こんばんは。しばらくちびっ子ウッド関連の記事が続いていましたが、今日はガラッと話題を変えて新発売となったリングトゥィター(DCU-T113S)についてお話したいと思います。既にホームページをご覧になった方はご存知かも知れませんが、ユニットの詳細についてはこちらをご覧ください。keikさんのブログでも既に紹介していただいてますね。
これでPARC Audioとしては早くも3モデル目の単体トゥィターとなるわけですが、今回のリングトゥィターという方式の特徴について簡単に書いてみましょう。
この方式は海外の高級モデルで結構採用例が多いようですが、写真でもお分かりのように通常のドーム方式と違いボイスコイルの内側(振動板)がエッジと同じようなリング状になっていることが特徴で、ボイスコイルが両側の振動系をバランス駆動できるので、軽量ポリエステルのような剛性の非常に低い素材でもかなりの超高域まで再生できることが最大のメリットです。T113Sでも50kHz(-10dB)まで十分再生できており、これは通常のソフトドームではちょっと難しいところです。
反面、振動面積がドームに比べると狭くなるため能率的にはちょっと不利となります。T113Sは87dBですが、インピーダンスを4オームとすることで実用上の影響を少なくしています。この手法は17cmコアキシャルでも同じ手法を採用しています。また、今回ボイス径も少し小さいため、主に熱的な面での耐パワー性は少し落ちることになります。ただし、ボイス径が小さいこともあり、このタイプはクロスは比較的高めで使った方が相性が良いので、熱的な面の影響はあまり問題になることはないのではと思います。
で皆さんが一番知りたいことは、3モデルの違いや音の傾向ではと思いますが、ざっくり言うとこんな感じになります。(ただし下記はあくまでPARCの3モデルでの社内比較での話ですので、ご注意を)
1)DCU-T111S(ソフトドーム)
3モデルの中で一番Foが低く、中低域に対してワイドレンジなユニットですので、一般的な2way用トゥィターとして一番使いやすいモデルだと思います。これはPARC全般に言えることですが、軽量化振動板によりユニットのキャラクターの非常に少ないので、組み合わせるウーファーもあまり選ばないと思います。マルチ初心者には一番のお勧めモデルです。価格も一番お安いですし。
2)DCU-T113S(リングトゥィター)
上でも書いたように、50kHzという超高域再生が可能なため、本格的な3way用や、小口径ウーファー等の比較的クロスの高い2wayでの使用、またフルレンジとの組み合わせなんかに相性が良いと思います。ソフト系素材でこれ以上の超高域感、空気感を出すのはちょっと限界ではという感じになっているので、そういう方向がお好きな方には最適ではと思います。反面、あまりクロスを下にしてトゥィターの下をたっぷり使いたいという場合は、T111Sにされた方が無難です。
3)DCU-T112A(20μアルミドーム)
高域特性のスムースさではT113Sにちょっと遅れをとりますが、そうは言ってもPARC得意の極薄アルミ振動板から出てくる音はやはりソフト系の音とは少しレベルが違います。シンバルの音の芯や、超高域の独特な空気感などを聴いてしまうと、やはりこのモデルが普通のモデルではないことが分かります。まぁ価格も一番高いので当然と言えば当然ですが。 ただし中低域は一番薄めなので、クロスに関してはT113S同様少し高めにした方がより良さを出せるのではと思います。
で結論ですが、今回のT113Sを一言で言えば正にT111SとT112Aの中間に位置する性格だと思います。中低域までゆったりとさらりと聴かせるT111S、それよりは高域~超高域が得意でもう少しシャープな傾向のT113S,金属振動板らしく高分解能かつ超高域の空気感などを一番しっかりと再生できるT112Aといった感じでしょうか。
と言いながら、T111S,T112A共に現在メーカー欠品中で、皆様にはご迷惑をおかけしていますが、T111Sに関しては3月くらいには入荷できるのではと思います。T112Aに関しては諸般の事情により納期は全く未定となっているため、お急ぎの方は販売店様の在庫があれば早めにご購入いただくことをお勧めいたします。では今日はこの辺で。
