松下啓一 自治・政策・まちづくり

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*人を引き込むヒント

2012-07-27 | 4.政策現場の舞台裏
 本当は、よいことであるが、そこに内在するデメリットを恐れて、次善の策で、手を打つということはよくあることである。市民委員の公募もそのひとつだろう。
 一般市民から委員を選ぶ際に、本当によい方法は、本当にりっぱな人を委員にお願いすることである。実際に、まちにはりっぱな人がいて、ぜひこの人と一緒にやってみたいと思う人がいる(しかも、ずいぶんといる)。ただ、残念ながら、その人が「立派である」ことが、外部には分からないから、恣意的に選んだというそしりを免れるために、公平性を取り入れることになる。小論文を書いてもらうということもそのひとつである。文は、その人の主張や人柄が現れるとみられているからである。
 しかし、ときどき、この原則が外れることがある。小論文を見る限りでは、穏当な物言いで、建設的であるように見えるが、実際の会議になると、自己の主張を一歩も譲らずという人に出会うからである。
 委員に選ばれるために、審査員の受けが良いように小論文を書くというのはそれなりの能力で、それを見抜けなかった選考委員の目が節穴で、だまされたほうが悪いともいえるが、やはり良い人を選ぶという趣旨には反することになろう。
 そういう人がメンバーになると、座長は苦労をすることになる。大半の場合、その人は浮き上がってしまうが、それでは気の毒であるし、その人の主張にも、もっともな部分も必ずあるので、そのよいところをくみ取らないともったいない。何よりも、そんな角突き合せた、嫌な時間を過ごすのはいやなので、座長の私は、奮闘することになる。
 そんなことを考えながら、最近、小田原市が最近出した本を読み返していたら、「松下先生に座長を頼んだのは、そういった許容性があるから」だといった趣旨のことが書いてあった。人から言われて改めて妙に納得した。同時に、感心したのは、そういった率直な思いを本に書くということである。こうしたことが書けるのは、本人の率直な人柄と、私のことを安心しているからなので、そう思うと、私は、その書き手にますます親しみが湧いてくることになった。うまく言えないが、何か、そこに人を引き込むヒントがあるように思う。
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