カリフォルニア便り ーFROM OQ STUDIOー

~南カリフォルニアから~
陶芸家の器と料理、時々王様の日々

一人あそび

2011年02月28日 | Lives

今日もまた、フリージアと一緒です~

こちらも昨日に引き続き新作の花器。

名前は ”コーヒークリーム・マカロン”

白いマカロンにコーヒークリームがとろんと入っているような甘~い花器デス。

昨日の物よりふた周り程大きくて、口も広く空いているなかなか手強い形。

でも私が作った物は、ちょっとした工夫をしてあるから結構使い易い。

この花器には『きっかけ』と私が勝手に呼んでいる、花生けを始める場所があるのです。

お花を摘んできましたよ!

では、生けてみましょうか。

フリージアは実はとっても花首が重いお花。

広い花器に一輪では、その重さでくるくる回って思った向きでお花が止まりませんが、

この花器にはくぼみが有って、そこにお花を引っかけるように置くとちゃんと止まるのです。

そのくぼみが『きっかけ』です。

一本止まればこっちのもの。茎を組み合わせるようにして4本で骨組みを作ってしまいます。

この骨組みの中に次々と茎を差し込むようにお花を入れて行くと、

思い通りにお花が止まります。

一本入れ込むごとに花器を少しずつ回転させてあげると、

四方向、どこから見ても美しい仕上がりになります。

入れ終わりましたよ。でもなんだかモッサリしてるでしょ?

満員電車みたいで窮屈そうだよね。

でもね、この段階で余り空間を出してしまうと

茎が細くて花首の重いフリージアのようなお花は、

いつの間にか水からスッと茎が浮き上がってしまう。可哀想だよね。

最後の蕾まで元気に咲かせて上げる為にも、しっかり奥まで入れてあげて下さい。

このアレンジに伸びやかさやリズムを出す為には、

この残しておいた茎の長めな5本を使います。

この5本をバランスを見ながら互いのお花の頂点が三角形になるように入れます。

これで出来上がり。

でもここに置いたままでは良く解らないよね。

実際に飾る場所に移動してみますね。

この場所では広い空間、白い壁が緑色の蕾を引き立たせてくれるので、

リズムや伸びやかさが出て来ます。

低い椅子に腰掛けてお花を見る場合はコレくらいの目線からになります。

カウンターの内側から見るとこんな感じ。バーテンダーさんもお花が楽しめます。

360°どの方向からでも楽しめる「四方見」のアレンジでございます。

 

優しい香りに包まれながらの一人あそび。

あー楽しかった

 

 

 

 

 

 


咲いた咲いた

2011年02月27日 | Lives

新作の花器、名前は" Spring Bouquet " ~春の花束~

内側は洗いざらしのデニムみたいなブルー

こっそりネームを外側に入れちゃった

 

花束を奇麗に広げるには、花茎を手の上で螺旋状に組み上げて行く。

上手に出来たブーケは支えなど無くてもそのままテーブルの上に立つ。

でもこれがなかなか難しくて、扱い慣れていないとお花が棒立ちになってしまうのよね。

そこで、私は考えた。

どんな方が生けてもお花がブーケのように広がる花器の形。

底がとても細くて上に大きく広がって片手で持てる、まさに小振りなブーケの大きさ。

これだと、花器を少しずつ回転させながら外側から内側へと花を並べて行くと、

花器の中で自然と螺旋のブーケが組み上がる。

お招きしたゲストから手土産でお花を頂いた時、

ササッと飾ってそのままテーブルに出せたら素敵かな?と思って。

 

ローズガーデンでは、薔薇の蕾の下でフリージアがどんどん咲き始めたよ。

その可愛らしい色と香りに、心がうきうきする季節が始まった

 

先ほどの方法でフリージアを生けると、こんな風になるよ。

3分とかからずに、奇麗に広がった春のブーケの出来上がり。

もしもどこかでこんな形の花器を見かけたら、

どうぞお使いになってみてくださいな。

お花を生けるのが更に楽しくなるかもしれませんよ。

 

では

 


アンティーク街へ

2011年02月26日 | Places

 

打ち合わせに出掛けた。

時にはそんな事もするのよ、私も

私は自宅以外で人と会うのに、この小さなアンティーク街を指定する事が多い。

平日の昼間はとても静かな時間が流れていて、

街のあちこちにある個性的なカフェには人も少なく、

長居をする事に肩身の狭さを感じなくて済むし、

座り心地の良い椅子や、薪の香りや暖かさを楽しめる暖炉も、

いくつもの物を並べる必要のある打ち合わせに適した大きなテーブルもある。

 

