新聞社側の言い分としては 特殊指定 をなくすと
① 戸別配達網を崩壊に向かわせる
② 読者間に価格格差や社会に情報格差を生むことになりかねない
(価格の下落と乱売が起こる)
③ 「言論、表現の自由」「知る権利」を守るため
大まかに言ってこの3点が理由になるようです。
このブログの「新聞の特殊指定について 1」で新聞社側の言い分をすべてでは
ないだろうが紹介はしましたので、今度は反対側の公取委員長の話をUP
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◇「宅配」「知る権利」、ピントずれてる/独禁法に反する値引き規制
--このシリーズはこれまで「特殊指定」を守れという立場の方だけを取り上げてきました。きょうは廃止論の総元締めである竹島さんの直撃インタビューですので、掲載スペースも大きく取りたいと思います。
◆ぜひどうぞ書いてください(笑い)。
--竹島さんは新聞の特殊指定制度擁護を訴えた作家・柳田邦男さんの講演記録(4月12日各紙朝刊に要旨掲載)を読まれましたか。
◆読ませて頂きました。
--いまメディアはIT革命の波に洗われているが、活字文化は守らなければならない、この状況を独禁法だけで律すると害が大きいという趣旨でした。感想をうかがいたいのです。
◆さすが柳田さんだけあって、まさにIT、デジタル化の中でのメディアのあり方、とりわけ新聞の位置づけ、いま新聞の置かれている状況についてはおっしゃる通りだと思います。しかし、だからといって何で特殊指定なんですかと。そういうことを言うような新聞業界で、難しい時代に対応できるのか。余計なことかもしれないが、私は非常に心配しますね。
--特殊指定制度はもともと公正取引委員会が新聞の「文化的使命」に配慮して定めたものですね。
◆50年前の戦後の混乱期にね。今とは隔世の感がある。新聞社の販売の姿勢も違ったし、実際に景品(乱発)による混乱があった。公取が新聞業界の要望を受けて景品を取り締まり、「値引きもいけませんよ」という特殊指定を定めたのは、そういう時代だったからだと言わざるを得ない。
--それを廃止するという判断は規制緩和を意識したものですか。
◆そんなことは全然意識していない。
--昨秋の総選挙で自民党が大勝したので「チャンス到来」と思ったんじゃないですか。
◆そういうことも全然関係がない。あくまで独禁法の問題。独禁法は公正な競争、特に価格競争が行われることが消費者利益になるという考え方です。価格競争を促進するための法律なのに、なぜ「値引きしてはいけない」という特殊指定を正当化できるのか。長期購読割引といった値引きが、なぜ(独禁法の条文に言う)「公正な競争を阻害するおそれがある」ことになるんですか。
--徹頭徹尾、法律論ですね。
◆日本は法治国家ですよ。特殊指定について私は私の考えを申し上げているが、それに対してお前の意見は正しいとか間違っているとかの反応は反対論の方々からは全然なくて、戸別配達が大変だとか、知る権利のために必要だとか、ピントのずれた、ワンパターンの話ばかり出てくる。
--過去50年間、商品特性を考慮した新聞流通システムの保護規定があったわけですよね。
◆そうですが、つらつら考えるとおかしいと申し上げている。それに対して「今まで議論されなかったんだから正しいんだ」という言い方は私には、理解できない。独禁法が新聞業界に認めている特典は(新聞社が販売店に定価販売を求めることを認める)再販制度までのはずです。
--問題の核心は特殊指定を廃止した場合、全国一律の宅配システムが崩れるかどうかです。
◆それは再販制度という特権を持っている新聞社の価格政策いかんによります。私はおそらく大丈夫だと思っている。深刻なことにはならない。
--新聞業界と出版物の流通に詳しい識者は深刻な影響があると見ています。「影響があるというなら証明してみよ」というのは立証責任の逆転だという批判についてはどうですか。
