集まれ スピーカー好き!

スピーカーやオーディオに興味がある方に、いろいろな情報を発信していきたいと思っています。

吸音材について

2008年03月31日 22時51分19秒 | オーディオ



PARC Audioとして仕事を始めてみて、いろいろと気がついた(驚いた)ことがありますが、キャビネット用の吸音材もその中の一つでした。

先ずWEB等でユーザーの皆さんが書かれている自作記事等で吸音材についての表記が意外に少ないのではということ。音質(特に中低域)の調整において吸音材というのは非常に影響が大きいのですが、意外にそのことに無頓着なユーザーの皆さんが多いようにも見えるのです。まぁこれは実際にはいろいろと調整をされているがわざわざ書いてないということかも知れませんが・・・・。

私の本業はユニット屋ですが、ユーザーの皆さんの試聴記等で低域が全くでないとか、逆に低域が出すぎて音のバランスが悪いとかのコメントを見ると、もう少し吸音材等で調整できる可能性もあるのではなどと思ってしまいます。もちろん、これはPARC Audio以外のユニットに対しても同じことが言えます。

吸音材の調整というのはシミュレーションとかで簡単に済ませられるような内容ではないので、結構根気と時間が必要になったりします。人によっても調整の方法はいろいろあるので、これが定番というのを言うことは難しいですが、私の場合は吸音材というのは必要悪であって少ないにこしたことはないと考えています。密閉箱などは別として、良いユニットと適正なBOXチューニングが出来ていれば、そんなに大量の吸音材を使わなくてもうまく音はまとめられるのではと思います。

経験的なことで言えば、過度の吸音材処理はユニットが持っている情報の鮮度を奪い、全体に開放的でない音になることが多い気がします。私の場合は、先ず最低限の吸音材を入れてチューニングをスタートさせてみて、どうしても気になるようなところがあればそれが無くなる(または気にならなくなる)最低限の量を追加していき、仕様を決めています。

この時、量だけでなくその種類や位置も非常に重要です。位置についてはそれぞれのBOXによって一概に言えませんが、各種材料について私の簡単な印象を参考のために書いてみます。

グラスウール
 吸音材としては一番の定番材料。材質は、その名のとおり細かいガラス繊維でできています。他の材料に比べ吸音率も高く、価格もそんなに高くないので、以前はメーカー製でも多く使用されていました。ただ細かいガラス繊維が肺に入ると健康障害が出るとのことで、大手メーカーでは作業者の健康に留意してグラスウールをむき出しそのままで使用することはなくなり、表面を薄い不織布で覆ったものを使うようになっています。でもこの不織布で覆ったものは音が良くなく、出来れば無しで使いたいというのが本音のところです。
 ただ個人的に私はあまりこの材料は好きではありません。その理由は、ガラス繊維固有の明るめの音色で、どうも触った感触と同じように硬めで無機質な音になるように感じるためです。まぁこれは私の個人的印象なのであくまで参考程度にしてください。

粗毛フェルト
 これも定番吸音材の一つで、廃材になった衣類等を細かくほぐしてフェルト状にしたもので、綿や化繊、ウール等のものが原料になっています。この材料の長所は、価格が安いことと、いろいろな材料からでできているため音色にクセが少ないところかと思います。
 品番によって厚み、密度、硬さ等に違いがありますが、最近流通しているものは比較的硬いものが多く、音質的には良くも悪くも中庸といった感じでしょうか。材料費の関係で低価格のメーカー製品には非常に多く使われています。
 実は私が今まで使った吸音材の中で一番気に入った吸音材もこの仲間でしたが、それは非常に密度が低く特殊なもので、原材料に使う良い廃材が入手困難になったため、残念ながら現在では製造されていません。吸音材に限らず、昔あった良い素材で今は入手できなくなったものは意外に多く、非常に残念なことです。

化繊系の吸音材
 アセテートやナイロン、その他各種化繊系の吸音材ももう一つのメジャーなGpとして存在します。この材料の長所は、化繊系ということで素材が安定していることです。化繊ですがグラスウールのような健康被害も無く、安心して使える材料の一つです。
 ただ一般的な傾向として、市販されているものは厚みが厚いものが多く、比較的容積の小さめのBOXに使うと吸音過多となる傾向が強く、その意味であまり使いやすい材料ではないかも知れません。
 あくまで個人的な好みですが、実はこの材料も私はあまり好きではありません。理由はグラスウールと似ているのですが、どうしても音色に人工的な響きを感じてしまうのです。吸音材以外も含め、スピーカーでいろいろな素材を検討してきましたが、経験的に言えることは素材としてはやはり天然材の方が音色的に好ましいものが多いという印象を強く持っています。紙、ウッド、シルク(絹)、ウール、麻、天然ゴム、漆など天然材には本当に良い物が多くあります。

ウレタン系吸音材
 これはあまり一般的ではないかも知れませんが、市販されているものは表面に凹凸のエンボス加工をされているものが多いようです。材料コストが高いためメーカー製のスピーカーでの使用実績は少ない感じがしますが、他の材料とは少し違う音色があります。
 個人的な印象で言えば、少し重め厚めの音色といったところでしょうか。ただあまり薄い形状では使いにくいため、小型のBOXにはむいていないと思います。
 以前検討した時に、布エッジのウーファーだったにもかかわらずこのウレタン吸音材を入れると音が少しウレタンエッジのウーファーのような音になり驚いたことがありましたが、他の素材に比べると好き嫌いがはっきりと分かれる材料ではないかと思います。

