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健全財政の上に立った対外大型援助を可能にするためトンチンの国債発行で諾悪の根源を絶つ提案②

2009年02月18日 00時30分08秒 | トンチン年金
中山先生のトンチン国債論を見直すとき

 十年ほど前、赤字国債が二~五兆円に迫ったころ、経済同友会の代表幹事であられた中山素平先生が、このような赤字を解消するには、十七世紀ルイ十四世時代の奢侈の付けを一時に帳消しにするために考案された、トンチン国債、つまり元金償還不要国債を発行して、現行の償還必要国債と置き換える以外にない、というご意見を発表されました。
 トンチン国債は年齢別に群団を構成して応募します。元金はそのまま国庫に収納して国債所有者に返還しませんが、その群団に割り当てられた利息は、全員生存の状態から最後の人が死に絶えるまで、生存している人だけに配当しようとする考え方です。例えば、ある年齢群団の人が一万人で百万円ずつトンチン国債に応募したとして、利息を仮に七%とすると、翌年一万人全員が生存している場合は全員七万円の配当を受け、その群団の人が九十九歳になったときたった一人しか残っていなかった場合、百万円の一万人分つまり百億円の原資の七%の七億円を一人占めにすることができるわけです。
 いまのように若い人が年寄りを大事にしなくなった時代でも、これであればご老人の長生きは子供にとっても高齢化すればするほど望ましいもの、となる理屈で、人倫道徳の復興の源になるのではないか、という考え方でした。ところがこのようなアイデアも、政府当局のよく採用するところとはならなかったのです。
 なぜなら、かつてのロシアのルーレットという決闘で生き残りが掛金を受け取ったのと同じように、当時のフランスでも殺し合いが始まったので、すぐに反道徳的であるという理由でその発売及び取り扱いを停止してしまったのです。
 またすべての国債は償還を要する、という政府の基本政策に合いませんでしたし、生存を本当にどうして確認するか、という問題等も提起され、フランスとアメリカでやって失敗したことにこりて日の目を見ずに終わりました。
 実は発行しようとした場合、誰が発行して誰にどのように売るのか、不償還国債では企業団体の保持にもなじまず、また個人で保有しても担保になりえないという問題も出ておりました。

 郵貯・簡保の貯納金の半額をトンチン国債に切り換え
 民間金融機関が郵貯・簡保の欠点を指摘する場合、現在のように原価計算がはっきりしない問は、本来貯金者、契約者の負担にすべきものまで、一般の郵政予算のなかに組み込んで親方日の丸で決算しているからよいようなものの、もしコンピューター発達でコスト負担額がはっきりした場合、金利および元金の支払確証が果たしてあるかどうか、ということがまず問題になります。
 もう一つは、郵貯も簡保も民業を圧迫しないために最高限度額を国会で定めていますが、確かに一件平均は限度内であるとしても、個人当りで名寄せをした場合、個人累積額は、かなりの人々が限度を超えていると郵政当局も承知しているようであり、これまではつき合わせ不可能を理由に、そして今日では国会の認証事項であるにもかかわらず、累積限度額超過の実績を黙視されています。
 その方々の遁辞は、民間金融機関に多少の圧迫がある程度で他に実害がない以上差し支えないではないか、という諭理です。
 しかし、もしも貯納金名儀や店舗を幾つにも分けることによって財産隠しがあったとするならば、これは明らかな税金逃れで、国庫を害すること大なるは明白です。
 したがって郵貯・簡保も、どこかで大義名分が立ち、しかるべき代替メリットがあれば妥協点を求めたい、と考えておられるものと思います。
 郵貯・簡保の貯納金がそれぞれ百兆円・三十兆円で合計百三十兆円(六十一年三月末推計)として、職場負担を除く個人の負担分が百二十兆円と考えられますが、既発赤字国債償還に必要な分をトンチン国債化するために要する額が六十兆円とすると、百二十兆円分の六十兆円、つまり個人貯納金分の半分をトンチン国債に半強制的に切り換えていただきたいのです。


 トンチン国債への切り換えを反対する方々に

 国家権力といえども郵貯・簡保の原資の半分を強権を発動してトンチン国債に切り換えることは強制できません。したがって切り換えを拒否なさる場合は、一応名寄せチェックをやらせていただいて、限度額超過の問題や、税金適脱の問題については、別途にその処置をさせていただくことになります。
 その場合、郵貯・簡保のお客様でない、銀行・生保のお客様で、これに代わって元金献上を前提にトンチン国債に切り換える人があれば、その原資の出所や税金問題不問等は、郵貯・簡保の場合と同様の特扱いと、税金について有利になることはもちろんです。

 (太田清蔵著『米ソ二者択一より世界緑化を』毎日新聞社刊より)