四、MDSを支える情報システム(本部編)
チェーンストアの場合は、コンビニエンス・チェーンと商品の取扱い分野が違うので、マーチャンダイジングも商品の特性別に管理方法をかえている。
大きく分けて、4つの管理方法がある。
① 生鮮食品(精肉、鮮魚、青果、日配、惣菜)
・ 商品特性………商品回転率が高い、原料から加工、鮮度訴求、短期見切り
・ 管理ポイント…鮮度管理、ロス管理、加工管理
・ システム………生鮮システム、POSシステム、プロセスセンター
・ 商品処理………発注、仕入(検収・検品)、買掛・支払、加工・物流センター
・ 商品情報………売上・在庫、売れ筋・死に筋、販売効果分析、仕入先分析、
(ABC分析、値下・ロス管理、品揃管理、商品回転率)
・ 商品計画………予算・実績管理、商品別損益、仕入先管理、商品ロス管理
(予算の達成、過剰仕入の防止、商品原価の低減、計画の修正)
② 定番商品(一般食品、日用雑貨、肌着、靴下)
・ 商品特性………商品回転率が高い、補充発注、賞味期限管理、在庫管理
・ 管理ポイント…フェース管理、品切れ防止、死に筋排除、鮮度管理
・ システム………EOS、POSシステム、物流センター
・ 商品処理………発注、仕入(検収・検品)、買掛・支払、物流センター
・ 商品情報………売上・在庫、売れ筋・死に筋、販売効果分析、仕入先分析、
(ABC分析、品切れ防止、品揃・フェース管理、商品回転率)
・ 商品計画………予算・実績管理、商品別損益、仕入先管理、商品ロス管理
(予算の達成、過剰仕入の防止、商品原価の低減、計画の修正)
③ ファッション商品(婦人衣料、紳士、子供、洋品、服飾、ファニシング)
・ 商品特性………商品回転率が低い、季節・流行、コーディネイト、在庫管理
・ 管理ポイント…売れ筋・死に筋、売変管理、契約数量管理(消化率)
・ システム………FOS(ファッション・オーダリング・システム)、POSシステム
タグシステム、ファッション物流センター
・ 商品処理………発注、仕入(検収・検品)、買掛・支払、物流センター
・ 商品情報………売上・在庫、売れ筋・死に筋、販売効果分析、仕入先分析、
(ABC分析、MDSの意志決定、品揃・属性管理、契約管理)
・ 商品計画………予算・実績管理、商品別損益、仕入先管理、商品ロス管理
(予算の達成、過剰仕入の防止、商品原価の低減、計画の修正)
④ 大型商品(家具、家電、カーペット、健康機器)
・ 商品特性………商品回転率が低い、見本売り、接客、アフターサービス
・ 管理ポイント…配達・集金管理、カラ売り防止、売れ筋在庫管理
・ システム………ビッグチケットシステム、POSシステム、クレジット、顧客管理
チェーンストアの中でも、GMSでは、生鮮商品、定番商品、ファッション商品、大型商品を扱い、スーパーマーケットでは、生鮮商品、定番商品を扱っている。
コンビニエンス・チェーンでは、定番商品が中心で、おにぎり、弁当、惣菜やその他ファースト・フードの生鮮商品的な商品を扱っているが、管理的には定番商品に鮮度管理(廃棄等)を加えた方法がとられている。ここでは、両チェーン共通の定番商品を中心に、コンビニ本部での活用事例を紹介する。
店舗にPOSが導入される前までは、仕入データをもとに、地域別単品ABC分析表と店別部門別商品動向分析を店舗に配布して、フィールド・カウンセラー(FC)が店舗を指導し、地域別単品ABC分析表で、バイヤーが売れ筋、死に筋を判断して商品の企画及び商品の取り扱い中止を決定していた。これでは、仕入れた時期と売れた時期にズレが生じ、素直に実態が現れなかった。それでも、単品データと言えば仕入データしかなく、仕入=売上とみなして、バイヤー業務を「カン」と「データ」でなんとかこなしてきた。
しかし、小売業も低成長の時代に入った頃から、「カン」と「データ」のバイイングでは、通用しなくなってきた。ハードメリットだけで高価なPOSレジを導入(テスト導入)してきた小売業が、販売時点情報(POSデータ)を顧客ニーズの反映(購買)としての価値があり、また、その対応度合の尺度とする重要性があると認めはじめたのが、ほんの10数年前のことである。
その間、店舗POSの高額な導入コストと、膨大なデータ量の分析時間とコンピュータコストに悩ませられていたが、数年前から、通信コスト(ISDN…高速デジタル回線)やクライアント・サーバーシステム(オープンシステム)の普及で、POSデータの本格的な活用がはじまった。
