私は、東邦生命社長時代から「世界一家一体化運動」を提唱し、世界を動かしておられる各国の要路にある方々に面会して、その趣旨をご説明申し上げるなど、実践活動を懸命に行ってきました。併せて、私は、世界各国の最高指導者と言われている方々の発言や見解などにも、耳目を傾けてまいりました。
このなかで、最も印象的だったのは、ロシアのプーチン首相が、大統領在任中、アメリカのブッシュ大統領に対して語られた言葉であります。
プーチン首相は、「アメリカと同盟を結んでもいいから、ヒト、モノ、カネ、技術、産業、会社をロシアに持ってきてください」と懇請されてきたそうです。この発言は、歴史的に見て、極めて画期的なことでした。何しろ、第二次世界大戦後の「米ソ東西冷戦」の最中には、核兵器をはじめとする「軍拡競争」に狂奔し、際限なくエスカレートさせてきた両国です。それがプーチン首相の方から、「米ロ同盟」という言葉まで飛び出してきたのですから、まさにビックリ仰天です。
しかし、世界が平和と繁栄の方向に進んでいくことであれば、諸手を挙げて歓迎すべきことであります。そこで、私は、一つの「予測」を建てました。それは、「米ロが接近して行くと、世界の中心は、ウラジオストック、ブラッセル、ドバイに移ってくる」という予測です。これが現実化すれば、21世紀の世界には、文字通り「平和」が、間違いなく訪れてきます。私は、そう確信しているのです。
ところで、世界の中心となるこれらの都市のうち、日本にとって地理的に最も近い都市は、ロシア極東のウラジオストックです。最近の目立ったトピックスとして注目すべきは、「アジア・太平洋経済協力機構」(APEC=エイペック)が2012年にウラジオストック市で総会を開催するというニュースです。
プーチン首相は、大統領末期にウラジオストック市を訪問した際、「5000億円のインフラ投資をする」と景気のよい構想を打ち上げています。石油・天然ガス開発ラッシュで沸くロシアでは、富裕層が急激に増えています。経済の急成長めざましい中国の賑わいの影響を受けて、活気づいているのです。それは、ウラジオストック市やその近くのハバロフスク市などの地域にまで及んでおり、新築住宅建設がラッシュになっているようです。
これに対して、日本からは、建築資材がどんどん輸出されています。たとえば、島根県浜田市からは、「石州瓦」が輸出されており、その品質のよさが現地で評判を呼び、大量注文されています。輸送船には、「石州瓦」を積んだところの空間に、箱詰めにした野菜や果物を積んで輸出しているともいいます。新鮮な野菜や果物も、ロシアの人々に大人気だそうです。
浜田市では、官民が一体となって「ロシア貿易促進プロジェクト実行委員会」を設立して、さらなる貿易拡大を図ろうとしています。建材業者などは、ウラジオストック市やハバロフスク市などに出向いて、積極的に「商談」を進めているのです。
こうした動きに対して、新潟市や富山市、秋田市など日本海沿岸の各県市も、「浜田市の貿易の仕方を学びたい」として、積極的に活動しつつあります。同時に「アジア・太平洋経済協力機構」の総会という大イベントを「環日本海経済」を活性化させるための弾みにしようと意欲的に取り組んでもいます。
この意味でも、ウラジオストック市が、東アジアの発展、繁栄にとって、いかに大きな役割を果たしていくであろうことが、十二分に予測されているのです。
このウラジオストック市の将来性について、私は、かなり早い時期から、予想してきました。
この経験を踏まえて、顕した著書「アジア興しこそ日本列島均分繁栄への道」―「第一章 日本海を戦場の代わりに国際交易地帯に」のなかの「ソ連訪問前に提案検討したウラジオストック自由港案」という一節において、以下のように「ウラジオストック」の重要性について、力説しております。
「ソ連がゴルバチョフ書記長の主張するように、今後、太平洋国家として発展しようとすれば、考えられるよい方法があります。それは、ウラジオストックを国際自由港に仕立て上げることです。
シベリア開発に必要な資材をこの自由港を通して、アメリカ、カナダ、日本、韓国、台湾等から先進機材を入手し、またそれらの国々等へレアメタルを輸出することによりシベリアの経済発展と、ソ連の工業技術力向上に役立てることが出来ます。
その場合、アメリカがココムの条項を適用して、これらソ連の必要品目引き渡しを渋ることも考えられるので、これらの貿易の仲間に必ずアメリカをひとつ加えておく必要がありましょう。
