On The Road

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2010-03-05 19:31:00 | OnTheRoad第5章
 「気がきかないアドバイスをしてごめん」と、ヨシユキさんが会社の封筒からペンションのパンフレットを取り出した。「ホテルか高級レストランっていうのは東京の相場でした」
 店が決められなかったのは東京の相場にこだわりすぎたというより、アネキが言うようにドタンバにならないと動けない僕のせいだ。下見に行ったクセにあのあと誰にも相談もしていないのだから。
 パンフレットには、僕と同じくらいヘタな字がいっぱいのメモがはさんであった。

オーナーおススメランチ(デザート付)1人3000円(ぜー込) 新せんな魚介コース
2/12、正午、大人2名(男女各1名)

 小さく切ったコピー紙に書きなぐりの文字が躍っていた。

 「仮予約だけどキャンセルは前日昼までです。普段はランチはやってないから、仕込みとかあるみたいで」とヨシユキさんが言って、パソコンから打ち出した地図も出した。ペンションには見覚えがある。すこし古いけど、雰囲気のいい建物だ。

 「兄さん、ありがとう」と僕はパンフレットを受け取った。パンフレットのなかのペンションのダイニングには大きなミッキーがソファに座っていて「ウェルカム」と言っているみたいだ。あずにこのミッキーを見せたいと僕は思った。


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