さらに、近年では、2000年問題やパソコンの低価格化で、汎用コンピュータからクライアント・サーバーシステムの移行やモバイルコンピュータによる容易なデータ活用への見直し、安価なパッケージ・ソフトの導入等で、情報関連コスト(ペーパーレス化等)の削減とデータ活用による業績管理上の効果(ソフト・メリット)が注目されている。
図表5 ─ 41がコンビニエンス・チェーン本部での情報分析業務体系図であり、そして、この表の中の商品動向分析、商品傾向分析、商品例外管理分析、ベンダー(仕入先)分析等を商品部に提供している。
商品部(バイヤー)の役割とは、
① 年間、月間、週間のマーチャンダイジング・プランを作成し、バイイングを行う
② 商品情報を店舗に定期的に連絡する
③ 商品の定期的な見直しと主力・重点(行事、催事)商品の決定
④ 売れ筋と死に筋商品の分析と提案
⑤ 商品トレンド情報の収集と新商品の開発(コーディネイト)及び推奨価格の決定
⑥ 販促(メーカー販促も含む)催事商品投入計画の作成
⑦ プライスゾーンの決定とプライスポイントの設定
⑧ 地区別取り扱いの決定
⑨ 標準在庫量、商品回転日数(食品5~10日、日用衣料、雑貨10~20日)の設定
等であり、参考までに、販売部(フィールド・カウンセラー(FC))の役割とは、
① 店舗オーナーに対し、ストア・マネージメントのアドバイスとフォローアップを行う
② 販売業務(地域)に関わる指導と教育(相談員として)
③ すべての商品情報を連絡し、取り扱いを相談する
④ 低効率部門の改善提案(商品構成、品揃え)
⑤ 販促、催事商品の販売指導を行う
⑥ 賞味期限管理による廃棄方法(2時間前)と粗利改善方法の教育
⑦ 適正なスペース配分の提案と在庫バランスの維持方法の教育
⑧ 目で見た商品の動きやその他商品情報(改善提案)を商品部と協議する
等であり、図表5 ─ 41の中の販売管理、経営分析、商品動向分析、商品傾向分析、商品例外管理分析、ベンダー(仕入先)分析等を販売部に提供している。
ここでは、商品動向分析を簡単に要約すると、クラス別のABC分析(パレート分析)から、単品の売れ行きを時系列に確認しながら把握し、売れ筋商品については、他地区への拡大、取り扱いのない店舗については、取り扱いを推奨する。死に筋商品については、売れない理由を把握して、その理由をつけて早期廃止勧告をする。
また、売れ筋、死に筋の属性分析(プライスラインと素材、ブランド、容量、容器等)を行い、商品傾向分析とあわせて、新商品の開発(商品情報として)に活用する。新商品開発では、これらの分析情報と外部情報を取り入れることで、売れ筋になる確率を高めることになる。
コンビニエンス・チェーンの商品部の業務量は、チェーンストアに比べると雑用が少なく、データ分析や商品情報の収集に専念できる時間も多く、さらにバイヤー一人当たりの担当単品数が約半分以下とかなり少ない。POSデータに客層(誰が買ったのか)情報がついていることも、売れ筋になる確率を高める要因になっている。
そのため、商品の改廃手順も、
① コンセプト(計画)通りの商品か
・ 商品イメージ(ターゲット、便利性等の特徴や価値)
・ 商品構成(クラス別、素材、味覚、品質、容量、ブランド等)
・ 売行予測(理由、データ、販売方法、メーカー販促)
・ その他(プライベート・ブランド(PB)化の検討、物流、値入)
② 売価・物流(便)と取り扱い地区の決定
・ 取り扱い中止商品の決定(中止商品の案内書を店舗に配布)
・ テスト販売地区を決定
③ ベンダー(仕入先)の決定
・ベンダーの取り扱い地区(物流を含めて)等の条件交渉
・ 物量予測、鮮度維持
・ プライベート・ブランド(PB)商品の仕様書およびレシピの作成(素材、加工、調理、保管)
④ 発注開始日と発注・納品サイクルの決定
・ 新商品の登録
・ 新商品の案内書を店舗に配布(伝送)
⑤ 新商品の売れ行きのフォロー
・ テスト販売地区の実績チェック(POS実績)
・ 他地区への拡大
などである。これを繰り返すことで、ニーズへの変化に対する対応と鮮度ある売り場作りの実現を目指すのである。
本部の場合、常時現場(店舗の売り場)に入れないので、店舗ごとの特長が解るような分析を行うことが必要であり、ありのままの実績を表示することと併せて必ず比較するデータ(同一条件に近い店舗や平均値等を表示することにより其の店舗の強弱が解るように分析すると個別店舖の特長がはっきりし、指導がし易い。
