9月6日(火)日韓音楽交流 STEEL & STRINGS CONCERT
紀尾井ホール
【曲目】
1.フォーレ/夢のあとに
2.タルレガ/アルハンブラ宮殿の思い出
3.シューベルト/アルペジョーネ・ソナタ
4.シューベルト/ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調D929(Op.100)~第2楽章
5.フォーレ/ピアノ四重奏曲第1番ハ短調Op.15
【アンコール】
1. ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
2.ローラン・ディアンス/タンゴ・アン・スカイ
【演奏】Gt:大萩康司/アンサンブルDITTO(Vn:ステファン・ ジャッキウ/Vla:リチャード・ヨンジェ・オニール/Vc:マイケル・ニコラス/Pf:ジ・ヨン)
新日鐵とボスコが日韓交流事業としてシリーズで行っている招待コンサートに応募して招待券をもらった。韓国のイケメンピアノカルテットと日本の売れっ子ギタリストによる多彩なプログラム。どれも初めて聴くアーティスト。
入口で引き換えた座席券の番号を見てちょっとがっかり… 自分では絶対選ばない2階サイドのバルコニー席だった。ここはステージがほぼ半分見えない上に、見えないところの音は聴こえも悪い。紀尾井ホールは好きなホールだが、2階サイドは本当に良くない。これはオペラシティも同じ。
前半は辛うじて演奏者が視界に入った。「夢のあとに」はオニールのヴィオラによる演奏。息の長いデリケートな歌が紡がれ、しっとりしたいい演奏だった。大荻の「アルハンブラ」は柔らかなトレモロの調べが郷愁を誘ったが、ベースの響きが妙に不揃い。開放弦とフレットを押さえたときの、ギター特有の響きかとも思ったが、同じ音程の響きがばらつくのはちょっと気になった。
再びヴィオラのオニールが登場して、アルペジョーネソナタ。チェロとピアノの演奏を聴き慣れているせいか、ヴィオラとギターのデュオは、よりデリケートな感覚が大切にされていると感じた。この曲の伴奏はピアノよりギターが合うかも。ソロでは気になったギターのベース音のバラツキも、ここでは気にならなかった。デリケートで息の長い、そしてアクティブな表情も覗かせた「アルペジョーネ」だったが、更に大胆に迫ってくる場面も欲しかった。
後半の最初もシューベルト。ここで演奏のテンションが俄然上がった。明晰なタッチのヨンのピアノ伴奏に乗って、ヴァイオリンのジャッキヴとチェロのニコラスがクリアな音で深く切り込んでくる。メロディーは凛とした気高さを持って語りかけてくる。高いテンションは弱音でも緩むこなく、静謐な佇まいを呈しつつも、内に熱いものを秘めるこの曲の魅力が十二分に表情されていた。これは是非同じ演奏で全曲を聴いてみたい。
最後の曲で初めて「アンサンブルDITTO」のメンバーが揃ったフォーレは、このコンサートの頂点。4つの波が合わさり、ひとつの大きな波をつくる。波は、生きているようにしなやかにうねり、しぶきを上げる。そのしぶきの細かい飛沫が、光を受けて輝いている、というイメージ。この波はコントロールを失った怒涛ではなく、大きな潮流が底を流れているように全体がしっかりコントロールされている。
柔軟で力強く、適度な湿感を持ちつつ透明感があり、気高く美しいフォーレ!終盤は酸素をいっぱい吸い込んで勢いを増し、鮮やかなフォームで駆け抜ける様子にドキドキした。見事なエンディング!ジャッキヴのヴァイオリンの伸びのある美しい音はとりわけ心を捉えたが、4人各々が魅力的な歌を奏で、洗練されたアンサンブルを作り上げていた。チェロは席から見えなかったが、心配していた音の聞こえ方は問題なかったと思う。
アンコール2曲目は、ギターの大萩も加わって5人によるタンゴで決めた。
全く知らなかった「アンサンブルDITTO」だが、これは今後も要チェックアーティストだ。
