goo blog サービス終了のお知らせ 

TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 545

2025年07月20日 | エッセイ

 ロサンゼルスから国内便でサン・フランシスコ方面に向かって一時間か二時間のところに「San Jose」と云う街がある。土地の人間は「セノゼ」と云っているが、それ以外の人たちはその他に「サン・ジョセ」「サン・ノゼ」、又はメキシコ風に「サン・ホセ」と云う人もいる。どれが正しいのか私にはわからない。だが、土地の人たちが云うセノゼで通したい。

 現役時代の事であるが、ロサンゼルスでの仕事が全て終わった。取引先の好意で仕事が予想をはるかに超える速さで終わったのだ。「San Jose」に高校時代から家族ぐるみで付き合っていた仲の良い友人がいる。彼女のご亭主は空軍の大尉で、戦闘機の重要な部分を撮るプロのカメラマンだったが日本人と結婚したことにより、その任を解かれてしまった。彼は「友好国のお嬢さんと結婚して、この仕事を続けられないとは冗談じゃない」と云って空軍を辞めて、一流のピザ店での修業を終えると自分のピザの店を開いた。その店を開くにあたり、友人の母親から多額の資金を預かり、空軍の軍人軍属に両替と送金をお願いした。私からその話を聞いた多くのアメリカ人の友人たちの協力を得てかなりの額の闇ドルを彼に送ったことがあった。この機会に友人に会い、その店の状況を知りたいと電話してみた。友人は喜び、何日でも私の家に泊って行ってくれと云われた。

 取引先に、「San Jose」への行き方を聞くと、ロサンゼルス空港まで送ってくれ、「あそこのカウンターでチケットを買い、そこで乗り場を聞いてくれ」と云って彼は再会を約して帰ってしまった。チケットを買った後は乗り場までは簡単に行けた。友人に予定到着時間を電話すると「主人と一緒に空港まで迎えに行くわ」と云ってくれた。

 「San Jose」まで行く飛行機に乗ると、座席のテーブルには既にビールの小瓶とおつまみが置かれていた。座席が狭く、田舎を走るバスに乗った感じだった。隣に座った客と話が弾み、「どこまで行くんだ?」と聞かれた。おかしなことを聞く奴だなと思ったが、「セノゼだ」と云うと、「それなら此処だ」と云って前方に向かって「降りる客がまだいるぞ!」と大声で云ってくれた。そして、私に「出口は後ろだ。またな」と云ってくれた。後ろを見ると、階段が下ろされているのが見えた。礼もそこそこに急いで出口に向かった。「San Jose」で客を下ろすと、次の空港まで行くのだそうだ。チケット売り場ではそのようなことは一言も云ってくれなかった。危ないところだった。

 友人のご主人に「俺の店に寄って、ピザを食って行ってくれ。旨いぞ!」と云われた。確かに旨かった。ロサンゼルスで食べたピザは台が厚めに切った硬い食パンのようだったが、彼の店「Old Calif」(オールドカリフ、古き良き時代のカルフォルニアを懐かしんで付けた名前だそうだ)のパイの台は何処までも薄く、具が多く、何よりチーズが旨かったのを覚えている。

 上野寛永寺の写真を掲載するが、最近撮ったものではない。何年か前に撮ったものである。当時は時間さえあればどこへでも、また掛け持ちで撮影に歩き廻っていた。車を止して電車とバスでの移動に感動し、非常に便利だと感じていたのを覚えている。

 


折々の写真&雑感 544

2025年07月13日 | エッセイ

 先週のブログに「ずぼらレンズ」と書いたが、その持ち主やレンズがいい加減と云うことではない。持ち主は非常に几帳面な写真仲間であり、レンズは18ミリの広角から300ミリの望遠レンズであり、おまけにマクロ機能までついたニコンのニッコールレンズの名品である。今では販売されていないが、これが一本あればレンズの交換をせずに殆ど全ての被写体を撮影出来る。此処からそのような呼び名が付いたのであろう。残念だが、私が使用しているキャノンにはこのようなレンズは発売されていない。

 現在では考えられないが、カメラにゴミの除去装置がついていないときにはレンズを交換するときによほど注意しないと撮像素子にゴミがついてしまうのでかなり神経を使っていた。最初はAPSカメラだったが、フルサイズのカメラが発売されるとそれに飛びついて買った。而し、ゴミの問題には非常に苦労した。どんなに気を使っても、フルサイズのカメラ(初代のEOS5Ⅾ)の撮像素子はAPSカメラに比べるとかなり大きい分ゴミが付きやすかった。どんなに気を使ってもレンズの交換の都度必ずゴミが付着した。当時は新宿にキャノンのサービスステーションがあったので、ゴミを取って貰うために足しげく通った。あのセコイとの噂のあるキャノンが、ゴミの除去を無料で行っていた。だが、ゴミ取り装置の付いた機種を売り出すようになると、今まで無料だった除去作業が有料になった。確か一回が千円だったように記憶している。

