五里霧中

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稲川淳二の怪談 首切りの掛け軸

2009-07-02 23:00:18 | 心霊・怪談

首切りの掛け軸


 この話、お若い方は知ってらっしゃるかもしれないですけどね。今もやってるんですけど、もう20何年も続いてるかなぁ、Rって番組があるんですよ、今は名前変わりましたがね、朝の番組。
 そうですねぇ、今から10何年も前の、その番組で、夏休み特集で怪奇モノやってたときの話なんですよ。
 番組で、スタジオに持ってきた、掛け軸があるんですよね。この掛け軸ってのが、実はあの?、首を斬られる絵なんですよ。その現地レポートをしたのが、三笑亭夢丸さんなんですけどね。この絵って言うのは、そうとう昔に描かれたモノで、話によると、随分本数があるそうなんです。
 掛け軸には、ちゃんと、その描かれた人の名前も載ってるそうなんですがね。でも、不思議ですよね。そんな絵、描いたってしょうがないんですよ。首を斬られる絵ですよ? 美術的な価値なんてね、ないに等しいんですよ、早い話が。
 ただ、違う意味での価値はあるんですよ。
 と言うのは、聞いてみると、形見分けに預けられてた掛け軸だっていうんですよね、その絵。
 これ、実は、大変有名な武将が死ぬ時に、その絵を残してったらしいんですよ。だから、飛んでる血はホントの血だ、なんて言われたりしてるらしいんですがね。
 で、この掛け軸をスタジオに持って来て、掛けたんですよ。
 そうして、本番が始まってしばらくすると、テレビを、見ている人から電話がきたんですよ。
「今チラッと映った瞬間に、目をつぶってたはずの武将の目が開いてる」って言うんですよ。
 1件や2件じゃないんだ。日本中から電話がかかってくる。
 それでびっくりしてね。本番中なんだけど、ずーっとテープを戻して、みんなで見直したんですよ。
 すると、本当に開いてるんだ、目が…。
 ありえないでしょ。絵ですよ、それ。つくりものじゃないんですよ。なんの仕掛けもないんですよ。
 ただ、こういう、人間が、首を斬られて死ぬ瞬間の絵があったと。で、それがようするに、幽霊のような、そのー、現象を起こすんだと言うね、話がある。そしたら、ホントに目、開いたの。
 驚きましたよ。かなり、大きくね、開いたんだ。目、ピチッと、ちゃんと開いてる。
 瞳まで描いてあるんですよ。
 凄かったですよ、スタジオ中が。当時はスタジオに観客席をもうけて、そこに、奥さんたちもいらしてましたからね。みんな「ワーワーワーワー」大騒ぎなったの。
 これね、けっこう有名な話なんですよ。
 と、そのあとで、そのレポートをした、夢丸さんに会ったら「実はあれね、その前もあったんだ」って言うんですよ。
「オレその本出してるんだ」
「じゃ、今度その本ちょうだいよ」って言ったら、師匠、くれるって。
「どういう話なの?」って聞いたら、その当時ね、毎週毎週そういう取材に、行ってたわけですよ。夏休みの企画モノで。
 河童の骨だ?、ミイラだ?、なんてやってたの。
 で、次のレポートは掛け軸だって聞いてたわけですよね。たしかあれ福島県ですよ、あの掛け軸。 
 それで、2日後に、レポートに行くってときなんですけどね、その日、師匠、仕事終わるの遅かったんだって。で、帰って来て、何気なく、マンションの、自分の住んでる階を見た。
 すると、自分の部屋に、明かりがついてるんだって。
 もう、その時刻なら、絶対に暗いに決まってるんだから、奥さん寝ちゃってるんでね。遅い時間ですからね。でも明かりがついてる。
(あぁ、明かりついてんな?、なんだまだ起きてんのかな?……)と思ってね「ただいま」って家入ってくと、
「あぁ?…」って奥さんが居る。
「なんだおまえ、まだ起きてんのか? なにやってんだよ」って聞いたら、
「なにもやってない」って言うんだって。
「どうしたんだ? 寝ないのか?」って聞いたら、
「寝られない」って言うんだって。
「なんで寝られないんだ?」って聞いたら、
「寝ようと思って、明かりを消すと、誰かが出てくんのよ」って言うんだって。
「なに言ってんだ、それおまえ、誰が出てくんだよ!」って言ったら、
「わからないけど出てくるんだ」って。
 だから何度も、寝かけちゃ起き、寝かけちゃ起き、ってやってたんだって言うんですね。
 それで、つい今しがた、さすがに、もう寝ようって思って、布団に入って電気消した。
 そうしたら、部屋ん中で“ガサゴソガサゴソガサゴソガサゴソ…”って音がするって言うんです。
(やだやだやだやだ……、また何か来てる、やだなぁ?)って思った。
“ガサゴソガサゴソガサゴソ”っていってるんだ。そのうち、身体が動かなくなって(あやややややや……やだなやだなやだな)って思ったら、いつ部屋に入ったか知らないけど、ちょんまげを結った、裃姿の、お侍のような人が、スーッと、こっちに来るんだって、自分に向かって、ずぅ?っと。
 で、そのお侍、両手を捧げてる、何かを持ってて。
 よ?く見ると、桐の箱だって言うんだ。桐の箱を両手で、こう捧げ持ってね、ずぅ?っと奥さんの方に、来る。
 びっくりしちゃって「うっ」となった瞬間に、目が覚めてみんな消えたんだそうですよ。
 でね、恐くなって、電気つけちゃったの。
「あれ、なんだろうね」
「そんなもん知らねーよ、こんなマンションの中でそんなぁ」
「いやホントなの、裃つけたお侍さんが、両手に捧げ持って、桐の箱、私のとこ、ずぅ?っと差し出したの」って言うんだって。
 で、その話を聞いて、2日目ですよ、行ったわけだ、福島。
 そしたら「こちらでお待ちください」って言うんで、夢丸さんとディレクターが待ってると、襖が開いてね、裃を着けた立派なお父さんがさ、桐の箱を両手に捧げて持ってくるんだって。ずぅ?っと。
 その瞬間に(ううっ)って思ったんだって。
(これ絶対なにかあるな)って思った。
「そしたら、やっぱ淳ちゃんさぁ、本番中に目ぇ、開いたもんねぇ……」って言ってましたよ。
 あるんでしょうね。きっとね。
 不思議なもんですよね、なんでしょうね



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1 コメント

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インパクト強し。 (Log)
2016-09-06 14:29:35
こんにちは。宜しくお願いします。
この件、リアルタイムで見ました。その時は全く気付かなかったんですが、何日か経って新聞の事件面で囲み記事になりましたよ。翌週、再度番組で紹介されましたね。
どんな立場の絵師が描いたか分かりませんが、執行側だとすれば「見せしめ」(いつまでも晒し首にはできないですから)、あるいは供養のために描いたとか。でも、供養のためなら、酷い生首を描くのもどうかと…。
大昔は、刑場とか晒し首が身近にあったようです。
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