マレー語で「森の人」を意味するオランウータンが、インドネシアの「森の学校」で「卒業」を待っている。人間に捕獲されるなどして野性を失いかけていたが、食べ物の確保や寝床作りを学んだ。熱帯雨林の奥深くで安住できるのか。
インドネシア・カリマンタン(ボルネオ島)南部を流れるルンガン川。幅数十メートルの川に無人島が点在する。ボートがカジャ島に近づくと、緑深い木々の間から、大きな茶色い姿が見え隠れした。
「あれはボス格のジェキ。あっちがビトゥン」
ボルネオ・オランウータン・サバイバル・ファンデーション(BOS)の中カリマンタン州ニャルメンテン事務所のメンバーが、名前を教えてくれた。BOSはデンマーク人女性が創設した非営利団体だ。東カリマンタン州にも拠点があり、日本や欧州などに支援団体を持つ。
川岸で水遊びをしていたのはダヌール。隣のバンガマット島の岸辺には、思考するように切り株にもたれたジョロ。親子もいる。
二つの島で計74頭が「森の学校」の仕上げをしている。だが1999年の同事務所創設以来、まだ卒業生はいない。条件に合う森林を持つ自治体や周辺住民と合意できなかったからだ。
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