こんばんは。
今日はパルプコーン・フルレンジの続編です。前回13cm(DCU-F131P)はサブコーン無しでも出来るのでは、とのご質問をいただきましたので、今日は先にそれについて書きましょう。
結論を先に言ってしまえば、この13cmの場合はご指摘のようにサブコーン無しのコーンのみでもフルレンジとして設計することは可能だと思います。ただし、コーンだけの場合サブコーン付と比べれば特性面ではやはり少し劣ります。これを補足するためにコーン紙のパルプ強度を上げたり、少しきつめの含浸処理をする方法もありますが、下手にやると肝心の中域~中低域が薄めになったりうるさくなったりするので、これにも限界があります。PARC Audioの場合はとにかく中低域重視なので、高域特性とのバランス取りは他社のモデルに比べると条件的にちょっと厳しくなるのです。サブコーン無しである13cmウッドコーンフルレンジ(DCU-F131W)の特性を見てもお分かりのように、やはり10kHz以上はちょっと落ち気味です。
それに比べサブコーン付の17cmのDCU-F171Pは口径が大きいにもかかわらず皆さんもご存知のように20kHzまでかなり特性が伸びており、同じパルプコーンシリーズで口径の小さい13cmの方が高域特性が伸びないというのもちょっとどうかなぁという気持ちがあったことも事実です。もちろん特性最優先で設計をやるということはPARC Audioはやりませんが、DCU-F131PはPARCの音質ポリシーをキープした上で高域特性もしっかり出せた いうことが一番の採用理由です。前回書いたように私自身サブコーンにはアレルギーを持っていましたので、試聴時にマイナスの先入感があった上でも良いと思えた音質だということでご理解いただければと思います。
しつこいようですが、今回の2モデルはPARC Audioのフルレンジとしては珍しく(笑) 高域特性が伸びていますが、決して特性優先で設計したモデルではなく、あくまで厚い中低域を出せるフルレンジということで設計をしていますので、ご安心ください。
その一例として、他のPARC Audioモデル同様にこのモデルでも他社のフルレンジモデルでは一般的に使用する磁気ギャップへのショートリングは採用せず、ポールピース上へのショートリング配置としています。このショートリングについては後日もう少し詳しく書こうと思いますが、他社がよく使うショートリングタイプでは高域特性は出しやすいものの音質のバランスがかなり高域よりになるため私は基本的に嫌いです。
また今回はPARC Audioとしては初めてボイスコイルのボビンにクラフト材(早い話が紙製)を採用しました。このクラフトボビンというのは音質的にフルレンジに向いているので、他社のフルレンジでは一般的に使われているようですが、紙ということで耐熱性が少し弱く、スピーカーの耐パワー特性が落ちるので、私はあまり使わないようにしていましたが、今回かなり高能率にすることができたこともあり、少し耐パワーには目をつぶりクラフトボビンを採用したのです。
最後に価格の件ですが、これについては今回ちょっと複雑な事情があります。私自身も実は今でも納得していないのですが、昨年からの材料費高騰で同じ内容でも発売時期によって価格が大きく変わってしまい、結果として13cmと17cmでパルプコーンとケブラーコーンの価格が逆転するという変なことになってしまったのです。つまり13cmケブラーだけは少し前の材料価格での値付けのため他の3モデルと比べると内容的に安くなっており、お買い得ということになっています。
さて発売までいよいよ1週間をきりました。PARC Audioとして始めてのパルプコーンユニットがこれから皆さんにどのようにご評価を受けるのか、これからちょっと不安を感じつつも皆様の審判を待ちたいと思います。では今日はこの辺で。
フルレンジでお手軽にと思っても、ウッド、PP、パルプと素材だけでも3種類、口径を考えると・・・。
歪みが少なくて、音がスカッと出てくるような、そして、ボーカルやピアノが屈託無く鳴るような、そんなスピーカーを作りたいと思っているのですが、一体どのユニットが適切なのでしょう。
8畳程度の部屋で、スタンドは無いのでトールボーイを考えていますが、もしおススメのユニットがあればぜひ知りたいです。
せっかくだから2WAYでというアドバイスでも良いのですが、もしアドバイスいただけたら嬉しいです。
う~ん、なかなか難しいご質問ですね。
>歪みが少なくて、音がスカッと出てくるような、そして、ボーカルやピアノが屈託無く鳴るような
ご希望の音の方向は、PARCの基本的なサウンドポリシーなので、正直なところどのユニットも適合するのではとも思いますが、それでは答えにならないので強いて言えばということで回答させていただきます。
