アウディ。最近では以前にアルファロメオでいたデザイナーが入ったのでかなりデザインが個性的になってきました。
勿論、それ以前のプレーンなスタイルが良いと言う方も多いでしょう。
さてこのアウディ、一体何処が良いのでしょうか?
そもそもあまり車に興味ない方からすると「国内メーカーっぽい地味な外車?」とか「ドイツ車の中では安い方?」とかとにかくコンサヴァティブなイメージで捉えてる方も多いと思います。
ところがこのアウディ、実は世界初のミッドシップレイアウトのレーシングカーを作ったメーカーとしてとても有名だったりします。
この車は「アウトウニオンPヴァーゲン」と言う車でPS2用ゲームソフト「グランツーリスモ4」に付いてる小冊子で福野氏が書いてる霧の名手(ネーベル・マイスター)ベルント・ローゼマイヤーのドライブしたマシンです。
V型16気等6000cc520psトルクは87kg・mと言うスペック(1936年式、ポルシェ博士製作)でした。 6000ccですから520psは当たり前ってレベルは現代の考え方でして当時はとんでも無かったらしいです。
だってタイヤも自転車のタイヤよりは太いかな?ってレベルのものですから。それで最高速400km/mオーバーのモンスターマシンを支える恐ろしさ。
もうこのモンスターを操れるのはローゼマイヤーしかいなかったと言います。
形はスーパー7からフェンダーやライトの保安部品を取って後ろを長くしてすぼめた感じと言えば良いでしょうか。
昔のフォーミュラーそのままの形です。
「重量物は真ん中へ」これがポルシェ博士が拘った部分であります。
そしてこのマシンはローゼマイヤーは産まれて初めて出場したグランプリで首位を独走し2年目には4勝、あれよあれよと言う間にチャンピオンへと。
当時の無敵のキング「シルバー・アロー」こと、メルツェデス・ベンツでさえ敗れ去ったのです。
さて、長々となりましたがアウディは実はこんな風にその時代その時代で革新的な物作りをしてるんです。
ボディ剛性は抜群、衝突安全性は勿論言うまでもなく素晴らしいでしょう。
走行安定性も最高。
でも乗ってとにかく驚くのはそのトラクションの良さ。
少々ラフにクラッチを繋いでもホイールスピンしません。
ATならもっとです。
FFなのに何故???と思いました。
そして知って驚いたのですが何とこのアウディ、エンジンが縦置きなんです。
国産でもスバルのフラット4は縦置きですがこれは逆に横に置いちゃうメリットがあまりない、それどころか吸排気系の取り回しがめんどくなってしまう。
直列エンジンのアウディが何故エンジン縦置きなのか?
それはトラクションの良さの為、フロントオーバーハングより前にエンジン部があるので非常にトラクションがよくかかる訳です。
ポルシェ911のRRと似た理屈です。
そしてアクセルを開閉した時に車の動きに影響が出難いんですね。
実は(乗ってらっしゃる方は御存知の方も多いと思われますが)アウディは「走りのメーカー」なのです。
このメーカーの「クワトロ」が無ければランチャ・デルタもありませんでした。
と言う事は当然セリカGT-fourもそれよりもっと後の第二世代GT-Rも無かったでしょう。
「通好み」のメーカーから「ちょっとオシャレなドイツ車」になって随分経ちますが今日デリカで娘と熱帯魚屋さんに買い物に出かけた時に擦れ違ったシルバーのTTを見ながらそんな事を思い出してました。