中国にとっては、この地帯が中ソ国境を境にして吉林省の三江地帯に当たるので、もしも平和的共存が保障されるならば、東北三省の開発必需機材を、清津港を使う場合よりも、より精神的負担を考えずに取り引き出来るもの、と思います。
中国は北朝鮮内においては絶えずソ連との対抗を意識しなければならないのに対して、ソ連内であれば対抗意識の問題は発生せず、むしろ三江地帯の開発も中・日・米・ソの共同提携で進めることも出来るかもしれないからです。
問題は中国人の居住をどのくらい認めるかですが、ソ連にとっては居住許容数の多寡によって、三江地帯の共同開発にはずみがつくものとして、出来るだけ多くの居住が望まれます。
全世界の華僑は、全世界の物と情報をこの地域にもたらす最大の媒体になるもの、と確信します。
ウラジオストック国際自由港化は、米国にとってシベリア・中国東北三省・北朝鮮に入る最大の経路をもつことになり、黄海経由の対中貿易よりもはるかに日数の少ない実利の多い大型貿易を望むことが出来ましょう。極東における情報収集も、東京以上に価値の高いものとなるかもしれません。
レアメタルの産地をシベリアと中国北部両方の後背地にもつため、金取引の基地とのかねあいから、東京に対抗する第二の極東国際金融市場になり得る可能性すらも考えられます。
日本にとって、シベリア・中国東北部・北朝鮮の開発中継基地としての北海道・津軽海峡の存在は大きな魅力になってきます。
これまで、日本海の向こう側とは商取引が成り立たないという考えであったため、北海道も過疎化し、津軽海峡も軍事海峡の役割しかありませんでした。
日本海の波が軍事波から商業波に変わってくれば、千歳空港の国際化には一段とはずみがつき、苫東工業地帯も世界一の臨空臨海工業地帯として、北海道に対する若年労働力を吸収することが出来るようになるでしょう。
そのことはまた津軽海峡の商船の通過量を飛躍的に増大させ、十分に採算に載せることも可能となってくるでしょう。
ココムの禁輸が弛んでくれば、日本の各種情報機器は、怒濤のようにシベリアと中国東北部に流れこんでいくもの、と思われます。
北朝鮮も、ソ連経由または直接この地域から、各種の自由取引が全世界に対して可能となるだけでなく、韓国とのあいだのソ連中継の第三国貿易を開始することも可能となるでしょう。
これまで経済格差が韓国とのあいだにつきすぎてしまったため、合併問題がなかなか実現性を帯びてきませんでしたが、何らかの中継による貿易が可能となれば、日本との貿易も可能となります。経済格差のある国同士の貿易は、相互補完作用を果たして北朝鮮経済の急速浮上を行うことが出来ると思います。経済格差がありすぎる場合、南北両朝鮮の合併にはどうしても無理がつきまとうと思います」
「フレッチャー外交官大学院大学のジョン・ペリー教授は、過去五百年を北大西洋の時代と銘打ち、これからは北太平洋の時代になると予言しておられます。北太平洋を囲む広大な地域は、米国・カナダ・ソ連・中国・韓国・北朝鮮・日本の七か国で占められていますが、そのいずれの国々も、軍事、政治、経済のいずれか、または全てにおいて世界の主要国であります。
世界のどの地域においても、ひとつの広大な地域が主要国同士だけで占められているところは他にありません。しかもこれらの七か国は、人種・信条・宗教・文化・歴史がまったく異なり、そのためにカナダを除いて鎖国しなければならないほど、周囲との異質性・共存不能感にさいなまれてきた国々です。
中近東といい、中南米といい、現在戦火の上がっているところは、いずれも主要国に後押しされた代理者戦争の感なしとしません。したがって戦火が拡大しても、それだけで大戦に発展する危険性はほとんどないのです。北太平洋の七か国は文化的断層があるため、相互によほどの理解と相手に対する思いやりがないと、ひとつのちょっとしたミスが大戦につながる危険性があります。
米ソ間の中距離核ミサイルをヨーロッパから除外する話し合いに入ったものの、まだ極東からこれをはずす提案は出ておりません。私共は、今こそ平和への限りない勇気をもって、体制が異なっても相手の善意の存在をただすべき時がきたのではないでしょうか」
実のところ、私自身も驚いているのですが、この本を発刊してから、20,年を経て、環日本海経済が、ようやく胎動し始めているのです。これは私の予想が、誤りのないものであったことが、奇想天外な空想ではなく、それどころか、いままさに実証されようとしているのです。私の洞察力、先見性、予見力もまんざらではないと、実に感無量でもあります。
