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On The Road

小説『On The Road』と、作者と、読者のページです。はじめての方は、「小説の先頭へGO!」からどうぞ。

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2009-12-30 17:45:33 | OnTheRoad第2章
「オレはそんなに優しい亭主じゃねーよ」とサトウさんは、優しいと思われるのが恥みたいに言った。
「新発売のこだいふくを看護婦さんたちに宣伝してきてくださいよ」と僕は言った。「そう言われちゃあ、しょーがねーな」とサトウさんはお茶を飲んだら出かけることにしてくれた。
僕も男だけど、お父さん以上の年代の男は単純で難しい。

サトウさんがライトバンで出かけたあと、僕はまた外へ出た。朝は寒さがキツイ感じがしたけど、ずっと温かい店内にいたから寒さが気持ちよかった。人通りはほとんどなくて、これも気持ちいいくらいだった。この時間帯は片付けや明日の準備に使えそうだと思った。

ときどき通る人に声をかけてこだいふくを差し出しながら、僕はまたお茶会のことを考えた。サトウさんは今のハルさんにはお茶会はできないと思っているようだ。ハルさんが死んだ先生と話ができる人になってしまったからなんだと思う。
ハルさんが1人で外出するのはたしかに危険かもしれない。でも、たとえばサトウさんが送り迎えしたら、あの軽自動車の女の人が連れてきてくれたら、ハルさんにとってお茶会は楽しいことではないだろうか。


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