エンタープライズアプリケーション志向

成功は気づきと行動から生まれる。

感想文:メガバンクの誤算

2009年03月29日 22時59分04秒 | 感想文
キーワード
・日米の銀行の歴史(1960~2000年ぐらい)
・銀行 vs 証券
・日米の差が出来た理由
・日本の経営層の危機感の無さ(不倒神話)

この本を読んで思うことは
日本の銀行は金利のダンピング合戦をして、企業への融資を行ってきた。
大して、アメリカは様々なサービスを提供することで
顧客のニーズを満たすことを目指した。(それにより利益を得ようとした)

この例が日米の違いを端的に表しているように思えます。

これは金融だけでなく、企業でも同じ。
受注するためには競合によるダンピング合戦が行われ
体力のあるところが勝つ。

これは大口顧客ほど顕著だ。

アメリカの実際の現状はわからないが
価格を下げるだけでなく、機能、納入までの期間、品質
これらを総合的に判断して、顧客への価値を提供する。
少なくともアメリカ発の教科書には、そんな内容が書いてあります。

大して、日本の場合は期限、機能は絶対。
価格はなるべく安く。
品質は「よしなに」、といったところではないでしょうか。

著者は日本の銀行のモラルハザードについて言及していますが、
これはアメリカでも、どこでも同じでしょう。
(著者もアメリカの利益偏重主義には懸念があるとは言っていますが)

「勝てば官軍」その通りです。
それが資本主義でしょう?

ビジネス的な戦略において、キレイごとは夢物語なのは
長銀のトップを走ってきた著者ならわかっているはずです。

本の中で「住宅ローンの証券化という画期的なアイディア」というような文がありましたが
これはきっと、現在のサブプライム問題の原因でしょう。
(この本は2002年出版です)

最後に、著者はアメリカ金融の光と影を認識し、
光の部分を見習うべきだ、とありました。

この本では、うっかり読み間違うとアメリカ万歳のように見えますが
アメリカにも失敗した歴史があり、
すべて正しいわけではないというスタンスを取っています。

また、これを読んで初めて銀行 vs 証券という図式があることを知りました。

金融の歴史を知るためには、オススメの一冊です。

最新の画像もっと見る