ウール系吸音材
 これも私が今まで使ったものの中で非常に気に入っている材料の一つです。グレードによって100%ウールから化繊との混合品までいろいろありますが、やはり天然ウール100%のものがダントツで音質は良いと思います。
 この材料の長所は、何と言ってもその音色の自然なことでしょう。これを聴くと他の材料はやはりちょっと異質なものを感じてしまいます。またこの材料は、板厚が薄いものが多いため、比較的小容積のBOXまで使うことができ、調整の範囲も広いので初心者の方にも安心して薦めることができます。大手メーカーの製品にも使われることが多い素材の一つです。


最後にちょっと宣伝のようになってしまいますが、今回PARC Audioでも100%ウールの吸音材(
DCP-A001)を発売することにしました。実は、いろいろなユニットの試聴BOXの検討等で吸音材を入手しようとしたところ意外に適当なものが販売されていなかったというのが背景にあるのですが、現在入手可能な材料の中では厚みも10mmと扱いやすく自然な音色のものなので、今まであまり吸音材の検討をされていなかった方は是非一度お試しいただければと思います。きっとPARC Audioのユニットとの相性は抜群に良いと思います。では今日はこの辺で。

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ユニットメーカーのパーツ内製化について

2008年03月27日 23時39分56秒 | オーディオ

さて前回はスピーカーメーカーについて簡単に書きましたが、今回はユニットメーカーとパーツメーカーについて少し書いてみたいと思います。

実はおもしろい話があって書いてみたのですが、書き上げたものを見てみてやはりちょっと公開するのはきついかなぁと考え直し、あらためておとなしい範囲で書き直すことにしました。今日の話も一応メーカーの名前は出さないことにします。

スピーカーユニットでボイスコイルや振動板等のキーパーツをどこで調達するかは非常に重要なテーマですが、これに対する考え方はメーカーによって大きく2つのグループに分かれています。

一つは、内製を基本に考えていくというパターン。大手ユニット専業メーカーにこのグループが多いようですが、どこまで内製に拘るかで若干温度差があります。特にA社に関しては、キーパーツの内製化についての拘りは非常に強く、どちらかと言えばそれは拘りを超えて犯してはならない聖域といってもよいくらいきついものでした。私もA社とは以前仕事を一緒にしたことがありますが、こちらが**の振動板を使いたいと希望しても、社内規制のため簡単には使うことが出来ず、本当に苦労したことがあります。最後はユーザー(つまり私)の指定(希望ではなく)ということで何とか押し通しましたが、個人的にはそこまで規制をかけるのが本当にそのメーカーにとって良いことかどうかはちょっと疑問を感じました。実際担当していたエンジニア自身も私の指定した振動板の良さを知っており、本音では使いたいともらしており、結果的に使えるようになって喜んでいたくらいです。

もちろん内製化のメリットもあります。最大のメリットは社内にそのパーツに関する技術やノウハウが蓄積できるということ。これは非常に重要で、たとえ内製せずに外注メーカー製を使う場合でも、その設計者自身がそのパーツについての設計ノウハウを持っていないと結局パーツメーカーをうまくコントロールすることが出来ず、本当に良いものは出来ないのです。実はパーツ自体の仕様決定する場合も、それを使うユニットとの関係をよく把握していないと最終的には良いものにならないことも多く、専業のパーツメーカーに全てを任せるだけで良いかというとかなり微妙なところがあるのです。

その面で他のメーカーのように内容やレベルによって社内外をうまく使い分けているメーカーは個人的には理想ではないかと思います。一部のユニットメーカーで特定のパーツについては専業メーカー以上のものを内製しているところもあります。ただ、内製化だけにあまり拘り過ぎると、井の中の蛙状態になることがあり、その辺のバランスは本当に重要です。実際のところ、A社の内製コーンははっきり言って専業メーカーのコーン紙に比べ性能的に勝っているとはとても思えませんので。

ちょっと話が飛びますが、例えば本格的なノンプレスコーン(コーン紙でも最も高性能な製法)を製造できるメーカーは日本でも2社しかありません。そのうちの1社は、JBLをはじめ大手有名スピーカーメーカー向けの多くのコーン紙を製造しており、世界的にもこのクラスのコーン紙を製造できるコーン紙メーカーはほとんどありません。80年代以前のJBLの全盛期に使われていた米国ホーレー社も今は以前の面影はなく、その当時のコーン紙を抜くものは今でも作られていません。この辺のところは話すと長くなるので、また別の機会にしましょう。まぁ言いたいのは、内製化にはどうしても限界があり、自社でトップクラスの性能を持ったキーパーツを全て作るというのは限界があるということなのです。

もう一つのグループは、内製は基本的に行わずもっぱら専業パーツメーカーから購入するという考え方。この考え方を持つユニット専業メーカーはどちらかと言えば少数派かも知れませんが、規模が小さなところは経営的にこの方式を取らざるを得ません。経営的な効率という意味ではこの方式は最高ですが、最大の弱点は社内にノウハウが残らないということ。オーディオが全盛期のころは国内にも優秀なパーツメーカーが沢山あり、そこに行けばいろいろな事が実験できましたし、社内になくてもそれなりに経験を持つこともできましたが、最近は国内のパーツメーカーはほとんどのところが廃業か中国等の海外へ進出しており、国内で簡単に工場でサンプルを見ながら打ち合わせなんていうことはほとんどできなくなっているので、最近の若い設計者は本当に可哀想だと思います。そういえば、先日訪問した数少ない国内パーツメーカーの社長さんが「最近のエンジニアは電話やメールだけで、本当に打ち合わせに来なくなったねぇ」とポツリと言っていたのが印象的でした。これは設計者本人の意識の問題なのか、その上司がそういう意識が無いのかは分かりませんが、いずれにしても今後のスピーカー業界がちょっと不安になります。ちなみに私の若いころは、上司からとにかく何かあったら現場に行って自分で確認して来いというのが常識でしたから・・・・。

