goo blog サービス終了のお知らせ 

When I Dream

~気侭な戯言日記~

・・・その時どうするか・・・

2006-10-30 22:22:22 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
ボクの中で燻り続ける未来への“想い”・・・その何かが毎日少しづつプレッシャーになって・・・苛立ちにも似たような“ソフトな焦り”が心の中で増殖のスピードを速めてきていた。不思議と心底から感じる不安や焦燥感と言うモノはないものの・・・同居している両親や妹と言う、現実に置かれている生活環境に対しては、全く違う次元でそれは心に重くのしかかってきていた。だがボクは、自分の本心を優先して一つの決断をしたのだった。

“そう・・・でも・・・”電話の向こうの女社長が、そこで口をつぐんで大きく深呼吸したのが解った。その後に出てくる言葉をあれこれと想像しながら、ボクは無言で静かに呼吸を整えながら待った。まずはきっと“引留め作戦”に出るだろうと思っていたボクだったが・・・“ん~残念だけど・・・仕方がないかぁ~私が無理には引留める事は出来ないし、貴方には貴方の・・・作ってゆく生き方と言うモノがあるものねぇ”・・・女社長の声のトーンに、少しがっかりしたような溜息が交じっているように思えた。“せっかく採用して頂いたのに我侭を言ってすみません”と、ボクはそう答えるしかなかった。
その後女社長は、ジョークを交えながら少し気を取り直したかのように、サバサバとした口調で、会社での女同士の人間模様や自身の苦悩・・・これから先の会社の運営をどのように考えていたかを、面接の時よりも細かく具体的に話してくれた。それは女社長なりの計画で・・・ボクの未来のポジショニングも明確に練られていて、聞いていてちょっとバツが悪くなるモノだったがボクは耳を傾けた。誇れるようなスキルがないボクを、育てようとしてくれていただろう事は・・・解っていた。だが、心の奥底から滲み出てくる気持ちを握りつぶす事はボクには出来なかった。 女社長は最後に“軌道に乗ってから・・・例の件で力を借りたくなったら電話するかもしれないけどいい?”と言って電話を切った。ボクは心からの気持ちを込めるように“もちろんです”と答えた。

電話を切った後・・・ビルの谷間をぼんやり歩きながら、空に向かってそびえ立つビルの窓に映る空や雲を眺め、ボクは目線を地上に戻して人の往来を眺めた。昼時のオフィス街はスーツ姿の人ばかりが目につく。私服に近い格好のボクは浮いているように感じた。電話を切って数分だったが、再びフリーになったボクの心はスッキリと澄み渡っていた。

取りあえずどこかで一休みしよう。ボクは頭の中の地図を開いて・・・今日一日の行動パターンを考えてみたが、いつも通りのワンパターンにしかならなくて無駄な事だった。昼時の混雑を避けるように時間を潰した後、ボクは時々行く定食屋に入った。
お腹が満たされていくと・・・“その時どうするか”・・・不意にそんな言葉が脳裏に蘇った。今では年に1度会うか会わないかになってしまった友人に言われた言葉だ。

その友人は非常に珍しい・・・占い・・・の“能力”を持っている。それはこんな感じだ。
友人なり質問者なりと喫茶店などで体面に座り、質問者が“みて欲しい”或いは“知りたい事”の質問をすると、友人は“じゃぁ・・・●●な●●って書いて”と言い、質問者が鉛筆で無地の白い紙に書くのをじっと見つめる。そして質問に対する“答え”を言ってくれる。
鉛筆で“文字”を書くその様を逆向きから眺めていると・・・何故だか解らないけど“解る”のだそうだ。ボクもその答えにはいつも驚かされた。
例えば初めて派遣登録をして働きはじめた頃・・・仕事について尋ねた時“この先1~2年で6回は変わるね”とサラッと言われた事がある。できるだけ長期でじっくり働こうと“その時は”思っていたので、少なくても1年に3回も変わる可能性があると言う事に少したじろいだ。
だが、ほぼ2年ぶりに再開した時に・・・確かに6ヶ所変わっていた。

再開したその時、再び仕事について質問をした。それが“その時どうするか”だった。
別の質問による答えが“わぁ~ちょっともの凄いかもぉ~●●君って他の人と違って靄がかかっていつも答えが解りにくいんだけど・・・いやぁ~凄いわ。靄が晴れてきているみたいでよくみえるけど・・・”と言うモノで“その時どうするか”に繋がるモノで、以前に“みてもらった事”にも通じるモノだったのだ。

もしかすると・・・そろそろそのタイミングなんじゃないのだろうか?ボクにはそう思えて仕方がなかった。もう一つの重要なキーポイントは“新しい出会いと交友関係”だった。きっとそれがボクの人生を大きく左右する事になるんだろう・・・そう思ってきた。
女社長の会社も確かに“大きな出会い”には間違いはないと思う。派遣元とは一切の連絡を絶ち、必至になってやっと見つけた会社ではある。ボクの描いている未来に“近からず遠からず”のような気もしていた。だが、交友関係やインスパイアと言う点では、ボクは心の中で大きなズレを感じていく事になった。それがボクの心の答えだと思っての決断だった。

“その時・・・”を考えながらボクは1年半前の友人との会話を思いだしていた。
“そうそう、こないだ会った時に●●君にタロットやってもらじゃない、あれビックリする程当たって旦那も驚いてたのよ”“私はやっぱり・・・●●君は占いをやるべき人だと思うのよねぇ”・・・金儲けの道具に“占い/タロット”を使いたくないしやりたくはない・・・ボクが長年そう言うスタンスでいる事を十分に承知している友人は、少し含みを残すように呟くと、コーヒーカップを両手で口に近づけながら・・・ボクを見ると小さく笑っていた。
その目は・・・何かをすでに見透かしているかのようでもあった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 什の掟:じゅうのおきて | トップ | その時どうするか Part 2 »

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。