今日は、谷(という地名)のお墓参りに行きました。
谷の地で目にする新緑は、とても綺麗で、鮮やかでした。
下の写真は、今、青巖寺の池で咲きほこっている杜若(カキツバタ)です。
カキツバタと言えば、『伊勢物語』です。在原業平ですね。
東国へ旅に出た在原業平が、三河の国の八橋というところで、カキツバタが咲いていたので、「かきつばた」という五文字を句の上に置いて歌を読め、って言われたそうです。
そこで、業平が詠んだのが、この歌。
「
から衣
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞ思ふ」
“唐衣を繰り返し着てよれよれになってしまった「褄(つま)」と同じように、長年つれ添って親しく思う「妻」がいてくれて、でもその妻は今は自分が旅に出ているので一緒に居なくて、そのよれよれになってしまった衣を永らく張っては着てまた張っては着るように、はるばる遠く来てしまったこの旅を、今はしみじみと思うことです”
この歌を聞いた一緒に居た人たちは、皆、涙を流したそうです。
いやはや、即興で、これだけ文字に、想いを織り込んだ歌を詠めるというのは、さすが業平ですよね。