8畳程度の部屋で屈託無く鳴るようなということで言えば、少し余裕も必要でしょうから、口径はやはり13cmにされた方がよろしいかと思います。特に13cmはフルレンジだけでも3種類ありますから、もし将来的に他のユニットも試される場合、ご使用のBOXが流用できるメリットもあります。13cmの中で一つ選ぶとなると難問ですが、正直フルレンジの3つはどれもボーカルやピアノは得意だと思いますが、強いて言えば、ウッドコーンだけはPARC Audioのフルレンジでのハイエンドという位置づけで部品もかなり贅沢なものを使っているので、3つの中では一番高品位ということが言えるかも知れません。ただもし高域についてこだわりをお持ちでしたら、来週発売のパルプコーン(F131P)の方が高域は伸びているので相性が良いかも知れませんね。
一気に2WAYまでということでしたら、ご予算がOKであればやはりウッドコーンの171Wがお勧めです。このユニットはPARC Audioのウーファーのハイエンドというモデルですので、使用しているパーツも贅沢なものを採用しています。
これに組み合わせるトゥイーターは、アルミ、ソフトドームどちらでも合いますので、お好みでということになりますが、初めてのマルチ製作であればソフトドーム(T111S)の方が扱いやすいかも知れません。
フォステクス社製品とは別なショーケースでピュアオーディオ用スピーカーシステムばかり並べられたコーナーの真ん中にありますよ。
貴重な情報ありがとうございました。なかなか良い場所での展示をしていただいているようで、本当にありがたいことです。
先日秋葉店には行ってきましたが、こちらもウッドコーン五兄弟が鎮座していました。WEBの表示ではPARCのユニットは8cmだけなのですが、実店舗の方が取扱数が多いようですね。
ウッドコーンを試してみようと思います。
ちなみに、もし2WAYということでしたら、ネットワークが必要になると思いますが、推奨ネットワークはありますでしょうか。
ウーハー+ツイーターということになれば、ツイーター側をコンデンサで切るだけではなく、ウーハー側も手当てが必要になると思いますが、推奨のネットワーク構成はありますでしょうか。
本来はパーツを複数購入して聴きながら調整するのも楽しみの一つかと思いますが、周波数、カーブ両方を色々と変えながら試すには結構な金額も必要で、せっかくコストパフォーマンスの良いユニットを使っても本末転倒になりそうな気もしますし・・・。
もし、PARC様が試作されたときのネットワーク構成(+ツイーター)なり、推奨のネットワークを教えていただければ大変参考になります。(ネットワークと箱は切り離せないですから箱も・・・ということになるのでしょうか。)
でも、どの組み合わせをすればいいか悩みそうですね。
6dbか12dbか好みが分かれそうですし。
私は耳を頼りに適当にやっちゃいますが^^;
それより箱の設計図の方がほしいかなあ。
ネットワークは後から換えられますが、箱は作り直すのが大変です。
DCU-F171Pの推奨箱ってどんな形になるか楽しみです。
申し訳ありませんが、現在ネットワークについてはまだ公開できる内容がありません。やりたいとは思っていますが、他にもやる事があり過ぎてまだまだそこまで手が回らないのが現状です。
将来的には何らかの情報公開をしたいと考えておりますが、まだまだ先になりそうなので、真に申し訳ありませんが気長にお待ちいただければと思います。
ただネットワークパーツに関しては、現在発売に向けて最後の調整をしているところです。よろしくお願いいたします。
すみません、推奨箱は早くやらなきゃいけないと思っているのですが、なかなか公開までできてないものが多く、本当に申し訳ないと思っています。何とか、夏が終わるまでには完了させたいと思ってはいるのですが・・・・・。
もし、可能であればで結構なのですが、
171W+T111Sの場合に、おススメの
カットオフ周波数、カーブなどありましたら
教えていただけると嬉しいです・・・。
(補正回路を使うべきとか、その辺も
もしアドバイスがありましたら・・・)
お手数かかる質問でごめんなさい・・・。
具体的に検討が進んでおらず、あまりいい加減なことは言いたくないので、私の基本的な考え方を書きますので参考にしてください。
171W、T111Sともに特性は素直なので先ずは12dBで試されればよいのではと思います。私もこれで検討予定です。クロスは先ずは3kHz~4kHzくらいから試そうかと考えていますが、まぁこの辺は特性と試聴を繰り返しながらカット&トライで決めていくのがいつものパターンなので、実際にやってみないとなんとも言えないところです。中途半端ですみません。
また私はシンプル イズ ベスト(Simple is best) というのが信条なので、NWのあまりこった補正回路は好きではありません。入れるとしてもダンプ抵抗くらいでしょうか。