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おもしろいトゥイーターですね。f特のグラフを拝見したとき、横軸の目盛りを読み間違えていましたが、一番右側は100kHzだったんですね。
これ、13cmウッドをスルーに、トゥイーターはコンデンサ一発で組み合わせてやると、ちょうど良い塩梅になりそうな気がします。
つい先日、とあるソフトウェアでCDから取り込んだ44.1kHz/16bitのファイルをノイズシェイピングで176.4kHz/24bitに変換中、途中で途切れたのに気づかず、変換前後のファイルを連続して再生してしまったのですね。
ヘッドフォンで「ながら」でチェックして、ちょっと横に目をやって別のことをしていたのですが、その瞬間「あれ~っ」という程、音が変わったのに驚きました。あわててスペアナをいると、40kHz以上まで、だいたい-3db/oct.で下がりながらも可聴帯域の変動に対応して変化しながら再生されているのと、20kHz以上がシャープに切り落とされてしまっているのとで、「あれ~っ」の原因がわかりました。
たしかNHKの実験では、可聴帯域外の音はトーンバースト信号であったと記憶しているのですが、可聴帯域と対応を持ちつつ、-3dB/oct.でずっと超高域までつながる音はやはり大切にしておかなくてはならないようですね。仮に聞こえないとしても、そういう帯域は「どうせ聞こえないんだから」とおざなりにしたトゥイーターや音源と、きちんとつくったものでは自ずと差が出るのだろうな、と思った瞬間でした。
PARCのツィーターはアルミも確保していますが、アレ、ちょっと他では無い音ですよね。まぁ自分もそんなに沢山のツィーターを聴いたことがあるわけではありませんが、普通の金属TWとは鳴り方がかなり違うように思います。
マルチwayの経験値が充分たまったら、いつかは使ってやろうと思っています。
10KHz近くの領域でつなぐのはこちらのほうがおいしそうですね。
2.5kクロスで使おうと考えているのですが、下まで使いすぎでしょうか?
>仮に聞こえないとしても、そういう帯域は「どうせ聞こえないんだから」とおざなりにしたトゥイーターや音源と、きちんとつくったものでは自ずと差が出るのだろうな、と思った瞬間でした。
個人的には、超高域は聴くというより感じるという感じではと思っています。私見ではありますが、耳だけではなく皮膚全体でも感じているような・・・。ちょっとオカルト的ですが。(^^;
>13cmウッドに組み合わせる予定です。3月くらいからスタートになるかな。
お待ちしております。レポート楽しみだなぁ。
>普通の金属TWとは鳴り方がかなり違うように思います。
そうですね。個人的にはハードドームではなく、セミハードドームという感じだと思っています。そんなことを考える大手メーカーなんてあまりないですからねぇ。
>111sで3wayを画策しているのですが、113sが使い方としてはドンピシャの方向なんですよね・・・
はい、そう思います。是非是非お試しくださいませ。
>2.5kクロスで使おうと考えているのですが、下まで使いすぎでしょうか?
う~んちょっと微妙かも知れません。使えないことはないですが、そこまで低くするのであれば、やはりT111Sの方がお勧めかも知れません。メーカーとしては高い方をお買い上げいただきたいところですが。(笑) これ冗談です。
話題は変わりますが、以前ダブルダンパーに触れていましたが、ダンパーレスについてはいかがでしょうか。
知人のダンパーレススピーカーの立体感は凄かったです。
>ウッドコーンと合わせるのなら15cmか17cmのどちらが能率的に合っているのでしょうか、
151Wは8オームなので全く問題ないと思いますが、171Wについては微妙で、検証していないのでちょっと断言はできないところです。ただ113Sはかなり聴感上の鳴りっぷりは良い方なので、予想としては171Wでもいけるのはないかと感じています。
>ダンパーレスについてはいかがでしょうか。
ウーファーやフルレンジでのダンパーレスの予定は全くありません。信頼性や構造上のデメリットを考慮するとあまり魅力を感じないというのが正直な感想です。