ティータイム用のテーブルウェアを中心に、

コーヒー、紅茶、自家製チョコレートとかも売っているお店。

古い銀行のビルの中にあるスタバ。もちろん銀行の業務も続けられているよ。

この辺りは歴史的建築が組織的に守られている区画で、近隣の住宅街をドライブすると、

大好きなコロニアル建築を当時のままの姿で見る事が出来るのも魅力

打ち合わせの後、こんな車がよく似合う街並みを歩きながら考える。

暮らしは新しい物だけでも古い物だけでも成立しない。

長い歴史の中で静かに生き続けて来た物達と、

今産まれたばかりで、これか時間をかけて歴史になって行く物達が、

美しく共存しているのが、私にとってのバランスのとれた暮らしだ。


家の中を見回しても、私の好みは同じように反映されている。

アンティークと新しい家具はそれぞれに居場所を見つけているし、

各国からの美術品や工芸品も古いもの新しいものが肩を並べている。

食卓にも土物、磁器、漆器、ガラス、木、様々な素材の器が並ぶ。

私は陶芸家だけれど、食卓が土物だけで構わないと思った事は無いし、

自分の手による物と、他の作家の方の物、作り手の判らぬ古い物を必要に応じて使い分ける。


ひとつの物を自分なりの情熱を胸に作っていると、

いつの間にか偏った考えを持ってしまいがちで、私はそれがとても怖い。

作品に包容力が無くなって、何時か必ず限界が来るからだ。

そんな事にならない為にも時々この街を訪ねて、

物作りやデザインには様々なバラエティーが有る事、

それらがバランス良く共存している事が、

居心地の良い空間だという事を自分に言い聞かせなくてはならない。

こんなポップでユーモアいっぱいの冷蔵庫や、

こんなカラフルでラブリーなドレスに、

胸をときめかせたりイマジネーションを働かせる心を忘れぬように。

こういう冷蔵庫の置かれたキッチンで、鮮やかな色のドレスを着た女性。

彼女が手に持った時絵になるような焼き物だってあるんだよ。うんうん。

そういう物が作れなければ、私がこの国で焼き物をやってる意味が無いよね。

 

さ、そろそろお家に帰ろう


 

 


ファッションはある日突然に

2011年02月25日 | Fashion

 

物を創っているヒトとして、巷の流行はちゃんと見ていなくてはいけません。

充分見た上で、あえて無視して自分の作風を貫く事と、

見る事もせずに「関係ないね!」と我が道を行ってしまうのとでは、

どちらも結果として流行に捕われないという行動にみえるが、実は全然違うのです。


そういう私、自分のファッションに関しては、

流行とは余り関係ない所で、毎年『今年はコレ!』っていう、

なんだろう?インスピレーションみたいなものが、ある日突然来る。

それはアイテムだったり色だったりスタイルだったりその時々で違うんだけれど、

とにかく私はそれに従ってその後のファッションの方向性を決める事になる。

去年はもう絶対的にフェドラだった。

 

 

私は興味を持ったら徹底的に試すまで好き嫌いを決めない事にしているので、

その後一年間、フェドラを被って被って被り倒して・・・・

フェドラの魅力についてあれこれと考えてみた。

フェドラの歴史から始まって、縫製や素材まで色々調べたりもしてみた。

当然合わせるお洋服もフェドラを中心に選ぶ事になったのだけれど、

不思議な事にこのお帽子はフェミニンからマニッシュまで許容範囲はとても広い事が判明。

真夏の野外コンサートにブラックドレスと白い麻のフェドラで出掛けたら、

見知らぬ方からもお褒めの言葉を頂き、ついでにお花も頂いた。

一年が過ぎる頃、フェドラと言えば私という定義が周囲にすっかり定着し、

内輪ではフェドラアドバイザーとして認定された。

どうなんだろう?大変名誉な事ですと言っておこう

私のフェドラコレクションの一部


フェドラという帽子は不思議な事に男性がとても興味を示すみたい。

ショッピング中に見知らぬ男性がわざわざ遠くから近づいて来て、

帽子を褒めて下さった事が何度も有った。

あっ、帽子をね。くれぐれも

 

一年間フェドラを被り続けてみて、今後も被って行こうと思った。

だからもうそろそろ言ってもいいかな?


私はフェドラが好き

 


赤い卵から産まれた青い犬

2011年02月24日 | Arts

美術館に行って来た。

モダンアートの館にこのお方がデ~ンと立っていた。

 

なんて、なんて可愛いんだろう

しかも本人、何だか凄く得意げだな。王様を思い出すよ

最初に風船でこの形を創った人は、間違いなく天才だ。

ウィンナーソーセージを10本使えば出来るシンプルな構成で、

伝えたい事のすべてを表現してしまうんだから。

こういうことがデザインであり、

そういう事をサラッとやってのける人がアーティストだよね。

私はこの青い犬を見る度に、自分は絶対アーティストじゃないし、

永遠にアーティストにはなれないと再確認してしまうゾ

 

多分、この犬さんは後ろにある赤い卵から産まれたんだと思うな

 

青い犬と赤い卵と黒い私のスリーショットを記念に取っておこう。


美術館は色んな事を考えるのに最適な場所だ。

バイバイ、また来るね