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人に歴史あり その1 『小野木の巻』 (ヴォーカル & サックス)

2007-08-22 13:23:51 | 人に歴史あり
小野木勉は車好きである。
どの位好きかというと、その昔、家の車を来る日も来る日も磨き上げ、その結果塗装が剥げてしまった位好きなのだった。
家庭用スプレー塗料で、自分の車を塗り替えたこともあった。
彼の車遍歴の中でも白眉なのは、黒塗りセドリックだった。
なんでも福島県知事の公用車だったとかで、座席には白いひらひらカバーが敷かれていて、それを運転する彼は、ペネロープ号を操るパーカーのようであった。
しかし難点はハイオク車だったことだ。あの独特の有鉛・夏腹・ハウンドックな臭いが車内に充満し、雨の日に乗ると、同乗者は非常にしばしば車酔いを起こしたものだ。
家業が運送屋だった彼は、冷蔵庫も洗濯機もひとりで背負うパワーと、トラックで東京~青森間を一日で往復するエネルギーを兼ね備え、「疲れを知らぬ男」と恐れられた。ところがそのパワー全開時代に、彼の身体的異変に気付いてからは、更に周囲の人々から恐れられたのである。彼は長距離運転中に深夜12時を過ぎると、その形相に変化が生じる。
皺は深くなり眉毛は吊り上がり、顔全体が赤味を帯びてくのだ。
その様子はジキルとハイドの如く、シャイニングの如く、赤頭巾ちゃんのお婆さんに化けた狼の如くである。その姿がアメリカの平原を疾走する野牛に似ていることから、「バッファロー小野木」と命名されたのだった。
現在、趣味が高じて自動車ディーラーに勤務する彼の車人生は、止まるところを知らない。
本物だけでは飽き足らない彼は長年、トミカというミニカーの収集を続けている。
休日に各地のフリーマーケットに出掛けては、家族のブースの隅で自分のオモチャを並べて売る子供を目敏く見つけては、ただでさえ安いトミカを更に買いたたくという悪逆非道なことをしている・・・かどうかは定かではないが、着実にその台数を増やしていることだけは確かであるという。

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