パーツメーカーといえば最近はほとんどのメーカーが中国に進出しており、今や中国に行って入手できないパーツは非常に少なくなってきています。それどころか、その圧倒的に安い価格を考慮すると、なかなか国内製パーツの優位性を出すのは簡単ではなく、一部の特殊振動板や、特殊ボイスコイルくらいになってきているのではないでしょうか。私自身も、本音で言えば全パーツを国内調達したいところですが、なかなかそうはいかないのが現実です。でも中国で流通しているパーツもそのルーツをたどるとほとんどのものは日本メーカーを起源としているものが多いのも事実で、なかなか日本メーカーの底力というのはすごいなぁとつくづく思います。

では今日はこの辺で。


 

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日本のスピーカーメーカー事情

2008年03月24日 21時48分04秒 | オーディオ

しばらく新機種や参考出品等のモデル紹介が続いていたので、今日は少し趣向を変えて、日本のスピーカー業界についてちょっと話をしてみたいと思います。あまりやばい話は書けませんが、比較的差しさわりのない範囲で先ずは書いてみます。

一言にスピーカーメーカーと言っても、大きく分けるとスピーカーユニットメーカーと、スピーカーユニットを使ってシステムを作るシステム(完成品)メーカーの2つのグループになります。日本の場合、スピーカーユニットの一般市場は非常に小さいので、これだけでビジネスをやっていくのは楽ではなく、ほとんどのユニットメーカーはOEM中心のいわゆる部品メーカーとなっています。

現在国内のスピーカーユニットメーカーの大手としては、皆さんもよくご存知のフォスターをはじめ、ミネベア音響、松下電子部品、東北パイオニア、オンキョー、三洋電機等がありますが、この中でOEM比率が低いのは東北パイオニアくらいではと思います。東北パイオニアの自社ブランド比率が高いのは、パイオニアのカースピーカーのシェアが高いためです。ドリームクリエーション(PARC Audio)も弱小ながら一応このスピーカーユニットメーカーの中に入ります。
(ここ数年の最新情報は私も詳しくないので、少しくらいは変わっているかもしれませんが、大きな違いは無いかと思います。)

一昔前のオーディオ市場が元気だったころは、かなりのシステムメーカーがハイエンドモデル用を中心にスピーカーユニットの自社開発や自社生産をしていましたが、現在はほとんどのメーカーが自社生産は止め、自社開発のユニットでも専業OEMユニットメーカーに製造依託しているケースが非常に多くなったと思います。スピーカーユニットの内製化に各社が消極的になったのは、オーディオ市場がハイエンドや単品スピーカーを中心に減少していき、製造設備を維持して製品でその費用を回収をすることが難しくなったことが最大の要因かと思います。また中国やその他のアジア圏を中心とした海外生産比率が急速に高まり、コスト的に国内生産することが困難となったことも背景にあります。その意味では、パイオニアのようにユニット開発から量産まで一貫して行い、いまだに国内に製造拠点が残っているのは非常にまれな例と言えるかも知れません。さすがにもともとスピーカーメーカーから起業しただけのことはありますね。海外では、JBLやBOSE等がこれにあたります。ただしJBLでも下位のモデルは以前からユニットメーカーへOEM依託をしており、天下のJBLを買ったと思ってありがたがっていたら実は日本の某メーカー製のOEMだったなんていう笑えない話もあったりします。

ちなみに、ソニーのスピーカーやマイクを製造していた子会社のオーディオリサーチは、80年代にミニチュアベアリングのトップメーカーであるミネベア㈱に売却されました。今だから言えることですが、ソニーの子会社が売却されるということは当時非常にセンセーショナルな出来事で、設計をやっている当事者の我々にも発表の直前まで何も知らされず、運の悪いことにちょうどオーディオフェアの開催中の新聞発表だったため、多くの来場者から「ソニーはスピーカーから撤退するのですか?」との質問を受け、非常に困惑したことを今でも覚えています。

ただソニーの場合はその後もスピーカー開発にはかなりの予算を投入し、いろいろな開発を継続して行っており、私がいた当時はビクターの昔の仲間からその予算の多さを羨ましがられたものです。以前私が開発をした業務用ユニットのSUP-T11SUP-L11の開発では、ちょっと人には言えないような多額の開発予算をかけていましたので、もうあのようなユニットが商品化されることは無いかも知れませんね。でも最近はさすがにスピーカーユニットの開発規模も縮小しており、スピーカーユニットの試作を自分でしたことの無いようなエンジニアが増えてきているのも事実で、このような状況は他のシステムメーカーでも大きくは変わらないと思います。

実はあまり知られていませんが、ソニーはその後もう一度ユニットの内製化にトライしたこともありました。ただこの時の目的は、ハイエンドモデルのような技術的にレベルの高いものを内製化して技術を社内に残すというようなものではなく、量産モデルの数の多いものをガンガン流してコストダウンをするということだったので、予定していた程のコストメリットもなく、結局は短期間で自然消滅となってしまいました。

