今月の売れ筋商品(試食感想等)・流通革新レポート

PosBankシニアアナリストの村上が、座長を務めます。(尚、POSBANKは、商標登録済みです)

六、MDSにおけるロス退治が業革思想

2010年08月31日 | 流通革新             
六、MDSにおけるロス退治が業革思想

多くのチェーンは、マーチャンダイジング・サイクルを実施していくうえで、様々な問題点や弊害、あるいは、課題を抱えており、それらの解決案や改善案を各担当部署ごとに作成する。まず、部門内で解決できる問題点から、すなわち、部門間調整が必要である問題や他企業にからむ問題については、後回しにして改善をおこなっていく。これはこれで、部署内での効率化や省力化が図られ、それなりの効果は認められるのだが、後回しにした問題を解決しようとすると、新たな問題が発生し、その対応に追われてしまう。この繰り返しが、長い間「高度成長という美酒」に慣れ親しんでいるうちに、企業体質(組織体質、個人体質)として、自然に形成されてしまった。
後回しにした問題はそのまま放置され、本質的な問題解決がされないまま、現在にいたり、長引く経済不況と最近の消費環境の悪化によって、「売上があがらない、利益が出ない」という結果が出始めてから、やっと重い腰をあげだした。
業務改革を簡単に言うならば、「セクショナリズム」、「メンツ」、「プライド」、「思惑」といった「我」をすてて、「顧客の立場」に発想を転換して、物事の本質(根本原因)を捉え、ムリ・ムラ・ムダから発生するすべての「ロス」を排除する仕組みを作り上げることである。
「ロス」を排除すると言うことは、たとえば、一時的に表面を美顔に作る「エステティック・サロン」に通うのではなく、食事療法や適度の運動等を交えながら体の心(内臓)から健康にしていき、健康美あふれる身体を作り上げることと同様に、一時的に排除するだけでなく、「ロス」を排除し続ける仕組みを作り上げることである。
マーチャンダイジング・サイクルでは、「売れる商品・満足していただける商品だけ」を店頭に陳列することで、売上と利益を確保する。しかも、あらかじめ経費やロスを考慮して利益を確保できるかを考えたうえで、商品を仕入れて販売する。個人商店では、店主がすべてのことを考えて行うことができるため、原則を守って販売すれば実に簡単な仕組みであるが、役割分担ごとに担当者が介在する組織で運営すると、商品ごとの評価(原価、売価、利益、売れ数、売り方等)が違い、その商品に対する扱い方も違ってくる。

・ 売れる商品・満足していただける商品をどうみつけるのか
・ 地域の顧客ニーズの情報をどう得るのか
・ メーカーの計画している新商品の情報をどう得るのか
・ 満足させられる商品がない時どうするのか
・ 仕入れた(契約した)商品を店舗にどう伝えるのか、納得してもらうのか

以上が、バイヤー業務の主な役割になり、仕入れた商品をバイヤーが顧客の立場にたったスーパーバイザー(販売)とディストリビュータ(物流)に対し、商品の価値や売れる、満足させられる理由を明確にして、販売の仕方、販売予定数値の計画、安定供給のための物流面での調整をして納得させる。その意味では、バイヤーにとっては、事前検証をここで受けることになり、販売面での店舗指導はスーパーバイザーに、物流面ではディストリビュータに責任が付加される。

・ スーパーバイザー(販売)は、安易に納得していないか、店舗に説明できるのか
・ ディストリビュータ(物流)は、安易に納得していないか、店舗に説明できるのか
・ ディストリビュータは、物流面での改善提案ができるのか、(陳列棚ごとの仕分け、補充商品をまとめて納品、即、陳列等)

次は、スーパーバイザーが店舗責任者、あるいは、担当者と新商品の取扱いや補充発注、陳列方法、販売(値下げ)、在庫など販売全般について相談・指導する立場になり、商品そのものの数値責任は店舗側に移る。

・ 商品の「価値」を理解したうえで陳列方法をかえることができるのか
・ 商品の「価値」を売り場全員に伝え、顧客に伝える努力をしているのか
・ 食品(鮮度、味覚、量、価格)、衣料(素材、デザイン、価格)
・ 顧客ニーズの把握ができるのか、ニーズに合わせた売り方できるのか
・ 死に筋商品の理由分析(陳列、価格、価値、鮮度、容量など)したうえで排除しているのか
・ 売れ筋商品の品切れはないか
・ 売れ筋商品に売り上げ変化はないか
・ 値下げする理由(売れない理由)は何か
・ 地域ニーズに合った商品を品揃えしてあるのか(昔5%、今30%)
・ 陳列に工夫(価値の訴求)がされているのか
・ 楽をする売り場ではなく、楽しい売り場になっているのか
・ 発注のために必要な情報を売り場全員が共有しているのか
・ 発注の時に仮説をたてているのか
・ 売り場で、商品の動きをみているのか、発注の検証にいかしているのか
・ 「なぜ」に踏み込んだ単品管理の徹底を売り場全員が理解しているのか
・ 売り場の数字の見方、読み方を売り場全員が理解しているのか
・ 利益感覚、経営感覚が売り場全員に身に付いているのか

発注した商品については、販売から在庫処分まで数値責任を含めたすべてを店舗が責任を持って対応することにより、店舗内の意思疎通をよくし、マーチャンダイジングをすすめていかなければならない。
・ 売れる商品だけを確実に選択して、チャンスロスや値下げ・廃棄ロスを最小限にする
・ 地域ニーズや顧客ニーズの変化や店舗で発生する様々な事柄をスーパーバイザーがパイプ役となって本部に伝達する
・ 全員がチャンスロスや値下げ・廃棄ロスを含めた計数管理ができる仕組みをつくる
・ POSデータ分析の重要性を理解(検証の道具)して、単品管理を徹底する

業務改革とは、マーチャンダイジングを遂行していくうえで、支障となる事柄を整理し、問題を解決していくことである。企業は、このことを繰り返しおこなうことができるよう体質改善する必要があり、企業を取り巻く経済環境の変化によって、いかにすばやく対応できるかが、二十一世紀に生き残れる条件となる。
21世紀にはいっても、従来と同じ運営方法で企業運営していることの多さにビックリするくらいであり、企業を取り巻く環境の変化やそのスピードの早さは驚くばかりであり、物余り時代、どこでも商品が手に入る『買える』、コピー商品の横行、希望価格による販売価格の自由さ、あの手この手の販売方法、ITを駆使した無店舗販売等の時代で、今まで経験したことのない状況が今日の姿であるので、三感主義(感動、感激、感謝)の徹底をすること以外に生き残る道はない。

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