昔々、毎週末を海で過ごしていた頃、とても面白い経験をしました。
ヤドカリのお引っ越しです。
早朝の砂浜を、家を背負った大小さまざまな大きさのヤドカリご一行様が、
えっちらおっちらと歩いていたのですが、その中に家を背負っていないお方が!
ご存知の通り彼らは自分の身体の成長に合わせて住み替えをする生き物。
私が見た裸ん坊は、その時まさに新居を探していたのだと思います。
そこでワタクシ、急遽不動産業を開始いたしまして、
手頃な大きさの貝をヤドカリ君の前に並べて、お勧めしてみました。
一瞬戸惑っていた彼も、そのうちに私の並べた貝に興味を持ち始めて、家選びを始めました。
頭から入って行くのですよ、彼らは。そして突き当たりで一回転するのです。
サイズが合わないのか、インテリアが気に入らないのか、
幾つかの貝からはすぐに出て来てしまいます。気難しいお客様ですな。
ところが!幾つか試した後、しばらくしても出て来ません。
そのうちに上半身を乗り出して、エイヤッと担ぎ上げたと思ったら、
そのまま歩いて行きました。なんだか凄く嬉しかった私です。
その出来事以来、私はヤドカリのように生きたいと思っていました。
自分の身体が心地よく納まる大きさの仮の家で、
スーツケースひとつに納まるだけの所持品を持ち、
行きたいところにいつでも行かれる人生でありたい。
そういうのが、私には似合っているように感じましたので。
そんな私が有る時突然、家を持つ事になりました。
ヤドカリに自分で持ち上げる事の出来ない家など必要な訳が有りません。
お話が有った当初は、私にとっては手に入れるものより失うものの方が遥かに大きいと感じました。
最後の最後まで迷いましたが、最終的には自分には相応しくないと思ったら、
その時は、あのヤドカリのように出て来てしまえば良いのだと思いました。
マイホームを持つ事が夢で、その為にコツコツと蓄えをしてる方々も居られる中、
感じ悪く聞こえるかもしれませんが、人生に必要な荷物は人それぞれで、
私達の人生設計の中に、自分の所有する居を構える事が含まれていなかったのです。
なので、それまでも何度かお話は有りましたが、断り続けて来た私達でした。
でも何故でしょう?その時は直感的に、
家を持つという経験を人生に加えるのなら今かもしれないと感じたのです。
ひとことで言えば " If God gives you lemons, make Lemonade " という事になるかな。
暮らし始めて3年。私達の判断は間違っていなかったと今のところは思える日々です。
このような経緯で、今の家で暮らす事になった私。
家具はほとんど何も持っていませんでしたので、引っ越しは楽でしたが、
インテリアは一から全て選ばなければなりませんでした。
これは私にとって、楽しいというよりも非常に大きなチャレンジでした。
そんな私が選んだインテリアは全て白。
あらら自分の記録の為にも書いておきたくて、少し長くなってしまいました。
その白いインテリアについてお話しさせて頂くのは、また明日にしましょう。
To be continued.