チェーンストアの場合は、コンビニエンス・チェーンと商品の取扱い分野が違うので、マーチャンダイジングも商品の特性別に管理方法をかえている。
大きく分けて、4つの管理方法がある。
① 生鮮食品(精肉、鮮魚、青果、日配、惣菜)
・ 商品特性………商品回転率が高い、原料から加工、鮮度訴求、短期見切り
・ 管理ポイント…鮮度管理、ロス管理、加工管理
・ システム………生鮮システム、POSシステム、プロセスセンター
・ 商品処理………発注、仕入(検収・検品)、買掛・支払、加工・物流センター
・ 商品情報………売上・在庫、売れ筋・死に筋、販売効果分析、仕入先分析、
(ABC分析、値下・ロス管理、品揃管理、商品回転率)
・ 商品計画………予算・実績管理、商品別損益、仕入先管理、商品ロス管理
(予算の達成、過剰仕入の防止、商品原価の低減、計画の修正)
② 定番商品(一般食品、日用雑貨、肌着、靴下)
・ 商品特性………商品回転率が高い、補充発注、賞味期限管理、在庫管理
・ 管理ポイント…フェース管理、品切れ防止、死に筋排除、鮮度管理
・ システム………EOS、POSシステム、物流センター
・ 商品処理………発注、仕入(検収・検品)、買掛・支払、物流センター
・ 商品情報………売上・在庫、売れ筋・死に筋、販売効果分析、仕入先分析、
(ABC分析、品切れ防止、品揃・フェース管理、商品回転率)
・ 商品計画………予算・実績管理、商品別損益、仕入先管理、商品ロス管理
(予算の達成、過剰仕入の防止、商品原価の低減、計画の修正)
③ ファッション商品(婦人衣料、紳士、子供、洋品、服飾、ファニシング)
・ 商品特性………商品回転率が低い、季節・流行、コーディネイト、在庫管理
・ 管理ポイント…売れ筋・死に筋、売変管理、契約数量管理(消化率)
・ システム………FOS(ファッション・オーダリング・システム)、POSシステム
タグシステム、ファッション物流センター
・ 商品処理………発注、仕入(検収・検品)、買掛・支払、物流センター
・ 商品情報………売上・在庫、売れ筋・死に筋、販売効果分析、仕入先分析、
(ABC分析、MDSの意志決定、品揃・属性管理、契約管理)
・ 商品計画………予算・実績管理、商品別損益、仕入先管理、商品ロス管理
(予算の達成、過剰仕入の防止、商品原価の低減、計画の修正)
④ 大型商品(家具、家電、カーペット、健康機器)
・ 商品特性………商品回転率が低い、見本売り、接客、アフターサービス
・ 管理ポイント…配達・集金管理、カラ売り防止、売れ筋在庫管理
・ システム………ビッグチケットシステム、POSシステム、クレジット、顧客管理
チェーンストアの中でも、GMSでは、生鮮商品、定番商品、ファッション商品、大型商品を扱い、スーパーマーケットでは、生鮮商品、定番商品を扱っている。
コンビニエンス・チェーンでは、定番商品が中心で、おにぎり、弁当、惣菜やその他ファースト・フードの生鮮商品的な商品を扱っているが、管理的には定番商品に鮮度管理(廃棄等)を加えた方法がとられている。ここでは、両チェーン共通の定番商品を中心に、コンビニ本部での活用事例を紹介する。
店舗にPOSが導入される前までは、仕入データをもとに、地域別単品ABC分析表と店別部門別商品動向分析を店舗に配布して、フィールド・カウンセラー(FC)が店舗を指導し、地域別単品ABC分析表で、バイヤーが売れ筋、死に筋を判断して商品の企画及び商品の取り扱い中止を決定していた。これでは、仕入れた時期と売れた時期にズレが生じ、素直に実態が現れなかった。それでも、単品データと言えば仕入データしかなく、仕入=売上とみなして、バイヤー業務を「カン」と「データ」でなんとかこなしてきた。
しかし、小売業も低成長の時代に入った頃から、「カン」と「データ」のバイイングでは、通用しなくなってきた。ハードメリットだけで高価なPOSレジを導入(テスト導入)してきた小売業が、販売時点情報(POSデータ)を顧客ニーズの反映(購買)としての価値があり、また、その対応度合の尺度とする重要性があると認めはじめたのが、ほんの10数年前のことである。
その間、店舗POSの高額な導入コストと、膨大なデータ量の分析時間とコンピュータコストに悩ませられていたが、数年前から、通信コスト(ISDN…高速デジタル回線)やクライアント・サーバーシステム(オープンシステム)の普及で、POSデータの本格的な活用がはじまった。
