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凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

フルネルソン

2007年06月12日 | プロレス技あれこれ
 フルネルソンという技について書こうと思っていて、あまりに知らないことが多すぎて困った。いかに僕の周辺知識が不足しているかということの証明なのだが、いったい「ネルソン」とは誰なんだろう。誰、と書いていいのかどうかもよく分からない。多分人の名前だとは思うのだが。
 こんなことはアマレスの知識のある人なら簡単に回答の出ることなのかもしれないが僕はプロレスばかり見ているのでよくわからない。技の開発者の名前を冠しているのだと推測はするのだけれども。
 というふうに、ネルソンという技はアマレスでよく聞く。アマレスのフォールの手段として、またはポイントを得る技として、バックを取ってグラウンドの状態で相手の脇の下から腕を入れて首を押さえつけ固める。首を極められると相手は動けなくなる。そういう固め技であるが、プロレスではその首を過度に極める。もちろん動けなくなるだけではプロレスは勝敗が決まらずギブアップを奪わなければならないので、両腕をバックから差し込んで首をぐっと押さえつける。つまり「羽交い絞め」だ。グラウンドでは観客がよく見えないのでスタンディングでやるのが常套である。これが「フルネルソン」である。

 この技は、羽交い絞めであるから相手の肩が極まりそこにもダメージはあるが、主として首を極めている。後ろから相手の首を両方のかいな力でぐっと押し下げるわけであるのでダメージが大きい。呼吸も困難になる。同様のダメージを与える技にスタンディングクラッチやフロントネックロックがあるが、スタンディングでしかも相手の苦悶の表情がよく見えるのがフルネルソンの良さである。
 しかし、これは廃れた技だと言ってよかった。なんせ地味である。それに、器用さを必要としない(言っちゃ悪いが誰でも出来る)ので、観客が驚かない。
 僕は、"スーパースター"ビリー・グラハムにぎりぎり間に合った世代ではある。元WWWF王者。一時期はニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンに君臨した。
 ニューヨークはパワー・ファイターがお好みである。グラハムが王座を奪った相手はあの「人間発電所」ブルーノ・サンマルチノ。カナディアン・バックブリーカーで一世を風靡した力持ちである。そして敗れて王座を渡した相手はボブ・バックランド。彼はオールラウンドプレイヤーだが、ニューヨークではパワーを前面に出しアトミック・ドロップをフィニッシュとした。その後筋肉マンの系譜はハルク・ホーガン、ランディ・サベージらへと受け継がれていくのだが、その象徴のようなレスラーであったのではないか。
 使う技はベアハッグやキャメルクラッチのようなパワー技。とにかく怪力を前面に出し、そのフィニッシュとしてフルネルソンがあった。背後に回って羽交い絞めにとり、力をグンと入れる。相手の首がガクリと落ち、さらに二度、三度と振り回す。もう相手はグロッキーである。結構えげつない。
 だが、これはちょっとフィニッシュとしては地味であったのだろうと思う。あまり深みがない。僕などは子供であったので「こんな技で極まるのか」とビックリしたが、こればかりではどうだったろうか。事実、ニューヨークのMSGでは一年を待たずに王座を陥落している。それでも「よく持った」という評判で、これは後に聞いたところによると、グラハムは頭の回転がよくインタビューなどは絶品だったらしい。それが彼の人気を支えていたわけであったらしいが、こちとら英語などわからないので本当のところはよく知らない。新日に来ていたのを観たがやっぱり日本では人気が出なかった。後にTV「世界のプロレス」で観たときにはアタマを剃って空手スタイルとなっていたが、やはりフィニッシュはフルネルソンだったなぁ。
 その後、ビリーグラハムはステロイドの後遺症に苦しんだと聞く。怪力豪腕タイプの末は本当に厳しい。自らの身体を犠牲にせざるを得ないプロレスラーの悲哀がここにもある。無理をしたのだろう。