このなかで、最も印象的だったのは、ロシアのプーチン首相が、大統領在任中、アメリカのブッシュ大統領に対して語られた言葉であります。
プーチン首相は、「アメリカと同盟を結んでもいいから、ヒト、モノ、カネ、技術、産業、会社をロシアに持ってきてください」と懇請されてきたそうです。この発言は、歴史的に見て、極めて画期的なことでした。何しろ、第二次世界大戦後の「米ソ東西冷戦」の最中には、核兵器をはじめとする「軍拡競争」に狂奔し、際限なくエスカレートさせてきた両国です。それがプーチン首相の方から、「米ロ同盟」という言葉まで飛び出してきたのですから、まさにビックリ仰天です。
しかし、世界が平和と繁栄の方向に進んでいくことであれば、諸手を挙げて歓迎すべきことであります。そこで、私は、一つの「予測」を建てました。それは、「米ロが接近して行くと、世界の中心は、ウラジオストック、ブラッセル、ドバイに移ってくる」という予測です。これが現実化すれば、21世紀の世界には、文字通り「平和」が、間違いなく訪れてきます。私は、そう確信しているのです。
ところで、世界の中心となるこれらの都市のうち、日本にとって地理的に最も近い都市は、ロシア極東のウラジオストックです。最近の目立ったトピックスとして注目すべきは、「アジア・太平洋経済協力機構」(APEC=エイペック)が2012年にウラジオストック市で総会を開催するというニュースです。
プーチン首相は、大統領末期にウラジオストック市を訪問した際、「5000億円のインフラ投資をする」と景気のよい構想を打ち上げています。石油・天然ガス開発ラッシュで沸くロシアでは、富裕層が急激に増えています。経済の急成長めざましい中国の賑わいの影響を受けて、活気づいているのです。それは、ウラジオストック市やその近くのハバロフスク市などの地域にまで及んでおり、新築住宅建設がラッシュになっているようです。
これに対して、日本からは、建築資材がどんどん輸出されています。たとえば、島根県浜田市からは、「石州瓦」が輸出されており、その品質のよさが現地で評判を呼び、大量注文されています。輸送船には、「石州瓦」を積んだところの空間に、箱詰めにした野菜や果物を積んで輸出しているともいいます。新鮮な野菜や果物も、ロシアの人々に大人気だそうです。
浜田市では、官民が一体となって「ロシア貿易促進プロジェクト実行委員会」を設立して、さらなる貿易拡大を図ろうとしています。建材業者などは、ウラジオストック市やハバロフスク市などに出向いて、積極的に「商談」を進めているのです。
こうした動きに対して、新潟市や富山市、秋田市など日本海沿岸の各県市も、「浜田市の貿易の仕方を学びたい」として、積極的に活動しつつあります。同時に「アジア・太平洋経済協力機構」の総会という大イベントを「環日本海経済」を活性化させるための弾みにしようと意欲的に取り組んでもいます。
この意味でも、ウラジオストック市が、東アジアの発展、繁栄にとって、いかに大きな役割を果たしていくであろうことが、十二分に予測されているのです。
このウラジオストック市の将来性について、私は、かなり早い時期から、予想してきました。
この経験を踏まえて、顕した著書「アジア興しこそ日本列島均分繁栄への道」―「第一章 日本海を戦場の代わりに国際交易地帯に」のなかの「ソ連訪問前に提案検討したウラジオストック自由港案」という一節において、以下のように「ウラジオストック」の重要性について、力説しております。
「ソ連がゴルバチョフ書記長の主張するように、今後、太平洋国家として発展しようとすれば、考えられるよい方法があります。それは、ウラジオストックを国際自由港に仕立て上げることです。
シベリア開発に必要な資材をこの自由港を通して、アメリカ、カナダ、日本、韓国、台湾等から先進機材を入手し、またそれらの国々等へレアメタルを輸出することによりシベリアの経済発展と、ソ連の工業技術力向上に役立てることが出来ます。
その場合、アメリカがココムの条項を適用して、これらソ連の必要品目引き渡しを渋ることも考えられるので、これらの貿易の仲間に必ずアメリカをひとつ加えておく必要がありましょう。
