グループ再編に乗り出したパナソニックは、白物家電を今後も主力事業と位置付ける。今後、その成長性を担うのが海外展開。
現在は、同社の白物家電のほぼ半分を国内販売が占めるが、海外販売で年率15%成長を目指して2012年度には海外比率を6割まで高める計画。
新興国をターゲットとしたボリュームゾーン戦略の成否がこのグローバル競争を勝ち抜くためのカギとなる。
●地域を越えた連携も
「新興国市場でマーケットリサーチをきっちりして、機能を割り切った商品を出せば大きな成長ができると確信できたのが、この上半期の最大の成果」。
大坪文雄社長がこう振り返るように、10年4-6月の新興国での販売実績(三洋電機除き)は、前年同期比24%増と好調だった。
その背景にあるのがボリュームゾーンに特化した商品展開。中国でのタテ型洗濯機や壁掛けエアコン、インドネシアでの冷蔵庫などが実績を上げた。
さらに中国では、10月にインバーター搭載の電子レンジを発売したばかりで、12月には直冷2ドアの冷蔵庫の投入も計画している。
このボリュームゾーン戦略を白物家電事業ではさらに推し進める。
インドネシアやベトナムでは大増販を仕掛け、インドでは12年度までにを建設してエアコンなどを現地生産する。
その後は、ブラジル市場への攻勢も本格化させる。ブラジルでは現地モデルの開発や製造を台湾子会社に支援させるなど、地域を越えた連携にも踏み込む。
●加速する海外展開
海外展開では、ボリュームゾーンと並んで欧州事業も強化する。
09年に冷蔵庫と洗濯機を市場投入し、白物家電で本格参入を果たしたが、現在は高中級帯だけの品ぞろえ。
今後もこの価格帯で環境技術を訴求した商品群を充実させ、同時に現地メーカーのリソースを活用し、OEM(相手先ブランド)調達で普及価格帯の商品をそろえる。
これにより、12年度に09年度比で1.7倍の売上高を目指す。
パナソニックでは12年度からスタートするグループ再編後の新体制で、国内・海外で分けていたコンシューマー・マーケティング機能をグローバルに一本化。
文字通り、日本もグローバル市場の中の一国に過ぎなくなる。
大手電機の中で国内への依存度が比較的高いパナソニックが国内脱却を進めるためには、白物家電の海外展開の加速が欠かせない条件となる。
【記事引用】 「日本経済新聞/2011年11月9日(火)/9面」