 丁度そのころ、偶然に知り合ったプロの写真家にゴミの付かないレンズ交換の方法を教わった。外すレンズと新たに装着するレンズを一緒に横にずらして交換するのだ。この方法を試してみると、奇跡が起こったようにゴミの付着がなかった。而し、交換を何回も繰り返すとどうしてもゴミがついてしまう。空を撮ってゴミが映っていると落胆した。仕方なく有料のごみ除去に何回も何回も通った。

 現在はゴミ取り装置のついている7DIIと5ⅮIVを使っているが、それでもレンズ交換の時は横にずらす方法で行っている。フィルムカメラの時代では考えられない神経の使い方だ。

 久しぶりに日本民家園の写真を掲載したい。何回も云うようだが、この暑いさなかに苦労して坂道を登ってまでも私にとっては撮りたくなる魅力的な被写体である。


折々の写真&雑感 543

2025年07月06日 | エッセイ

 先週のブログで、アリゾナの温泉が出る土地の価格を1エーカー(1,200坪)で30万円と書きましたが、7年か8年前のブログにほぼ同じ内容で1エーカーが95万円と書いたのを思い出しました。恥ずかしい話ですが、正確な価格がどっちだったかを思い出せません。誠に申し訳ありません。何れにしろバカ高い値段で我々に売ろうとしていた詐欺業者がいたことは確かです。不手際を重ねてお詫び申し上げます。

 私の部屋は北向きで、陽は一切入らない。養子ではないが、何故かここが私の部屋になってしまった。冬季はエアコンで充分に温めなければとても住めるもんじゃない。だが、夏はいい。今日(この原稿を書いている日)などガラス戸を少し開け、厚手のカーテンを閉めているとエアコンの必要は全くなかった。

 ダイニング・キッチンに行ってみると、東の窓が大きく開かれ、エアコンは点いていなかった。家内は「昨日と比べ、4度も下がっているのでエアコンの必要がない」と嬉しそうな顔をして云った。前日に比べ4度も下がったとは云え、30度にはなっている。人間の体感とはおかしなものだ。

 現役のころ、アフリカのマダガスカルの乾期である冬(日本とは逆の5月半ばから10月半ば)に毎年通い続けていた。ご存じのようにマダガスカルは南半球に位置するため、北に行けば行くほど暑くなる。マジュンガ(グーグルの地図ではマハジュンガとなっているが、マジュンガが正しい)の夏は40度から45度にもなる。口で息を吸い込むと喉が焼けるように感じる。而し、このような温度でも日本のムシムシする夏より、アフリカのマダガスカルの方がずっと過ごしやすい。森に入ると半袖シャツでは寒いぐらいに感じる。特に、川の岸に行き、樹の下に入るとすぐにでも長袖のシャツが欲しくなるほどだ。この川は乾期には水が減り、魚は通常の状態では泳げず、横になって泳ぐ。まるで違う世界に行ったようだ。

 首都のアンタナナリブ(これも同じくアンタナナリボではなく、アンタナナリブだ)は夏でも気温が22度から23度だ。日本人の私にとっては半袖で充分過ごせるが、マダガスカル人はセーターを着たり、少し薄手のダウンジャケットを着る人までいる。ホテルのボーイに「長袖のシャツかセーターをお貸ししましょうか?」と云われたことがあった。飛行機の中で冷房が効きすぎる場合に備えて必ず薄手のセーターを持参することにしている。マダガスカルにいる間はそのセーターを着ることはないが、アンタナナリブに滞在中に、急に気温が下がり、そのセーターにお世話になったことがある。そんな時、ハウスメイドたちは大急ぎで各部屋に予備の毛布を届けに廻る。客によってはもう一枚欲しいと云う人もいるらしい。だが、マダガスカルの冬(日本では夏)は私にとっては天国だった。

 府中の郷土の森に行く予定だったが、雨の心配もあったので神代植物公園に変更した。二週間ほど前に私が一人で行ったときに比べ、アジサイの咲き具合はかなり変わっていた。きれいに咲いていたガクアジサイやアナベルは花びらが枯れているのもが目立った。だが、その時に咲いていなかった「うずアジサイ」にお目にかかれた。

 オオタカの撮影組もお大勢来ていたが、前回よりは多少少なくなっていた。仲間の一人が18から300ミリの「ずぼらレンズ」を着けていたので、巣を確認して貰ったところ、雛はかなり大きく育っており、親鳥に逆らって別の方向を見ていたようだと云っていた。

 

 


折々の写真&雑感 542

2025年06月29日 | エッセイ

 マダガスカルのコルベールホテルを出ると、今までに会ったこともない男に「旦那、ヴィラを買う気はありませんか?今なら半値にします」と云われた。ご存じのようにヴィラとは英語でもフランス語でも別荘を意味する。唐突な話で、胡散臭そうな男だったのでそれ以上聞く気もしなかった。黙って客待ちのタクシーに乗った。

 次の朝も同じ男が私を待っていた。そこへ丁度取引先の社長が私を迎えに来た。それを見た胡散臭そうな男は早々に姿を消し、二度と姿を現さなくなった。マダガスカルではどこに家を建てても別荘だ。可笑しな奴だと思いながら、私を迎えに来た社長に「マダガスカル語で別荘(ヴィラ)は何と云うのですか?」と聞いてみた。しばらく考えてから彼は「そんな言葉はないでしょう。あるとすれば、フランス語のヴィラです」と云った。