 その後、フルネルソンという技は痛め技でも観られなくなった。小橋健太が一時期やっていたようにも思うが、やはり廃れた。どうしても「パワーだけのデクの坊」がやる技とといイメージがあるからだろう。
 と思っていたら、最近ではどうも復活しているらしい。僕はWWEは全然観ていなかったのだが、クリス・マスターズというレスラーがフルネルソンをフィニッシュにしていると聞き、早速何試合か観てみた。
 いかにもボディビル上がりという体型で、肩の筋肉が異常に盛り上がっている。試合自体はやはりパワーにものを言わせるスタイルで、そのフィニッシュは「マスター・ロック」と名付けられているがどう見てもフルネルソンである。こういうネーミングはもうやめて欲しいのだがしょうがない。それにマスター・ロックはやたらに振り回すので「じわじわ極める」という感じが欠落している。そこが惜しい。これはこれでいかにもアメリカンだが、日本のプロレスとは全然接点がないようだ。まだかなりの若手なので、この先どうなっていくかはよく分からないけれども。

 さて、「ネルソン」という技の定義は、アマレスを知らないのでちゃんとは説明出来ないけれども、腕をとって極めて首(後頭部)を同時に押さえつける技、と言えばいいのだろうか。詳しい人がいらっしゃればご教授願いたい。
 背後から両腕を極めてアタマを押さえつけるのがフルネルソン。ハーフ・ネルソンというのもあって、これはフルネルソンを片腕だけでやるものだが、これでは不完全でもちろん極まらない。小橋のやるハーフネルソンスープレックスにだけその形が現れると言ってもいいだろう。あれはなんでああいう形で投げるのかな。フルネルソンスープレックスというものがあって、もちろんこれはスープレックスの究極の形でつまりドラゴンスープレックスなのだけれども、わざわざ片腕だけでやるからバランスが取りにくそうだ。小橋の豪腕だからなんとか形になっているけれども、必然性がよくわからない。深く考えないようにはしたいと思うけれども。
 クォーターネルソンという形もある。これは組み合いの中で腕を取って頭を押さえつける形であり極める技ではない。ところで、クォーターネルソン・サルトというのが前田日明の七色スープレックスの中に数えられていたけれども、あれをちゃんと見たことがない。クォーターネルソンと言うくらいだから相手の正面から掛けるのだろうけれどもどう仕掛けるのか。腕は取っているのかな。本当によくわからない。さらにスリークォーターネルソンという形もあってもうなんだかよくわからなくなる。図解入りの資料がどこかにあったのだが紛失しちゃったのですよ。ふぅ。