スピーカーの完成品を扱うシステムメーカーについては説明の必要はあまり無いと思いますが、一般の皆さんがご存知のスピーカーメーカーと言えば殆どのこのGpになるかと思います。少なくとも開発費用や難易度という点では、スピーカーユニットを外部に依託してしまえば材料開発等の開発費用は大幅に削減できるので、スピーカーシステムだけを商品化することに徹すれば経営的には非常に身軽になります。ただその反面、スピーカーの中で最もその性能を左右し、また個性を発揮するスピーカーユニットを他社に依託するということは、キャビネットやネットワークだけで他社との差別化をする必要があり、設計としては非常にきついことにもなります。まぁこれは私がユニット屋ゆえの感想なので、生粋のシステム屋さんはそんなことは無いとおっしゃるかも知れませんが・・・・。

さてここまでの話でざっくりとは雰囲気がお分かりいただけたかと思いますが、次回はユニットメーカーとそれに関連する部品メーカーについてもう少し詳しく書いてみたいと思います。では、今日はこの辺で。

 

 

 

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ウッドコーン・ウーファー2モデルについて

2008年03月21日 23時23分04秒 | オーディオ



今日は、PARC Audioのウッドコーン・ウーファー2モデルについてです。

先ず、15cmウッドコーン・ウーファーの
DCU-151W
このモデルの最大の特徴は、何と言ってもその使いやすい素直な高域特性。フルレンジ派の方にとってネットワークの必要なウーファーというのは抵抗があるかと思いますが、このモデルは高域に大きなピークもなくきれいに減衰しているので、簡単なネットワークで気楽につなぐことができ、マルチ入門用としては本当に使いやすいユニットとなっています。

音質もちょっと高域が少な目のフルレンジと言う感じで、13cmウッドコーンフルレンジのDCU-F131Wと比べても口径の差以上に低域の量感は十分にあります。それをウーファーって言うんだよ、という突っ込みがあるかも知れませんが、意外にフルレンジ的な自然な鳴り方をするウーファーというのも少ないのです。実際組み合わせるトゥイーターにもよりますが、ウーファー鳴りっぱなし(ネットワーク無し)での使用というのも十分可能性があるユニットなのです。

ボイスコイルが、比較的口径の大きいΦ30を使っている割に価格も抑えており、コストパフォーマンスの高さも魅力となっています。あまりユーザーの皆さんはご存知ではないかも知れませんが、スピーカーユニットにとってボイスコイルの口径というのはコスト的に非常に影響が大きいのです。何故かと言うと、ボイスコイルの口径が大きくなるということはそれに合わせてフェイズプラグ、ポールピース径等の他のパーツも大きくなり、当然総合的に材料費はアップします。場合によっては、スピーカーの口径アップ以上にインパクトが大きい場合もあるくらいです。

ちなみにボイスコイルの口径が大きくなるということは、使う線材の径も一般的に太くなり、このことにより音質もより中低域が太くしっかりと出る傾向になります。私は初めて使うユニットの仕様書を見る時に、先ずボイスコイル径を見るようにしています。

ではこのユニットの弱点は何かと言えば、それはやはり15cmというあまり一般的ではない口径ではないかと思います。実際のところ、国内での販売実績は同じウーファーでも17cmDCU-171Wの方が少し多いのが実情ですが、逆に海外からのリクエストは17cmよりもこのモデルの方が多いのです。特に一般ユーザー向けではなく、システムメーカーからの評価は高く、最近海外のシステムメーカーでの採用も決まりつつあります。やはりこの辺はコストパフォーマンスと素直な高域特性が効いているのではと感じています。このモデルは、ウッドコーン5モデルの中では一番地味なモデルではありますが、個人的には一番通好みのユニットではないかと思います。


次は、17cmウッドコーン・ウーファーの
DCU-171W
このモデルはPARC Audio製ウッドコーン・ウーファーのハイエンドモデルであり、やはりその最大の特徴は現存するウッドコーンスピーカーで最大径であるということ。このサイズになると、PARC Audioの独自製法のマルチレイヤー構造といえどもさすがに製造の難易度は高くなり、部品の歩留まりも悪化します。外観面でもウッドコーン表面のアラが目立ちやすくなるのも事実です。(^^;

しかしその余裕ある中低域や、90dBという高SPLはその弱点を十分補ってあまりある魅力があるのも事実です。このモデルは比較的高額な価格もあり、開発の途中で商品化を断念しようかとも迷ったのですが、PARC Audioとしてここまでできるということをアピールする意味もあり最終的には商品化を決断したものです。

そのため開発途中では、丸線ボイスコイルや超低歪磁気回路の試作等かなりいろいろなモデルを試作しましたが、最終的には限られたコストの中でよくまとめられたのではと感じています。まぁ少なくとも設計者自身が良いと確信しなければ商品は世の中には出て行かないと思いますので、当然と言えば当然ですが・・・。

このモデルでの裏話を一つだけお話しすると、一番最後まで悩んだのはボイスコイルをエッジワイズにするかどうかということ。もちろん、その差を比較試聴すれば当然音質や性能差はしっかりあるのですが、ただでさえ高い価格をさらに上げることになりこんな価格で買ってくれるユーザーの方がいるのか本当に最後まで悩みました。販売店様のお話では、クラフトスピーカーは売価が1万円を超えると極端にユーザーの数が少なくなるとか・・・・・。う~んそうだとしたら、このモデルは全く売れないかもとか、随分寝られない日が続きました。ってちょっと大げさかな。

まぁでも最終的にはPARC Audioのプレステージモデルとして十分その責任を果たせる内容になったと思いますし、予算のある方は是非挑戦していただければと思います。では、今日はこの辺で。

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ウッドコーン・フルレンジ3モデルについて

2008年03月17日 23時30分58秒 | オーディオ




さて今日は現在発売中のウッドコーンモデルについて、設計者本人の私がどう思っているかについて書いてみたいと思います。5モデル全てについて一度に書くのはちょっとしんどいので、先ずはフルレンジ3モデルについて書きます。メーカーは通常良いことしか書きませんが、私は完璧なスピーカーなんか無いと思っているので、正直に自分が感じている欠点についても書いてみようと思います。参考にしてみてください。


