存在の不思議、無常の力

キャリアコンサルタント、田中道博のブログです。
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自分らしさについて

2016年05月31日 | キャリア
ここ数日は結構な多忙でブログが書けないでいた。実は今日も書いている場合ではないのだが、なんとなく書いている。

今日はキャリアコンサルタント関係の勉強会だった。受講生の方に何をどのようにお伝えするのがいいか。しっかりと考える機会。結構頭を使った。

こういった機会において、自分自身の特徴を考えてみると発言が少ないということに気づくし、他の方からもよく言われることだ。

これは子供の頃からだが、ビジネスの場面では特に結構な割合でレスポンスの良さが求められるのだが、発信に至るまで時間がかかったりすることもある。

しかしこれは「短所」ではないと思う。元々持っているタイプの違いによる。一見「鈍い」ようでも実はしっかりと考えている。

「発信しないから」という理由で、例えば「仕事ができない」といったようなレッテルを貼ることの愚かさに気づかなければならない。

私はずっと自分の頭にあることを発信するのが苦手でかなり損をしてきたと思う。しかしそれは逆に自分らしさであった。

結局のところ、自分が何をどう伝えたいのか。それさえ明確であって、更に自分がどのような人間かを理解していれば怖いことはない。自分らしさがすべてなのだ。

「役割自己概念」と「インストラクション」

2016年05月28日 | キャリア
人前で話すことに苦手意識を感じている人は多いだろう。私も長年人前で話すことを避けて生きてきた。

もちろん仕事上で必要性があればそのような機会もあった。しかし上手く話そうとするほどに、緊張から何を言っているかわからないという展開に陥ってしまっていた。

キャリア理論家のドナルド・E・スーパー博士が晩年近くに発表した「キャリア決定のアーチ」に「役割自己概念」という表記がある。

生来の性格、興味・適性などの内的要因と生活環境(外的要因)を両脚としてアーチの最上位である「自己」が形成されている図だ。

自己の両脇を固めるのが「役割自己概念」である。私は、インストラクションなど人前で話す際に最も大切なのはこれだと思っている。

「自分はどのような存在で、どのような役割で、何を伝えたいのか」が明確になれば、少々言葉はたどたどしくてもメッセージは伝わる。

つまりは「役割自己概念」をいかに明確にして臨むかが最重要事項だという認識である。これが明確だと緊張とは無縁となる。

このある種の「決め」の力は絶大だ。いわゆる「技」の類いよりも向き合う「心」こそが大切。なにごとにも通じることだなと思う。

時間の使い方について

2016年05月26日 | キャリア
キャリアカウンセリングの「三大理論家」と言われる大御所。ひとりは「学習理論」の代表的人物であるジョン・D・クルンボルツ博士。

そして残る二人はマッチング理論の大家。ひとりは各種アセスメントの基礎を作ったジョン・L・ホランド博士。そしてもう一人はドナルド・E・スーパー博士だ。

最後に挙げたスーパーは包括的な理論を展開した人と言われる。中でも有名な概念として「ライフ・キャリア・レインボー」が挙げられる。

人生を「虹」になぞらえた。「職業人」や「学生」「余暇を楽しむ人」などの役割の積み重ねにより人生は構築されているという考え方である。

人ははからずも多様な役割の中で生きている。親であると同時に親の子でもある。仕事も趣味もボランティアも、すべてが人生における学びとなり成長を築く。

そして何よりも「人生の時間は限られている」ということを思わなければならない。様々な役割を高レベルでこなそうとすると、それは時間の使い方次第だ。

私たちの人生を大きなストーリーで捉えると「生まれ・生かされ・死ぬ」に尽きる。この人生の時間をどう活かすかは個人次第。

時間の使い方によって人生はおおいに変わるということを考える。

理念と自己概念

2016年05月25日 | キャリア
組織内キャリア支援に従事していて強く思うことがある。それは経営者による「理念」の発信の大切さだ。

「理念」と聞いて誤った解釈をする方も少なくない。たとえば「理念なんてタダのお題目でしょ!」といったニュアンスだ。

例えば理念を軽んずる企業において、社員への発信は「稼げ!」というものなのかもしれない。事業会社なので利益を目指すことは当然だ。

しかし「何のために」という視点は何よりも大切なことではないか。ただ単に稼ぐのが目的であれば、詐欺師だって同じだ。

大株主=オーナーが「稼げ!」ということは、自らの財布を膨らませよということに他ならない。

社員に対して十分な給料も出さない上に明確な指針や哲学がないまま「稼げ!」とはいかに恥ずかしいことか。

「理念」によって社員のモチベーションが違ってくる。「理念」によって場の空気感さえ異なる。そんなことを実感する日々は本当に勉強になる。

これを自らの人生に置き換えて考えることもできる。ただお金のために働く人生を送るのか、それとも「ありたい自分の姿」を求め生きるのか。

つまりは「自己概念」のことだ。経営理念とは経営者の自己概念の現し身のことである。軸を持たねばなるまい。

企業風土について

2016年05月24日 | キャリア
ここ最近、キャリアコンサルタントという立場で企業の中で働かれる社員の方と関わらせていただくことが多い。同時に経営者の方との接点も生まれる。

私が大切にしているのは、個々の社員の方の幸せについて。会社にいることが人生の幸せにつながる。そのような風土が理想である。

しかしながら、企業側に問題の根源があるケースも少なくない。「企業側」といっても、経営者個人のことであるかもしれない。

経営者にとって大切なことは、企業課題を「社員の問題」と捉えるか「自身の問題」と捉えるかだ。

私が客観的に観て感じること。それは、残念ながら多くは「経営者自身の問題」であるということだ。

経営者をとりまく利害関係者は多様。役員、同族、社員、取引先、金融機関、家族、従業員の家族…など挙げればキリがない。

それらすべての人を幸福に導く責任が経営者にはある。しかしながらそのような覚悟がない経営者も少なくない。

社員の責任にすることは簡単。社員は甘んじて受け入れるしかないのだ。残念ながらそんな風土の会社は多い。

しかし一握りだがすべての利害関係者の幸福を考える経営者の方もいる。今日はそんな方とのひとときを楽しむことができて幸せだった。