 ここからさらにややこしくなる。戯言だと思っていただいてもいいし、繰言と思っていただいてもいい。詳しい人は教えてくれないだろうか。定義と形態を。
 リバース・フルネルソンという技もある(らしい)。らしい、と書いたのは、実はよくわからないのだ。写真などで見たことはあるのだが、実際にTVや会場では未見。どういう技かというと、フルネルソンを相手に仕掛けて、その体勢のまま相手を飛び越えるように前方回転しブリッジをして極める。こう書くと相当えげつない感じがするが(腕も首も骨が折れそうだ)、この技を僕はぼんやりとしか覚えていない。ぼんやり、と言うのは、最初フルネルソンに仕掛けるのだったっけ? それとも後方から相手の両腕を後ろ手にとってクラッチして前方回転だったっけ。もうあいまいなのである。後者であればそれはリバース・チキンウィングと同型であるようにも思える。ああ僕ってプロレスをちゃんと観ていないなぁ。ポイズン澤田JULIEがやるキャトルミューティレーションと同じ技だっただろうか? 最近ブライアン・ダニエルソンがやっているのも観たけれども。ややこしくてよく分からないのですよ。
 リバース・ネルソンという技からしてわからない。これは、つまりダブルアームスープレックスを掛ける前段階の状態とも言われる。相手の正面から両腕を後ろに(チキンウィングみたいに)取ってクラッチする状態。ここからダブルアームスープレックスを仕掛けるわけだが、これはこれでしっかりと首を脇に差し入れて押さえつけ、両手をクラッチして持ち上げるようにして極めればデスロックになる。三沢が以前やっていた。キツい技だが、痛め技として有効である。
 しかし、僕にはもうひとつ、リバースネルソンホールドといって思い出される技があるのだ。逆ネルソンホールド。
 これは、リングの上で見たわけではない。なので該当しないかもしれないが、プロレスファンの中にはコミックス「1、2の三四郎」を読んだことがある人もいると思う。あの中に出てきた、レスリングの達人である西上馬之助が柔道の試合で掛けた技。それが「逆ネルソンホールド」だった。
 この技は正面から。相手の両腕が伸びた状態で、その腕を自分の両脇に挟むようにして固定し、相手の伸びた両腕の外側から回すように自分の腕を潜り込ませる。もろ差しの相手に閂状態である。そのかんぬきの腕で内側から相手の頭を押さえ込む。この状態で両腕を極めて首相撲のようになる。あとは、引き付ければ完全に極まる。西上馬之助は相手に乗っかるようにして足も絡ませて動きがとれないようにしていた。これは恐ろしい技で、肘関節と首が完全に極まり呼吸すら難しい。
 これが、僕はずっと逆(リバース)ネルソンホールドだと思い込んでいた。だがしかしコミックスの話であり、しかもアマレスの技だと断ってある。プロレスはまた違うのであろう。逆(リバース)とは何に対して逆なのか、という定義づけも必要であるかのように思う。しかし西上馬之助のこの技はプロレスでやればまずギブアップは必至で、秋山のネックロックも真っ青だと思うのだが。


6 コメント

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Unknown (sea)
2010-11-11 16:49:45
最近では対面式フルネルソンパワーボムを必殺技にしてるレスラーがWWEにいるけどね(笑)
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>seaさん (凛太郎)
2010-11-13 12:31:23
WWE全然観てないんですよ(汗)。
対面式フルネルソンってのは、つまりリバースフルネルソンのことですかね。ということは、三沢がやってたタイガードライバーの、両腕のロックを離さずにやるスタイルでしょうか。で、フィニッシュは逆さ押さえ込みのような形になる、と。
これは強烈ですね。うーむ。
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Unknown (sea)
2011-01-29 19:33:47
一回コメントしたきり、忘れてた・・ 技の形は相手がバンザイする形になります。 技を使ってたのはルーク・ギャロウズ(元偽ケイン&フェスタス)です。 ちなみに最近はザ・ミズがストロークをスカル・クラッシング・フィナーレという名前で使ってます。
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>seaさん (凛太郎)
2011-01-30 17:49:56
ははあなるほど。ありがとうございます。
つまり、相手の頭部は立ったままなんですな。正面から脇に腕を差し込んで相手の顎の下でクラッチ。んで、倒れこむと。
腕と首は固めてあるので受身とれませんね。キビしそうな技です。
しかし、首の極め方がネルソンと言えるのかなぁ。そこが、疑問。まるきり逆ですしね。これがネルソンホールドであるなら、上の記事で書いていることは全面見直しということになりそうです(汗)。どうしよ(笑)。
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Unknown (sea)
2011-01-31 18:46:47
念のため、調べてみたら正確にはフルネルソンではなかった・・ WWE・COMには対面式フルネルソン的体勢と書いてありました。 僕の勝手な勘違いにより、ご迷惑を掛けてしまい、どうもすいませんでした。
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>seaさん (凛太郎)
2011-01-31 22:16:55
いやとんでもない(汗)。全く迷惑などではなく、知らない技のことを考えて面白かったです。普通、コメント書きっぱなしの方が多い中、ちゃんと誠実に対応していただけたのも嬉しかった。こちらこそ、モノ知らなくて申し訳ありませんでした。
是非またお寄り下さい。
m(_ _;)m
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