先ず一番小口径である8cmウッドコーンの
DCU-F101W
このモデルはスペックを見ていただいてもお分かりのように、8cmクラスの他社ユニットに比べるとかなり特異な存在となっています。特にF0が68Hzというのはこのクラスとしてはかなり異例で、82dBという低めなSPLと共に、このクラスで代表的なF社のユニットとは全く正反対のスペックになっています。正直なところ、今回の一連のモデルの中ではこのモデルだけはちょっとやりすぎたかなぁとも考えましたが、逆にそのスペックゆえのこのユニットの魅力もあるので、最終的に商品化を決断しました。

ではその魅力は何かということですが、やはりそれはこのクラスの口径では出色の低域特性です。ホームページでも紹介している2.4Lの小さなBOXでも十分に低音が出ます。私の考えるこのモデルの良さが最も出る時とは、比較的小さな音量でゆったりと音楽を聴くような時ではと感じています。

一般的にスピーカーは音量を下げていくと、低音が先に無くなってくることが多いのですが、このモデルは小音量でも十分低音が出ますので、例えば夜PCで作業をしながらのBGM再生とか、深夜あまり音量を上げられない時に音楽を楽しむというような使い方にはベストではと思います。もちろん、ウッドコーン自体の持つその音色の自然さや優しさが相乗効果として効いていることは言うまでもありません。

逆にスピーカーと対峙して大音量で音楽を楽しむといったような使い方には、正直なところベストではないのではと思います。SPLは他社比でも低いのでそのような使い方には、10cmや13cmの方が向いているのではと思います。


次は、10cmウッドコーンの
DCU-F121W
このモデルは、一言で言えばウッドコーンフルレンジ3兄弟の中では一番の優等生です。実際売れ行きも一連のモデルの中では一番人気で、現在もメーカー欠品となっている状態です。

最大の魅力はやはりそのバランスの良さで、10cmというサイズの中で低域と高域を絶妙のバランスでまとめられたと自負しています。SPLも86.5dBと、クラスとしては十分なレベルですし、特に欠点と言うのが見当たらないという印象を持っています。

おそらくこのモデルは今後もPARC Audioを代表するモデルの一つとなっていくと思いますし、私としても出来るだけロングランのモデルにしていきたいと考えています。さらに今後このモデルについてはスピーカーシステム(つまりBOX付の完成品)も出せたらいいなぁ、なんて漠然と考えたりもしています。

ただ量産仕様を決めるまでに一番試作数が多かったのもこのモデルでした。一番苦労したのは、バランスをうまく維持しながらSPLをいかに上げるかという点で、スタート当初は85dB弱でしたので、自分でも随分頑張ったかなぁと感じています。
実は90dBという隠し玉もあるのですが、そちらはさすがに現状のバランスそのままというわけにはいかず、良くも悪くも別物になってしまったので、今回の商品化には採用しませんでした。こちらは、今後ちょっと別の形での登場があるかも知れません・・・・・。

最後は、フルレンジでは最大径の13cmウッドコーンの
DCU-F131W
このモデルは、フルレンジ3モデルの中のトップモデルとして、ボイスコイルに高品位なリボン線を採用し、フレームもダンパー下部にエアーホールのあるタイプを採用したり、結構自分としても頑張ったモデルでした。

スペック的な特徴としては、13cmとしては他社比で異常な程低域が伸びていることで、このことはスピーカーのシミュレーションソフトspedの
ホームページでも紹介されています。裏話ですが、ある方からシミュレーションで見るとあまりに低域が出るので、このモデルのTS定数は間違っていませんか?と言われたこともありました。
でも正直な事を言ってしまえば、この低域特性は結果論であって、最初から**まで低域を伸ばすぞ~なんていうような目標を設定して開発を進めていたわけではないのです。あくまで最大の目標は、ウッドコーンフルレンジのハイエンドモデルとして現状実現できる最善のバランスと高品位な音を出すことでした。結構10cmの仕上がりが良くなったので、このモデルのハードルは高かったですね。

では肝心の音はどうかと言えば、PARC Audioのサウンドポリシーをしっかりと実現できた本当に聴きやすく高品位なものにできたと自負しています。(ちょっと言いすぎかなぁ) 強いて欠点を言えば、若干(?)低域よりにいっちゃったかなぁとも思いますが、その魅力的で豊かな中低域を考慮すれば自分としては十分OKではと考えています。

ユーザーの皆様からは、
かなりウーファーよりとのコメントもいただいたりしてますが、同時に中低域の魅力や定位の良さも認めていただいているので、これはこれでいいかなぁと感じています。(keik様、勝手にリンクしてごめんなさい)

結論として、良くも悪くも今までのF社的なフルレンジモデルのバランスとは一番対極にあるモデルなので、是非一度皆様に体験していただければと切に願っています。


今回ウッドコーンを商品化してユーザーの皆様からいただいたコメントの中で多かったのが、「本当に聴き疲れしない音」ということと、「分解能や音像定位が抜群に良い」という2点でした。実は設計者としては、これらのコメントは非常にうれしい内容なのです。何故なら、この2つは基本的に相反する内容であり、両立させるのは本当に大変なんですよね。つまり、聴き疲れしない音を出そうとすると、耳に目立つ中高域を抑えるのが常套手段で、それをやると今度は分解能や音像定位等の情報量が落ちていく傾向になるのです。そのため、この2つを両立させるには本当に高い次元でバランスさせることが要求され、設計者の力量が試されます。この辺は、また別の機会にもう少し詳しく書いてみたいと思いますので、また楽しみにしていてください。では今日はこの辺で。




