松下啓一 自治・政策・まちづくり

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研修講師

2005-08-25 | 4.政策現場の舞台裏
 自主研修を繰り返してくると、研修講師を頼まれることになる。私が最初に研修講師をやったのが何時なのかは覚えていないが、自主研修の成果として、いくつかの論文を書くようになってから、急速に多くなったのはたしかである。
 自主研修ならば、憲法19条の思想信条のようなもので、外部との軋轢は少ないが、研修講師となると、表現の自由のようなもので、公共の福祉とのぶつかり合いが出てくる。
 ここに軋轢の原因があるのであるが、さらに講師は「先生」であるから、羨望というバイアスがかかって、イジメの対象となりやすいことは容易に想像できる。「あんな程度ならば、オレだってできる」という声はあちこちで聞くから、それが屈折して、「仕事もしないで・・・」ということになる。

 しかし、この講師というのは、とても勉強になる。人の話しを聞いて理解するのと、人が理解できるように話すのは、十倍の違いがある。政策マンは、市民の前で、誰でも理解できるように、そして、一定の水準を保ちながら話ができなれければいけないが、研修講師はよい訓練の機会になるのである。

 私も、年に数回、講師を頼まれたが、残念ながら、これでイジメにあったという経験はない。むしろ、わが市の宣伝になるという上司の声に励まされて、参加したという経験が多い。私のほうも、議会等がない、仕事に余裕があるときに引き受けるという日程調整をするのは当然のことである。そのため、2回に1回はお断りすることにが、これは、市民の前で、自信を持って話ができるようになる訓練のために研修講師を引き受けるのであるから、仕方がないことだろう。

 よく問題になるのは、報酬を貰うかであるが、私は一連の決裁の中で、この点についても許可をもらって、貰うことが多かった。
 今日のように、民間導入が流行の自治体行政では、事前準備と当日の苦労の報いとして、報酬を貰うのは当然という風潮となっているのだろうと考え、私のゼミ講師に自治体職員にきていただいたときに、報酬を払うと申し入れたところ、貰うわけにはいかないと拒否されてしまった。
 あるときは民間の発想、あるときは役所の発想と多羅尾伴内のような使い分けは私には難しすぎて、やはり「老兵は去るのみ」なのだろう。
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