紀尾井ホール
【曲目】
1.フォーレ/夢のあとに
2.タルレガ/アルハンブラ宮殿の思い出
3.シューベルト/アルペジョーネ・ソナタ
4.シューベルト/ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調D929(Op.100)~第2楽章
5.フォーレ/ピアノ四重奏曲第1番ハ短調Op.15
【アンコール】
1. ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
2.ローラン・ディアンス/タンゴ・アン・スカイ
【演奏】Gt:大萩康司/アンサンブルDITTO(Vn:ステファン・ ジャッキウ/Vla:リチャード・ヨンジェ・オニール/Vc:マイケル・ニコラス/Pf:ジ・ヨン)
新日鐵とボスコが日韓交流事業としてシリーズで行っている招待コンサートに応募して招待券をもらった。韓国のイケメンピアノカルテットと日本の売れっ子ギタリストによる多彩なプログラム。どれも初めて聴くアーティスト。
入口で引き換えた座席券の番号を見てちょっとがっかり… 自分では絶対選ばない2階サイドのバルコニー席だった。ここはステージがほぼ半分見えない上に、見えないところの音は聴こえも悪い。紀尾井ホールは好きなホールだが、2階サイドは本当に良くない。これはオペラシティも同じ。
前半は辛うじて演奏者が視界に入った。「夢のあとに」はオニールのヴィオラによる演奏。息の長いデリケートな歌が紡がれ、しっとりしたいい演奏だった。大荻の「アルハンブラ」は柔らかなトレモロの調べが郷愁を誘ったが、ベースの響きが妙に不揃い。開放弦とフレットを押さえたときの、ギター特有の響きかとも思ったが、同じ音程の響きがばらつくのはちょっと気になった。
再びヴィオラのオニールが登場して、アルペジョーネソナタ。チェロとピアノの演奏を聴き慣れているせいか、ヴィオラとギターのデュオは、よりデリケートな感覚が大切にされていると感じた。この曲の伴奏はピアノよりギターが合うかも。ソロでは気になったギターのベース音のバラツキも、ここでは気にならなかった。デリケートで息の長い、そしてアクティブな表情も覗かせた「アルペジョーネ」だったが、更に大胆に迫ってくる場面も欲しかった。
後半の最初もシューベルト。ここで演奏のテンションが俄然上がった。明晰なタッチのヨンのピアノ伴奏に乗って、ヴァイオリンのジャッキヴとチェロのニコラスがクリアな音で深く切り込んでくる。メロディーは凛とした気高さを持って語りかけてくる。高いテンションは弱音でも緩むこなく、静謐な佇まいを呈しつつも、内に熱いものを秘めるこの曲の魅力が十二分に表情されていた。これは是非同じ演奏で全曲を聴いてみたい。
最後の曲で初めて「アンサンブルDITTO」のメンバーが揃ったフォーレは、このコンサートの頂点。4つの波が合わさり、ひとつの大きな波をつくる。波は、生きているようにしなやかにうねり、しぶきを上げる。そのしぶきの細かい飛沫が、光を受けて輝いている、というイメージ。この波はコントロールを失った怒涛ではなく、大きな潮流が底を流れているように全体がしっかりコントロールされている。
柔軟で力強く、適度な湿感を持ちつつ透明感があり、気高く美しいフォーレ!終盤は酸素をいっぱい吸い込んで勢いを増し、鮮やかなフォームで駆け抜ける様子にドキドキした。見事なエンディング!ジャッキヴのヴァイオリンの伸びのある美しい音はとりわけ心を捉えたが、4人各々が魅力的な歌を奏で、洗練されたアンサンブルを作り上げていた。チェロは席から見えなかったが、心配していた音の聞こえ方は問題なかったと思う。
アンコール2曲目は、ギターの大萩も加わって5人によるタンゴで決めた。
全く知らなかった「アンサンブルDITTO」だが、これは今後も要チェックアーティストだ。