◆その立証責任というのが不愉快な議論でしてね。配達をどうするかということをお考えになるのは新聞社の仕事なんですよ。消費者にいかによりよいサービスを提供するか考えていかれるべき立場にある。そこを自覚して頂きたい。
--法律的にすっきりすれば竹島さんは愉快かもしれないが、言論に与える副作用が大きいという議論ですよ。
◆ほかの業種はみんな苦労して物を売ってるんです。消費者の支持があれば売れる。特殊指定がなければ宅配がなくなるなんてことはない。宅配は折り込みチラシによる収入など十分にペイする事業なんです。(新聞特殊指定を残す場合)宅配便なんかをどうやって説明するんですか。
--柳田さんも指摘されたことですが、竹島さんは官僚として個人情報保護法の制定に深くかかわられた。いま個人情報の拡大解釈・過剰反応が広がり、表現の自由は萎縮(いしゅく)して匿名社会化が進んでいますね。
◆それは本件とは別問題。
--竹島さんが予見できなかったことが起きているわけですよ。
◆そんなのは個人攻撃に等しい話です。個人情報保護の過剰(反応)が起きているのは法律のせいじゃない、扱う人間の常識の問題なんですよ。
--常識が大事だと私も思いますが、あなたの立場で「後は常識だ」と傲然(ごうぜん)と言われるのは引っかかる。誰が常識を形成するのかというおもんぱかりが大事じゃないですか。
◆ああ、そりゃそうです。だから周知徹底をして、そういう事例(過剰反応)が出てきたら「法律はそんなことは求めてないですよ」と説明すべきでしょうね。
--どうも「新聞は偉そうでけしからんじゃないか」という憤りが竹島さんの情熱の源になっているようですね。
◆私だって40年以上の定期購読者ですよ。活字文化、新聞は当然必要だと思っている。新聞は社会の公器です。紙面を作る自由はあるが、率直に言ってもっと公平かつ慎重であってほしいと思いますね。【聞き手・山田孝男、写真・石井諭】=今後も随時掲載します
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■人物略歴
65年旧大蔵省入省。旧経済企画庁官房長、国税庁長官、内閣内政審議室長を経て01年内閣官房副長官補。小泉内閣の02年7月から現職。63歳。
毎日新聞 2006年4月25日 東京朝刊
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皆さん長かったとは思いますがいかがでしたか?
インタビュアーが「徹頭徹尾、法律論ですね」としか返答できなかったり、「戸別配
達が大変だとか、知る権利のために必要だとか、ピントのずれた、ワンパターンの話
ばかり出てくる。」と反論されたりして旗色は新聞側が悪かったと読みました。
では公正取引委員会のHPから
特殊指定見直しに関するQ&A から抜粋していきます。
現在特殊指定を受けているものは 4点
教科書・新聞・物流に関する事項・百貨店スーパーと取引業者に関する事項
問4 |
新聞の特殊指定は何を定めているのですか? |
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答4 |
新聞特殊指定では,新聞の値引きの禁止などを定めています。具体的には,次の3点を定めています。 ①新聞発行本社が地域又は相手方により多様な定価・価格設定を行うことを禁止(ただし,学校教育教材用や大量一括購読者向けなどの合理的な理由がある場合は例外。)。 ②販売店が地域又は相手方により値引き行為を行うことを禁止(①のような例外はない。) ③新聞発行本社による販売店への押し紙行為(注)を禁止。 (注)押し紙:注文部数を超えて供給し,又は自己が指示する部数を注文させること |
この問4については皆さんが新聞の契約を考えたときに必ず体験することですね。
私はM日新聞を仕方なしに3年契約中1年分無料で契約しております。
(36ヶ月中24ヶ月分の支払い)
A日新聞3年契約で1年で3ヶ月無料という契約の方もいるようです。
(36ヶ月中27ヶ月分の支払い)
ほかの新聞社でも同じような状況なのでしょうか?
一度教えて欲しいものです。
当方大阪在住です。
まだまだ続けるよーん