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PARC Audio ウッドコーンについて(2)

2008年03月12日 23時25分54秒 | オーディオ



今日はウッドコーンについて続編です。

ウッドコーンの材質について、よく質問を受けることがあります。他の材料はどんな音がしたのかとか、どの材料がベストだったか等、皆さんのウッドの材料に関してのご興味はかなり強いように感じます。

そこで最初に結論を言ってしまうと、現在使用しているサペリというマホガニー系の材料にした最大の理由は量産性です。もっと平たく言えば、他の材料もトライはしたものの、安定して量産ができる材料という意味でこのサペリ以外は難しかったということです。すみません、つまらないオチで・・・。

では何故これしかうまく成形ができなかったかと言うと、それは前回お話したようにPARC Audioの成形法が出来るだけ素材の木材にいろいろな前処理をしないようにする事を最優先としているため、結果として使える材料に限りが出たということだと思います。実はウッドの成形というのは非常にデリケートで、ちょっとしたことで変形や歪が出たりするのです。

もともと今回のウッドコーンは一般のクラフトユーザー層を対象として企画したので、極端に材料費や加工費が高くなることを避けたかったということもありました。
また17cmクラスの比較的大型サイズも商品展開を同時にしたかったので、その点でも良好な量産性を最優先にして開発を進めたわけです。

結果として今回採用したサペリ材は、成形性も良く、木目の外観も比較的綺麗(これについては個人差があるかと思いますが)で、音質も期待に十分応えてくれるもので、価格を考慮すれば当初の目標はクリアできたと感じています。

ところでPARC Audioのウッドコーンにも欠点はあります。その欠点は、やはりウッド表面の平坦度や外観です。当社と比べると、V社製は本当に表面が美しいですね。表面の綺麗さで言えばうちの完敗だと感じています。
それでもフェスタであったV社の関係者の方は、「あれでもまだ営業からは木目のバラツキを無くせって言われるんですよ。」とぼやいておられました。やはり大手メーカーは品質基準が高いから大変です。

この外観問題は、PARC Audioのウッドコーン製法ができるだけ素材の木材らしさを残したいとの考え方であり、余計な接着剤やコーティング材等を最低限に抑えていることが主要因であるため、ある程度仕方が無いことではありますが、正直なところこれがソニーだったら絶対に外観はOKになっていなかったと思います。ちなみに私がソニー時代にいろんな部品ベンダーさんに言われましたが、本当に外観に関してはソニー基準がダントツに厳しいのです。裏話ですが、マネージャーとして決定を下す時に一番神経を使わされたのは、音決めではなくデザイン決定や量産の外観限度品の設定でした。

でも逆の言い方をすれば、この辺がうちのような小さなガレージメーカーの強みであり、思い切って割り切るところは割り切り、メリハリをつけられるということなのです。PARC Audioの設計手法の根底には、これ以外にもいろんなところでこの良い意味での割り切りをするようにしています。つまり減点法ではなく加点法できるだけ長所を最大限に伸ばすようにし、とにかく他社にない個性を持たせたいと考えています。

それともうひとつの弱点が耐熱や耐湿等の耐環境性です。もちろん、一般の家庭での使用環境では全てのテストをクリアしているので問題はありませんが、例えばこれをカーオーディオとして使用できるかと言えばかなり厳しいです。車載での環境では、100℃での動作保証をする必要があり、これをクリアするためにはどうしてももっと強力な耐熱性接着剤の使用が必要となります。まぁもともとの商品企画が車載用は考えていないので、この点は欠点ということにはならないかも知れませんが・・・・。

最後にちょっとマル秘情報を言うと、ウッドコーンの開発は国内独自開発と中国メーカーとの共同開発の2種類を並行して進めていました。現在量産で使用しているものは実は中国メーカーとの共同開発のものですが、これを採用した最大の理由は金型等の設備関係の理由からです。つまり現在のタイプは中国の金型がある程度流用できるので、初期投資費用が少なくすむのです。今回一気に5モデルも発売したので、やはり全てを自社型だけで行うにはかなり無理がありました。もしそれをやると、おそらく金型代の償却費の関係で販売価格がかなり上がってしまったでしょう。この辺は、うちのような小さな会社の厳しいところです。もちろん、開発に関しての基本的な考え方(進め方)はこちらからの方針で進めましたし、材料や接着剤、コーティング剤、各種成形ノウハウ等もこちらから提供しつつ、うまく現状の彼らの設備を流用して完成させたということです。

つまり今回のウッドコーンは、日本で開発していた基本的なウッドコーンに関するPARC Audioのノウハウと中国メーカー側の製造面での協力で完成した合作と言えるのです。そのため、一部の特殊な接着剤やコーティング剤は日本から支給していますが、この接着剤やコーティング剤を中国に運ぶのが実はすごく大変なんです。と言うのは、接着剤は危険物なので普通に飛行機で手荷物として持ち込むことができないのです。


また国内独自開発のタイプも決して諦めたわけではなく、今後のウッドコーンの販売動向によっては、ウッドコーンの上級タイプとして皆様のお目にかかれることもあるかも知れません。このタイプの詳細についてお話することは今は出来ませんが、現状のものより更にPARC Audioの独自性が強まっていることは言うまでもなく、またその外観もかなりインパクトのあるものとなっています。PARC Audioのビジネスが皆様のご支援で順調に伸びていけば、これが量産できる日が来るかも知れませんね。