さらに、近年では、2000年問題やパソコンの低価格化で、汎用コンピュータからクライアント・サーバーシステムの移行やモバイルコンピュータによる容易なデータ活用への見直し、安価なパッケージ・ソフトの導入等で、情報関連コスト(ペーパーレス化等)の削減とデータ活用による業績管理上の効果(ソフト・メリット)が注目されている。
図表5 ─ 41がコンビニエンス・チェーン本部での情報分析業務体系図であり、そして、この表の中の商品動向分析、商品傾向分析、商品例外管理分析、ベンダー(仕入先)分析等を商品部に提供している。
商品部(バイヤー)の役割とは、
① 年間、月間、週間のマーチャンダイジング・プランを作成し、バイイングを行う
② 商品情報を店舗に定期的に連絡する
③ 商品の定期的な見直しと主力・重点(行事、催事)商品の決定
④ 売れ筋と死に筋商品の分析と提案
⑤ 商品トレンド情報の収集と新商品の開発(コーディネイト)及び推奨価格の決定
⑥ 販促(メーカー販促も含む)催事商品投入計画の作成
⑦ プライスゾーンの決定とプライスポイントの設定
⑧ 地区別取り扱いの決定
⑨ 標準在庫量、商品回転日数(食品5~10日、日用衣料、雑貨10~20日)の設定
等であり、参考までに、販売部(フィールド・カウンセラー(FC))の役割とは、
① 店舗オーナーに対し、ストア・マネージメントのアドバイスとフォローアップを行う
② 販売業務(地域)に関わる指導と教育(相談員として)
③ すべての商品情報を連絡し、取り扱いを相談する
④ 低効率部門の改善提案(商品構成、品揃え)
⑤ 販促、催事商品の販売指導を行う
⑥ 賞味期限管理による廃棄方法(2時間前)と粗利改善方法の教育
⑦ 適正なスペース配分の提案と在庫バランスの維持方法の教育
⑧ 目で見た商品の動きやその他商品情報(改善提案)を商品部と協議する
等であり、図表5 ─ 41の中の販売管理、経営分析、商品動向分析、商品傾向分析、商品例外管理分析、ベンダー(仕入先)分析等を販売部に提供している。
ここでは、商品動向分析を簡単に要約すると、クラス別のABC分析(パレート分析)から、単品の売れ行きを時系列に確認しながら把握し、売れ筋商品については、他地区への拡大、取り扱いのない店舗については、取り扱いを推奨する。死に筋商品については、売れない理由を把握して、その理由をつけて早期廃止勧告をする。
また、売れ筋、死に筋の属性分析(プライスラインと素材、ブランド、容量、容器等)を行い、商品傾向分析とあわせて、新商品の開発(商品情報として)に活用する。新商品開発では、これらの分析情報と外部情報を取り入れることで、売れ筋になる確率を高めることになる。
コンビニエンス・チェーンの商品部の業務量は、チェーンストアに比べると雑用が少なく、データ分析や商品情報の収集に専念できる時間も多く、さらにバイヤー一人当たりの担当単品数が約半分以下とかなり少ない。POSデータに客層(誰が買ったのか)情報がついていることも、売れ筋になる確率を高める要因になっている。
そのため、商品の改廃手順も、
① コンセプト(計画)通りの商品か
・ 商品イメージ(ターゲット、便利性等の特徴や価値)
・ 商品構成(クラス別、素材、味覚、品質、容量、ブランド等)
・ 売行予測(理由、データ、販売方法、メーカー販促)
・ その他(プライベート・ブランド(PB)化の検討、物流、値入)
② 売価・物流(便)と取り扱い地区の決定
・ 取り扱い中止商品の決定(中止商品の案内書を店舗に配布)
・ テスト販売地区を決定
③ ベンダー(仕入先)の決定
・ベンダーの取り扱い地区(物流を含めて)等の条件交渉
・ 物量予測、鮮度維持
・ プライベート・ブランド(PB)商品の仕様書およびレシピの作成(素材、加工、調理、保管)
④ 発注開始日と発注・納品サイクルの決定
・ 新商品の登録
・ 新商品の案内書を店舗に配布(伝送)
⑤ 新商品の売れ行きのフォロー
・ テスト販売地区の実績チェック(POS実績)
・ 他地区への拡大
などである。これを繰り返すことで、ニーズへの変化に対する対応と鮮度ある売り場作りの実現を目指すのである。
本部の場合、常時現場(店舗の売り場)に入れないので、店舗ごとの特長が解るような分析を行うことが必要であり、ありのままの実績を表示することと併せて必ず比較するデータ(同一条件に近い店舗や平均値等を表示することにより其の店舗の強弱が解るように分析すると個別店舖の特長がはっきりし、指導がし易い。