存在の不思議、無常の力

キャリアコンサルタント、田中道博のブログです。
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「泰然自若」について

2016年02月29日 | キャリア
昨日は初めて鳥取市にて勉強会を開催させていただいた。18名の方にご参加いただき、多くの出会いがあった。

初めてお目にかかる方も多かったし、仲間や懐かしい顔ぶれも駆けつけてくださった。幸せな時間だった。

フリーになって1年。まだ4月以降のことも決まっていないことがあり不安もある。恐らくこのような心境はこの先も続くのだろう。

さて、今回の勉強会テーマは「自己理解」。自分自身の「軸」に気づくことを目指した。短時間での成果は難しかったかもしれないが、きっかけになったことを祈るところだ。

勉強会を進めながら、私自身もさまざまな気づきがあった。そして懇親会でお話しをしているときもそうだった。

また今日のこと。キャリアカウンセリング仲間との対話の中で強く意識した言葉がある。それは「泰然自若」。特に年度替わりのこの時期。大切さを実感する。

在りたい自分の姿に向かって行く道には、予想もしない障害が待っている。実際にそのように感じる場面は少なくない。

日々去来する障害に際して自分がどうあるのか。常に試されている気もする。仲間との出会いは、自分軸を見直し「泰然自若」であることへの気づきをいただける機会でもある。

自らに向き合うこと

2016年02月27日 | キャリア
「自分のことは自分がいちばんよく知っている」という言葉がある。自らの人生と同じ長さだけ自分と付き合ってきたのだから当然と言えば当然だ。

他人が同じだけ知ろうと思えばまた同じ時間をその人と過ごす必要がある。ましてや見てきた世界を全く同じ感覚で過ごすことは不可能だ。

一方で、自分のことをすべて知っているかというとどうだろう。亡失している記憶はないか。蓋をしてしまっている経験はないか。

人生のすべての場面を記憶している人はいない。人の心には「防衛」という機能があり、都合の悪い経験を自身の中に取り入れる際一定の制限をかける。

しかしこれらの経験も間違いなく自分自身を形成したものなのだ。そして人生のさまざまな場面でいたずらを仕掛けたりもする。

「なぜこんなに心がざわつくのか」「なぜ嫌な思いになるのか」「なぜ怒りの感情が出てくるのか」こういったことにはわけがある。

なんとなく普段の生活を送っている私たち。心が動くちょっとした経験があれば少し立ち止まり、「自らに向き合う」ことも大切だ。

「そういえば…」という経験が浮かんだり、いくつかの経験が繋がって自分らしさを見出したり。

そんなときは少し嬉しくなったりもする。

二次試験前夜

2016年02月26日 | キャリア
明日と明後日、キャリアカウンセラー資格「CDA」(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の二次試験が実施される。

来期、国家資格となれば傾向が変わるかもしれず、受験生の方にとっては是が非でも合格したいところだろう。

この二次試験はキャリアカウンセリングのロールプレイング。限られた時間内で支援者としての意図や姿勢(傾聴)が見られる試験である。

多くの人にとって、日常の人との関わりとは異なる「何か」が要求される。自らに向き合い、見たくない自分を観、そして仲間からフィードバックを受け、試験本番を迎える。

なかなかに苦しい日々。そして本番では緊張する人もいる。しかし乗り越えたときの成長は半端ではない。この試験は大きく人を成長させる学びの機会でもあるのだ。

合否は確かに大きな問題かもしれない。ところが、どの世界も合格がゴールではない。実際の場面でどう活かすか。これは一生涯の学びでもある。

従って合格は単なる通過点。そんなものにこだわるよりも、目の前の来談者に魂を込めた支援を目指すのがよい。

誰にも言えず抱えている問題。それが自分にだけ語られる機会。人生に寄り添うことへの第一歩。緊張など無縁のはずだ。

NEVER SAY NEVER

2016年02月25日 | キャリア
ロート製薬が発表した「NEVER SAY NEVER」という取り組みが注目を集めている。

「不可能だ」と悲観することは捨てよう。常識の枠を超えてチャレンジしよう。という同社社員へのメッセージ。

社会貢献と自己研鑽を目指し「社外チャレンジワーク制度」という制度を設けるそうだ。休日や終業後に兼業(収入を伴ったもの)を認めるというもの。

現場レベルでどこまで定着するかはわからないし社員の方々がどのように活用するかもわからない。それでも良い制度だと思った。

終身雇用は遠い昔に終わり、「会社都合退社」は突然、当たり前にやってくる時代。つまり、会社は個人を守ってはくれない。

個人が如何に準備を進め自らの人生を自らの力で切り開いていくのか。その責任は個人にある。それを会社が後支えしようというのだ。

素晴らしい取り組みだが、こういった後押しの仕方は様々考えられる。決して「社外ワーク」だけが良策というわけではないだろう。

しかし、こういった取り組みを活かす人と無視する人には将来大きな差が出てくるだろう。多くの人になんらかのチャレンジをしていただき道を示してほしい。

社員にしてみれば、本業を疎かにせず、しっかりとした時間管理が問われる機会でもある。

キャリア支援者の姿勢

2016年02月24日 | キャリア
人は皆「在りたい自分」を持っている。アドラーは「自己理想像」という名で呼び、マズローは「自己実現」という言葉で説明しようとした。

キャリアカウンセリングに訪れる人は、何らかの経験によって「在りたい自分」の姿と現在の状況に不一致を起こし混乱している状態なのかもしれない。

いや、そんなことを考える余裕もなく、なんだかモヤモヤする、腹が立つ、不安、悲しい、寂しい…そんな感情を伴って相談に訪れる。

または、解決したい問題があって相談に来る。転職したい、人間関係を修復したい、仕事を辞めたい…など。

キャリア支援者はこういったクライエントが置かれた立ち位置を理解し、クライエントの「在りたい自分」の姿の実現を目指しともに歩んでいく存在と言える。

従って、クライエントが何を語るために来談されたのかということは重要だ。その来談目的に沿って話が展開されなければ向かう先がぼやけてしまう。

手がかりはクライエントが歩んできた道と、それによって形成された自分らしさ、そして今ここの経験がどう繋がるかという気づき。深い自己理解である。

それを見出すのはキャリア支援者の経験値や身勝手な感覚ではなく、学び続ける姿勢である。