中国にとっては、この地帯が中ソ国境を境にして吉林省の三江地帯に当たるので、もしも平和的共存が保障されるならば、東北三省の開発必需機材を、清津港を使う場合よりも、より精神的負担を考えずに取り引き出来るもの、と思います。
中国は北朝鮮内においては絶えずソ連との対抗を意識しなければならないのに対して、ソ連内であれば対抗意識の問題は発生せず、むしろ三江地帯の開発も中・日・米・ソの共同提携で進めることも出来るかもしれないからです。
問題は中国人の居住をどのくらい認めるかですが、ソ連にとっては居住許容数の多寡によって、三江地帯の共同開発にはずみがつくものとして、出来るだけ多くの居住が望まれます。
全世界の華僑は、全世界の物と情報をこの地域にもたらす最大の媒体になるもの、と確信します。
ウラジオストック国際自由港化は、米国にとってシベリア・中国東北三省・北朝鮮に入る最大の経路をもつことになり、黄海経由の対中貿易よりもはるかに日数の少ない実利の多い大型貿易を望むことが出来ましょう。極東における情報収集も、東京以上に価値の高いものとなるかもしれません。
レアメタルの産地をシベリアと中国北部両方の後背地にもつため、金取引の基地とのかねあいから、東京に対抗する第二の極東国際金融市場になり得る可能性すらも考えられます。
日本にとって、シベリア・中国東北部・北朝鮮の開発中継基地としての北海道・津軽海峡の存在は大きな魅力になってきます。
これまで、日本海の向こう側とは商取引が成り立たないという考えであったため、北海道も過疎化し、津軽海峡も軍事海峡の役割しかありませんでした。
日本海の波が軍事波から商業波に変わってくれば、千歳空港の国際化には一段とはずみがつき、苫東工業地帯も世界一の臨空臨海工業地帯として、北海道に対する若年労働力を吸収することが出来るようになるでしょう。
そのことはまた津軽海峡の商船の通過量を飛躍的に増大させ、十分に採算に載せることも可能となってくるでしょう。
ココムの禁輸が弛んでくれば、日本の各種情報機器は、怒濤のようにシベリアと中国東北部に流れこんでいくもの、と思われます。
北朝鮮も、ソ連経由または直接この地域から、各種の自由取引が全世界に対して可能となるだけでなく、韓国とのあいだのソ連中継の第三国貿易を開始することも可能となるでしょう。
これまで経済格差が韓国とのあいだにつきすぎてしまったため、合併問題がなかなか実現性を帯びてきませんでしたが、何らかの中継による貿易が可能となれば、日本との貿易も可能となります。経済格差のある国同士の貿易は、相互補完作用を果たして北朝鮮経済の急速浮上を行うことが出来ると思います。経済格差がありすぎる場合、南北両朝鮮の合併にはどうしても無理がつきまとうと思います」
「フレッチャー外交官大学院大学のジョン・ペリー教授は、過去五百年を北大西洋の時代と銘打ち、これからは北太平洋の時代になると予言しておられます。北太平洋を囲む広大な地域は、米国・カナダ・ソ連・中国・韓国・北朝鮮・日本の七か国で占められていますが、そのいずれの国々も、軍事、政治、経済のいずれか、または全てにおいて世界の主要国であります。
世界のどの地域においても、ひとつの広大な地域が主要国同士だけで占められているところは他にありません。しかもこれらの七か国は、人種・信条・宗教・文化・歴史がまったく異なり、そのためにカナダを除いて鎖国しなければならないほど、周囲との異質性・共存不能感にさいなまれてきた国々です。
中近東といい、中南米といい、現在戦火の上がっているところは、いずれも主要国に後押しされた代理者戦争の感なしとしません。したがって戦火が拡大しても、それだけで大戦に発展する危険性はほとんどないのです。北太平洋の七か国は文化的断層があるため、相互によほどの理解と相手に対する思いやりがないと、ひとつのちょっとしたミスが大戦につながる危険性があります。
米ソ間の中距離核ミサイルをヨーロッパから除外する話し合いに入ったものの、まだ極東からこれをはずす提案は出ておりません。私共は、今こそ平和への限りない勇気をもって、体制が異なっても相手の善意の存在をただすべき時がきたのではないでしょうか」
実のところ、私自身も驚いているのですが、この本を発刊してから、20,年を経て、環日本海経済が、ようやく胎動し始めているのです。これは私の予想が、誤りのないものであったことが、奇想天外な空想ではなく、それどころか、いままさに実証されようとしているのです。私の洞察力、先見性、予見力もまんざらではないと、実に感無量でもあります。