書いていて、何か言うべきことが沢山抜けているような気もしますが、思い出した時にまた随時追加していきたいと思います。では今日はこの辺で。


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PARC Audio ウッドコーンについて

2008年03月11日 23時45分00秒 | オーディオ




今日は、PARC Audioのウッドコーン振動板について書いてみたいと思います。

まずPARCのウッドコーンについて説明する前に、ウッドコーンそのものについて話をしておきたいのですが、スピーカーの振動板にウッド(木材)を使うという基本的なアイデアは決して新しいものではありません。古くは、1991年(既に17年前!)にスライスした木材辺と不織布との複合材を使った振動板という内容でY社から出願されていますが、結局この特許は審査請求がされずその権利は消滅しています。その後各社からウッドコーンに関してのいろいろな特許が出願されていますが、いずれも製法や材料の組合せに関しての限定特許が多いようです。

ちなみに特許では、出願から3年以内に審査請求という申請(自分の特許の権利化について特許庁に審査を請求すること)をしなければ、その権利は消滅します。詳しくは
こちらを見てください。

ではなぜ出願した特許を審査請求せずに権利化しないかというと、それにはいろいろな事情があります。代表的な理由には、権利化するメリットがあまり無い場合や、審査請求しても権利化が見込めないもの、つまり特許として認められない内容だと判断されるものです。じゃあなんで出願するの、という疑問が起きると思いますが、これには俗に言う防衛特許という側面もあります。つまり自分は特許として権利化できなくても良いが、もし他社が権利化してしまうと困るので特許に出来ないよう防衛するということです。
特許は、公知の事実は権利化できないということがあるので、既に誰かが特許申請した内容は当然後から他の者が権利化することはできないのです。ソニー時代にも、ずいぶんこの手の特許を出願したことがあります。というのが、「何でこんなのが特許になるの?」というようなものが権利化されるようなことが結構あるからなんです。でも特許として権利を維持するにもお金がかかりますから、企業としてはどの特許が本当に自分のビジネスに役に立つかを判断するのは非常に重要なことなんですね。そのため、本当に権利化するものと、防衛特許的なものの使い分けが出てくるわけです。

さてちょっと本題からそれてしまいましたが、とにかく木材を振動板に使うということ自体はそんなに大した内容ではないのです。ポイントはそれをどのように作るか、また使いこなすかということなのです。

Parc Audioではウッドを採用する場合も音質を最優先として、言い換えれば木材がもっている素材の良さをできるだけ残すことを最優先として開発を進めましたので、出来るだけ素材の木材シートをいじめないような構造を採用しています。

もともと成形性が良くない木材シートをコーン形状に成形するためにはいろいろなパターンがありますが、Parc Audioではできるだけ成形性を良くするために2分割にしたものを一度薄いコーン状に成形し、これをさらに2枚重ねて1枚のコーン振動板としています。多層構造(マルチレーヤー)と呼んでいるのはそのためです。これはV社が採用している1枚から成形する方式に比べ成形時に木材シートにかかる負担が大幅に少ないため、成形時にあまり特殊な強い前処理(例えばお酒につけるとか)をする必要が無いので、私はこちらの方が音質的にメリットがあるのではと判断しています。



ここで少し木目について説明しておくと、木目には大きく分けて板目 (いため)・柾目 (まさめ)・杢目 (もくめ)の3種類がありますが、Parc Audioでは反りや収縮などの狂いが少ない柾目 (まさめ)を使っています。この材料は木目の中では高価なものなのですが、一般のユーザーの方にはV社が採用している板目(いため)の方が木目が不規則に変化して本当の木目らしく見える方もいるようで、PARCのものは何か安物を使っていると誤解されている方もいらっしゃるようで、設計者としては非常に残念なところです。木材については、ここで詳しく書かれているのでそちらを参照してください。

使用している木材シートは突板と呼ばれる木材の木目の部分を薄くスライスしたもので、基本的にはV社も同じ系統のもの(材料は別ですが)を使用されています。この突板は、一般に高級家具や楽器、車の内装材等に広く使われており、薄い突板を作る技術は日本が世界でもトップの技術を持っています。先日もTV東京で突板メーカーが特集で放送されていましたね。

Parc Audioのウッドコーンでは多層構造を採用しているため、突板もV社のものより薄い材料が使用されており、軽量化にも貢献しています。さてちょっと長くなったので、この続きは明日にしたいと思います。ではまた。


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ウッドコーン量産第3ロットが無事入荷しました。

2008年03月08日 23時53分06秒 | オーディオ




今日は、グッドニュースがあります。
ウッドコーン量産第3ロットが無事入荷しました。
これで、8cmや10cmの在庫切れだったモデルも無事販売店様にお届けできたので、お待ちしている皆様にも喜んでいただけるかと思います。

残念ながら10cmに関しては、今回も販売店様からのオーダーで全て完売となりメーカー在庫は相変わらず欠品状態ですが、販売店様にはまだ十分ありますのでご安心ください。

今回は、PARC Audioの第二弾モデル(4機種)も同時に入荷し少し数量が多かったので、かなり疲れました。 これからこの4兄弟が皆様にどのようなご評価を受けるのか、どきどきしながらの出荷となりましたが、親としてはこの子達の今後の活躍を心から祈っています。皆様も機会があれば、是非ご賞味ください。

最近だんだん土日勤務が当たり前のようになってきましたが、明日はちょっと完全休養して来週に備えたいと思います。それでは今日はこの辺で。

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PARC Audio 第二弾モデル発売

2008年03月06日 23時00分51秒 | オーディオ




今日は来週発売予定のPARC Audio第二弾モデル(4機種)の商品情報をホームページにupしました。概略は既にブログでも書きましたので既に皆さんもご存知かと思いますが、比較的目立つ存在だったウッドコーンに比べどちらかと言えば地味なモデルなので、これらが今後皆様にどの程度支持されるかで今後のPARC Audioのユニットメーカーとしての将来が決まるのではと思っています。今回のモデルがあまり売れないようなら、来年あたりPARC Audioの看板を下ろさないといけないかぁなんてぼんやりと考えたりしています。頑張らなくっちゃ~。ファイト~!

