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東京・春・音楽祭2023 ベンジャミン・ブリテンの世界 Ⅴ

2023年04月05日 | pocknのコンサート感想録2023
4月2日(日)ベンジャミン・ブリテンの世界 Ⅴ
~東京・・音楽祭 2023~
20世紀英国を生きた、才知溢れる作曲家の肖像
東京藝術大学奏楽堂


1.チェロと管弦楽のための交響曲 Op.68
2.シンフォニア・ダ・レクイエム Op.20
3.青少年のための管弦楽入門 Op.34
【出演】
Vc:辻󠄀本 玲/レクチャー&指揮:加藤昌則/ナレーション:中嶋朋子/管弦楽:BRTオーケストラ


東京春祭で毎回組まれているブリテン特集の演奏会を去年に続いて聴いた。今年は集大成ということで、大規模管弦楽曲が取り上げられた。客席の入りは3分の1程度。

「チェロと管弦楽のための交響曲」の演奏の前、加藤氏の解説に辻本氏がソロパートのいくつかの部分を実演で示してくれ、分かりやすかっただけでなく、気合いの入った演奏が本番への期待を高めた。この作品は恐らく初めて聴くが、厳しさ、孤独、憧れ、華やかさなど、様々な要素で構成された壮大な作品。辻本は、研ぎ澄まされた感性で機敏で柔軟に作品に向き合い、音色は艶やか。ふくよかな叙情と激しい燃焼を併せ持った雄弁な演奏で作品の魅力を伝えた。カデンツァも聴きものだった。

続く「シンフォニア・ダ・レクイエム」では加藤氏が、中嶋朋子さんへレクチャーを行う形で作品解説をして演奏に入った。チェロ交響曲でもいい響きでアクティブな演奏を聴かせた特別編成のBRTオーケストラが、ここでもパワー溢れる演奏で強いメッセージを伝えた。この曲は、元々は皇紀2600年の記念として日本政府から委嘱を受けて作曲されたものの、不吉なタイトルのために受理されなかったということだが、第2曲からは生き生きした音楽が聴こえ、終曲からは能動的な生きる悦びが伝わって来た。

最後はおなじみの「青少年のための管弦楽入門」を、オリジナルに加藤が書き加えた原稿を中嶋のナレーションで聴いた。この曲をナレーション付きで全曲聴く機会は貴重で、オーケストラの各楽器のソロ、楽器群でのアンサンブル、そしてトゥッティの魅力がよく伝わった。ナレーションの中嶋さん、レクイエムのトークではボキャ貧ぶりが気になったが、ここでは聞きやすい良いナレーションで、各楽器や楽器群の特徴を実感できた。

そして加藤/BRTオーケストラの雄弁さと豊かなサウンドにも魅了された。伸びと艶のある弦、柔らかく、かつくっきりした木管、金管群はとりわけ素晴らしく、重厚かつ輝かしいしなやかな響きは立体的で奥行きがあり貫禄十分だった。最後のトゥッティによるフーガがゴージャスにパワフルに鳴り響き、ストイックで厳しいイメージがあるブリテンの別の持ち味も楽しむことが出来た。

ベンジャミン・ブリテンの世界 IV~東京・春・音楽祭 2022~~ 2022.4.1 東京文化会館
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「かなりや」(詩:西條八十)

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