凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

安いウイスキーを呑みながら

2005年05月26日 | 酒についての話
 僕だって上質のウイスキーを呑む。(たまには)
 たいていはもらい物であるが。まだお歳暮その他の進物用としてウイスキーを贈る風習はあり、僕はチンピラなのでそういうものには滅多にありつけないが、偉いさんなどは余るほど貰う人も居て、そういう人の中にはさほど呑めない人もいる。そういう人と付き合っていると、「これ呑まないか」などと有難い声がかかることもあり、丁重にいただいてくる。
 もちろん自分で買うこともある(当然だが)。疲れた夜半過ぎ、一杯のストレートが心を癒してくれる。そういうときには、上質のモルトウイスキーが欲しくなる。
なので、家にはオールド・パーもあれば、シーバスのロイヤルサルート(21年もの)も寝ている。時々は夜も更けた頃に一人グラスを傾ける。

 だが主体はむろん安ウイスキーだ。
 ウイスキーなどという飲み物は食事中に呑むものではもちろんない。上記のように食事後にゆっくり呑むのが正しいとは思っている。しかし、年齢からか食べすぎか、昨今尿酸値が高くなり(汗)、痛風が怖いのでプリン体を多く含むものを避けなれけばならなくなったある時、ビールの代わりに冷やした安ウイスキーを水で割って氷を浮かべて呑んだ。ビールはプリン体の含有量が多い。
 これは案外いけるものなのだ。意外にお好み焼きや串カツにも合う。外ではやらないが、家では誰に気兼ねすることもないので、ビールを控え安いウイスキーをガブガブ呑んで健康に気を遣っている。しかしそういうふうにして呑むのにバランタインやホワイトホースではもったいないでしょう。なのでウイスキーは2種類を呑み分けている。

 しかし、安ウイスキーはそんなに捨てたものではないのである。最近では、明らかに不味い、というウイスキーは少なくなってきた。メーカーも研究を重ねているのだろう。
 安いウイスキーとしてよく知られるのは、サントリーだとトリス、レッド、ホワイトなど。ニッカだとハイニッカ、ブラックニッカなど。これらのウイスキーはそれなりの味わいがある。もちろんローヤルやリザーブ、スーパーニッカなどとは別物だけれど、昔から呑み続けて来た郷愁の味とも言える。
 かつて、学生の頃、酒を覚えたての時分は、ホワイトやブラックニッカなどは最上級の酒だった。その頃はもっと怪しいウイスキーを呑んでいた記憶がある。もう今では無くなったが、21(トゥエンティワン)やNEWS、Q、コブラ…といった名称のウイスキーを覚えている人はいないだろうか? 中には無色透明のウイスキーまであった。まさしく「ウイスキー風飲料」であったと思うが、なんせ廉価で学生にはうってつけだった。しかしさすがに生のままで呑むのはあまり美味くなく、よくコーク・ハイにして呑んだ。騒ぎながらただ酔うためだけにゴクゴクと呑んだ。青春であったと思う。
 年を経て多少口がおごってしまった今になっても、例えば旅に出るときなどはわざわざトリスのポケット瓶を探して購入して夜汽車に乗ることもある。トリスと言えば、かつては「トリスをのんでHawaiiへ行こう! !」という山口瞳のコピーが一世を風靡したこともある国民的ウイスキー。しかし今では探さないと見つからないようになった。これを過ぎ行く車窓を眺めながらチビリチビリとやると、その舌にピリピリくる味わいがなかなかに旅情を喚起させてくれるものなのである。

 そういうことを書いていると、「オマエは結局ウイスキーの味がわからないのだろう」と言われること必至である。うーん。確かに利き酒が出来るほどウイスキーの味わいはわからないかもしれない。しかし、シングルモルトと「ウイスキー風飲料」の区別くらいはつくつもりである。
 実に簡単な見分け方がある。水割りにして飲んでみるのだ。
 例えばジョニーウォーカーの黒などは、シングルの水割りであってもさすがにジョニ黒の味わいを残している。いい香りだ。ところが、「ウイスキー風飲料」であると…。
 これはもう水の味しかしなくなってしまうのですね。ウイスキーの香りなどまるでナシ。薄めると馬脚をあらわしてしまうのである。一度試してみられるといい。
しかし、だから安ウイスキーはダメだ、とは言っていない。好みもあるのだ。重たい味わいを避けたい日もあるだろう。

 昔、僕が酒に興味を持ち始めた頃は、サントリーでも角、オールド(ダルマ)くらいがせいぜいのところで、リザーブ、ローヤルといったものがようやく浸透し始めたところ。上等のウイスキーと言えば舶来物(なんと古臭い言い方か)ばかりだったように記憶している。ところが税法も変わり、いい輸入ウイスキーが比較的たやすく手に入るようになった。そしてまた、サントリーでもモルトの山崎、白州などが発売され、国産と輸入物の差がなくなってきている。先日モルトウイスキーの「山崎50年」がなんと価格100万円で限定発売され、即日完売したと聞く。不況なんて何処吹く風だが、それだけ後進国の日本のウイスキーにも歴史が刻まれてきたのだとも言える。
 それだけに、安いウイスキーを帳尻あわせのように発売して欲しくないのである。安くて混ぜ物をしてあるウイスキー風飲料であってもここまで技術革新でレベルを上げてきたのだから、もっとプライドをもって発売して欲しい。ライトな味わいが欲しいときだってあるのだから。


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