今回ホームページにupしながら感じたのですが、本当に私は商売が下手だなぁと思います。せっかくウッドコーンが皆さんに評価され、少しずつ受け入れられているのに、3ヶ月くらいでもう次のモデルを発売し、おまけにその直前にいろいろな参考出品モデルまで見せてしまうとは・・・・。

これなら誰だってどれにしようか迷っちゃいますよねぇ。TVのCMでも言ってました。
「人間は選択肢が増えると、選択できなくなる。」と。
でも会社の経営者である前にエンジニアでありたい私としては、どうしても今やっている持ちネタは皆さんに早くお見せして、いろいろな意見を聞きたいし、少しでも良くしていきたいのです。

出来ることなら、少しでもユーザーの皆さんにいろいろなユニットを味わっていただいてスピーカーの奥の深さを楽しんでいただければと心から願っています。「このユニットでスピーカーは決まり」なんていうことは無理だと思いますし、こってりした料理を食べた後は薄味の関西料理を食べたいと思うように、スピーカーもいろいろな味があることを知ってほしいです。

これらの第二弾モデルについては、今後もう少し詳しく書いていきますので、お楽しみに。では今日はこの辺で。

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A&Vフェスタ参考出品モデル 2

2008年03月05日 22時10分41秒 | オーディオ

 今日は、フェスタの参考出品の中でも一番目立つモデルのご紹介です。
上が17cmパルプコーンフルレンジスピーカーのDCU-F172P、下が17cmPPコーンウーファーのDCU-172PPです。
両モデルともに共通する特徴は、アルニコマグネット使用ということと、当社独自の完全シンメトリー(対称)インナー(内部)デュアル(ダブル)ダンパー方式ということです。

このモデルを見て多くの方が、「うわっ、すげぇーデカイマグネット!」と驚かれていましたが、実はマグネット自体はそんなに大きくないのです。磁気回路部がこんなに巨大になっているのは、その中に1枚目のダンパーと全く同じダンパーが対称形で配置されているからで、マグネットが大きいためではないのです。

どこかのメーカーが、アルニコマグネットを外磁型で無理やり使い**kgのアルニコ採用などとちょっと?な
ことをやっていましたが、うちのモデルは正攻法の内磁型で設計しています。正直なところ、マグネットはもう少し大きくしてもよいかとも考えていますが、アルニコの場合下手な設計をすれば磁石の動作点が変なところになって簡単に減磁したりするので、なかなか簡単にはいかないのも事実です。この辺のことも、また後日ゆっくりと書いていきたいと思っています。

このシンメトリーインナーデュアルダンパー方式はソニーの業務用ウーファー
SUP-L11で採用した方式で、パーツコストと組立て工数がかさむことが最大の悩みですが、その性能(特に音質)を一度聴いてしまうとなかなか元には戻れない魅力を持っています。

一般にある デュアルダンパー方式は、最大の目的は耐久性の向上で、主に大出力のサブウーファーやPA用ウーファーに用いられていますが、2枚のダンパーが磁気ギャップ部の片側に配置されるためセンタリング効果は完璧ではなく、またボイスコイルから振動板までの距離が2枚目のダンパーの分伸びてしまうので伝達ロスも発生し、音質的にもデメリットの方が多いと思います。下記の図はソニー時代に私が書いた導入資料ですが、今回のモデルとはサイズは違うものの方式としては同じですので分かりやすいかと思います。



まぁこの辺のところは理屈では設計者であれば分かっているとは思いますが、あんな手間のかかるくそ高いインナータイプのデュアルダンパーを本当に製品にしようと考えるのは私のような技術バカしかいないのかも知れません。実際のところ、SUP-L11もその性能の良さは評価されたものの、その価格がネックとなって大ヒットとはいかなかったのも事実ですから。
でもここだけの話、当時189,000円という定価も本当のところは大バーゲンで、原価がこうだから定価はこうしようというやり方ではなく、コンペチターのTADがいくらで売っているのだから定価はこの辺が限界というような感じで決めており最初から赤字に近かったのです。SUP-L11を今お持ちの方は、2度とこんな価格ではこのクラスのユニットは出てこないと思うので、是非大切にしてやってください。

今回のモデルはまだ製品化については何も決まっていませんが、おそらく価格はF社の限定モデル以上になりそうなので、PARC Audioという新参ブランドではたして何人の方が購入していただけるのか、本当に頭が痛いところです。

DCU-F172Pはモデル名が示すように、パルプコーンのフルレンジモデルですが、現状は低域のクオリティが上がりすぎて高域が少し負けている感じなので、商品化までにはもう少し再調整が必要かと考えています。

DCU-172PPも当初はフルレンジでの検討予定でしたが、これはDCU-F172P以上にウーファー的なバランスになったため、今の状態ではウーファーの方がまとめやすい
かなぁと感じています。

昨日紹介したPPコーンのコアキシャルが好評のようなので、これもコアキシャルにして商品化という可能性もあるかも知れません。いずれにしても、これらのモデルは今後じっくりと熟成させて世の中に出していきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

 

 

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