 アメリカの空軍に勤めていたころ、アリゾナの郊外に1エーカー(1,200坪)で30万円との広告が週刊誌に掲載されているのを見た。然も、その土地には至る所で温泉が出るそうだ。1,200坪で30万円なら、安いもんだと思い、アリゾナ出身の二等軍曹にどのような土地かを聞いた。すると彼は広げた地図の上に先のとがった鉛筆を立て「1エーカーなんてこの鉛筆の先より小さい土地です。ニューヨークなら値が付くかもしれませんが、アリゾナのこんな場所ではタダでも買いません。こんな土地に30万円も出すなら、3,000エーカー以上(360万坪)以上は買えます」と云い、次いで「騙されないで下さい」と云った。週刊誌の広告主は10円もしない土地を30万円で売ろうとしていたのだ。

 マダガスカルで私に別荘地を売りつけようとした男はアリゾナと同じ商売をしようとしていたのだ。だが、マダガスカル語には「別荘」も「別荘地」を表す言葉もないと聞いた。恐らく、不法滞在の中国人からこの詐欺商法を教わったのだろう。「食うや食わずで中国から逃げてきた中国人は一部を除いて、ほんの一部を除いて悪事で生計を立てるしか方法はなかったのです。困ったものです。何とか彼らの入国を食い止める旨い手はありませんかねぇ?」と外務省の役人に聞かれたことがあったが、私には思いつかなかった。中国人が目立ち始めたころはマダガスカル全土で2万人ほどと聞いたが、あっという間に5万人に膨れ上がった。今ではその何倍、いや何十倍にもなっているだろう。彼らは不法でインチキな博打にマダガスカル人を誘いこみ、負けを払えなくなると貴重な木材の不法伐採を行わせ中国にどんどん輸出している。

 前回に行った神代植物公園の写真の処理を間に合うように頑張った。それを以下に掲載したい。古民家や動物ほど夢中になる程の被写体ではないと前回に述べたが、撮っている間は、被写体にレンズを向けている間は全神経を注いでの撮影に変りはない。

 

 


折々の写真&雑感 541

2025年06月22日 | エッセイ

 予定していた6月の第二週は、皆の日程が合わず、私は一人で神代植物公園のアジサイを撮りに行った。雨の翌日だったせいか、瑞々しいアジサイに出会えた。私の乏しいアジサイの知識では、厳密な分類は出来ないが、それでもガクアジサイ、アナベルと柏葉アジサイの区別位はついた。そして、ガクアジサイは日本が原産であることも知った。

 神代植物公園に着いてすぐにバッグからカメラを出して目的地に向かった。小さな橋を渡った先の道の中央に看板が幾つも連続して立てられているのを見た。通行止めかと思ったが、よく見ると「オオタカが営巣をしています。脅かさないように静かにお願いします」との看板だった。看板を通り越した先に重そうな望遠レンズを抱えた人たちが大勢集まっていた。中には望遠鏡で状況を観察している人もいた。恐らく雛がかえり、彼らが巣から顔を出すのを待っているのであろう。

 オオタカを撮る人たちとアジサイを撮る人たちの距離は5メートルと離れていなかったが、お互いに邪魔をしないように気を使っていた。彼らは遥か上を撮り、我々アジサイ組は目線の高さかそれ以下を狙っていた。アジサイを撮り始めると他の人たちのことは忘れてしまい、移動するときだけ気を遣う状況だった。

 コロナ禍を境に、マクロレンズを使って花を撮ることが多くなったが、古民家や動物を撮るときほど夢中にはなれない。ある程度撮ると休みたくなってしまう。そんな時は持参のサーモスの魔法瓶からコーヒーを注いで飲む。実に旨い。これは夏でも冬でも続けている。一休みすると、新たな気分で花を撮りたくなる。他のものを撮ろうにもここでの被写体は花しかない。

 アジサイをほぼ撮り尽くしたと考え、芝生広場の方向に向かった。そこに向かう途中には多くの花が植えられ、まじかで撮れるのでマクロレンズでの撮影に適している。だが、花の名前はアガパンサスぐらいしか知らない。この日の花たちの写真は次週に掲載を予定している。

 お昼は深大寺ソバではなく、吉祥寺の公園口のエスカレーターを降りて左に行ったすぐのところにあるおにぎり専門店の「権米衛」で買い求めたおにぎりである。一人の時は此処で買ったおにぎりを外で食べる。実に旨い。そして大きくて安い。お米の値段が去年の倍になった現在でも値上げしていない。「値上げしないで、大丈夫なの?」と顔なじみの店員さんに聞くと、答えは複雑な笑顔だった。だが、以前より大きさが少し小さくなったような気もするが、気のせいか?食べた後の満足感は変わらない。

 近くの公園に、それこそ雨の合間に行った。花の数は少ないが、それを撮る人はスマホで撮る人を除けば私以外に見かけたことはない。