昨日に続き、東井先生のこと。今日からは、私が好きなエピソードを一つ。山根功暉先生の文章です。
私が東井先生にめぐり会ったのは、三十代半ばの血の気の多い頃でした。
ある日のこと、締切り間近の論文原稿を徹夜で書き上げ、今日は東井先生に見てもらって発送しようと張り切っていました。
二時間目の休み時間に校長室へ行ってみると、姿が見えません。
教頭先生に尋ねても「さあ、知らんで」と言われるばかりでした。
私はだんだんいらいらしてきて「行き先ぐらい、ちゃんと言って出ればいいのに……」と東井先生の悪口を並べていました。
そんな思いで、校長室を何度も何度も覗きにいきました。
昼休みも午後も、とうとう帰る時間になっても、東井先生の姿はありませんでした。
今日この原稿を送らないと締切りに間に合わないし、どうしよう……といらいらし、困り果てて帰ってきました。
(つづく)
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