大阪教育条例NO!

2012年、大阪で成立した教育関連条例の具体化と、「君が代」不起立処分に反対する運動の交流ブログ

大阪府教委の「口元チェック」通知への弁護士からの抗議声明

2014-02-08 09:39:47 | 大阪 卒・入学式2014
大阪府教育委員会が君が代斉唱時の「口元チェック」を指示したことに対する抗議声明

本年1月14日,大阪府教育委員会は,府立学校に対し,入学式や卒業式の君が代斉唱時に,起立した教職員が実際に斉唱しているか,管理職が目視で確認し,結果を報告するよう求める,いわゆる「口元チェック」を徹底するための通知文を出した。
しかし,口元チェックは,「思想及び良心の自由はこれを侵してはならない」と定める憲法19条に反する違憲な制度であるから,直ちに指示を撤回するべきである。
君が代は,第二次世界大戦以前から,天皇制の維持を優先するイデオロギーの象徴としての役割を果たし,悲惨な戦争遂行に利用された。特に,教育現場においては,「お国のために死ぬように」との教育によって多くの若者が戦地に送られ戦死した。このような歴史に対する反省から,教職員が,君が代に込められた国民主権原理に反する国家観や,これを子どもたちに無批判に「植え付ける」ことに強い抵抗を感じるのは極めて自然なことである。
そのような考え方を持つ教職員に対して,君が代の起立斉唱を強制することは,その者の国家観・歴史観に反して君が代への敬意の表明を強いることにほかならないから,憲法19条に違反して許されないことは明らかである。
我々は,教職員に対して君が代の起立斉唱を強制することは,憲法19条に反するので許されないと繰り返し抗議を行ってきた。とりわけ,「斉唱」は不起立と比べ,より積極的な表現行為であるから,教職員に対して斉唱を強制すべく実施される口元チェックは,個人の思想良心の核心部分を踏みにじる極めて重大な人権侵害行為である。
また,口元チェックが教育を受ける子どもたちに重大な悪影響を与えることも無視できない。口元チェックが実施されれば,教育現場を相互監視社会に陥れることとなり,子どもたちが多様な価値観に触れて他者の意見を尊重する素養を身に付けるための教育を受けられなくなるおそれがある。
以上のとおり,大阪府教育委員会による君が代斉唱時の口元チェックの指示は,憲法19条の思想良心の自由を侵害する違憲な制度であるだけでなく,子どもたちに対して重大な悪影響を与えるものである。
卒業式は,本来,生徒の卒業を祝うとともに新たな社会への門出を応援するための教育実践の場である。大阪府教育委員会が,口元チェックを通じて卒業式を教職員の思想統制の場として用いようとしていることに,我々は極めて強い危惧を抱いている。

したがって,我々は,大阪府教育委員会による口元チェックの指示に対して厳重に抗議し,直ちに指示を撤回するよう強く求める。

2014年2月7日

大阪労働者弁護団 代表幹事
弁護士 丹 羽 雅 雄

大阪社会文化法律センター 代表理事
弁護士 池 田 直 樹


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