散としていた。それが今日は入口前に長い行列ができていた。

それでもこの時間になって列はかなり短くなっていた模様。展示室でも隣の人と隙間もないくらいの大盛況。永青文庫の古い建物の床が抜けはしないかと心配になるほど。3フロアからなるそれほど大きくはない展示室に、全部で130点以上の作品が全国から、そして大英博物館などからも集まり、質も量も充実していた。全部見るのに2時間以上かかった。じっくりと春画を観た感想は…

春画はこれまで本では見たことがあったが、実物を観るのは初めて。そして、「百聞は一見にしかず」とはこんな時にこそ声を大にして言いたい!と思った。ホンモノが与えるインパクトはそれほど強烈だった。それは芸術としてのインパクトと、性的なインパクトのどちらにおいても。報道などでは春画の高い芸術性が強調されている。北斎や歌麿、春信などの手による作品、更に時代を遡って描かれた肉筆画の数々は、確かに芸術的に見ても極めて高いレベルだ。しかし、それと同時にワイセツ性だってハンパじゃあない。性行為の描写は実にリアルだ。ここでは芸術とワイセツが両立している。

一本一本丁寧に描かれた髪の毛、細やかな顔の表情や浮世絵では珍しい陰影のある色彩、指先まで繊細に描かれた手足の様子、色鮮やかで細かい模様の衣装、部屋の調度品から、果ては花や木などの外の風景など、全てが緻密で、構図も線描も色彩も調和が取れていて、息を呑むほど精巧で美しい。まさしく最高級の芸術作品。

しかし、これらが単なる風景画や人物画と決定的に異なるのは、全ての絵の主題がセックスであるということ(春画なので当たり前だが)。つまり、髪の毛や顔の表情、手足の細かい描写などはもちろん、背景に描かれた花や木に至るまで、全てが観る人にセックスという行為をより強く印象づけるための「演出」になっているのだ。浮世絵の巨匠と言われている絵師たちによる春画が観る人を引きつけるのは、単に絵として芸術性が高いだけではなく、全てのモチーフを巧みにセックスに結びつけてしまうセンスと腕前を持ち合わせていたからではないだろうか。そこがまた凄い。

僕は美術展では人一倍時間をかけて観る方なので、いつもは他の人達にどんどん抜かれて行くのだが、今日は他の人達とほぼ同じペースで回っていた。つまり、みんなが他の美術展よりも一枚一枚の絵に時間をかけてじっくり凝視していたということだ。それがこの混雑を作る一因でもある。人の本能に直結した、そして人類の存続には欠かすことができない行為を描いた絵が、いかに観る人の興味・関心、共感を得るかを物語っているではないか。

セックスへの興味が後退していると言われることも多い若い世代の人達が大勢来ていたことも心強い(女性の方が多い)。彼ら・彼女らはみんな真面目な顔で絵に見入り、結構きわどいコメントを自由に述べ合っていた。このように真面目な人たちがセックスに対してオープンな気持ちで向き合うことができる機会は貴重だ。カップルもたくさんいたが、展覧会のあとホテルに直行しちゃったカップルも結構いたかも… 

そこで大真面目に言いたい。この春画展は、今後もっと大々的に日本全国でやるべきだ。世界に誇れる芸術作品でも、観ることが出来てこそ価値がある。それに、美術館は絶対に儲かるし、若い人たちが共感すれば、少子化対策にも貢献するに違いない。今回の会期は12/23まで。できるだけ多くの人に観てもらいたい!と思い、急いでブログで紹介した。ちなみにこの展覧会は18禁。

永青文庫の春画展ホームページ

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