『自由の哲学』を読む ~日々の暮らしから~

日々の「?」から始めて一歩ずつ
自分で見て考えて、行動していきたい。
私の自由が人の自由にもつながりますように。

大人ピアノと認識論と植物観察

2021年03月13日 | 手足を使う日々
ショパンの短調のワルツ。
日本人にはないリズム「ずんちゃっちゃ」(^^)。
何週間か弾いているけど、
どんどん彩りが多彩になってくる。

楽譜通りに音は弾けるようになって、
そこからさらに磨いていくと、
いろんなシーンが浮かんで来るようになる。

たとえば、こないだのレッスン。

私「あ! 今パートナーチェンジしちゃいました!」
先「そういう感じで行きますか?」
私「次も同じ人と踊るつもりだったのに、ついつい(^^;)」
先「う~ん、それだと少しあっさりしすぎてません?」
私「1回目は“やった~!”、2回目は“しみじみ嬉しい”でいきます」
先「じゃあ2回目は、もうちょっと音色を変えましょうか」
私「はい。1回目はカラダが嬉しい、でキラキラッと、
  2回目はココロが嬉しい、で柔らか目の音にします」
先「2回目、左のペダル踏んでもいいですよ?」
私「なるほど。で、最後は未練があってもサッと帰る感じで!」
先「大人ですね(^^)」。

音楽って、不思議。
音程、強弱、速さだけしか書いてないのに、
演奏する人の気持ちひとつで、
いろんなシーンになっていく。

後戻りできなくなるのが怖い前提で、
「気持ちの高ぶりを自分に許さない人」なのか、
「思いのままに振る舞いたい人」なのか、
その都度、違うシーンが思い浮かび、
毎回違う気分を味わいつつ、弾く。

映像もストーリーもないだけに、
弾く人次第、聞く人次第で、
いろんなシーンを描いてくれる。
同じ私が弾いていても、日によって違う。

背徳気分だって、おおっぴらに表現できる。
って思ってたら、いつだったか
「今日の音は艶っぽいですね」
って指摘された事があったっけ? 
聞く耳のある人、恐るべし(^^)!

ノクターン(遺作)の最後の音が、
天国へ上っていく音の時もあれば、
祈りの呼びかけの時もある。
それまでガマンしていたのに、
最後の音で目を閉じて涙がツ~っと流れるイメージの時もある。
ヘタクソなりの、贅沢なひととき。

認識論や植物観察、人の言葉を聞く時も似てるかもしれない。
外から客観的に見てたんじゃわからない。
実際にその音の中に入り込み、
自分の身体を使ってその音の響きと一緒に生きてみて、
はじめて浮かんで来るアレコレ。

自分が頭で作り出してるわけじゃない。
楽譜に書いてあるわけじゃない。
おなじみの不思議な感覚。
絵を描く人なんかは、
いつもこういうこと感じてるんだろうな~。

自分で作ってるようで自分で作ってない、
ちっちゃい自分の作為なんかなくて、
自分が音の形に寄り添っていると、そこに、
見えない第三者がコラボしてくるというのか…。

そして、プロはそれを人に届けられるんだね。
もちろん聞く人とのコラボだけど。
そう、そして、聞く人がぼーっと聞いてたんじゃ、
あんまり伝わらない事なのかもしれない。

今みたいに流しっぱなしのBGMみたいな聴き方じゃ、
自分が受け止める体制じゃないから、
コラボはしにくいだろうな。

目の前のステージで、とか、
少なくとも、LPレコードに針を落として、
くらいの真っすぐさで向き合って聞く時は、
きっと、ぼーっと聞いてる時とは違う景色を
届けてくれるのだろうと思います。

もし何かを見て「つまんない」と思うなら、
そのうち半分は自分の責任。
自分に受け止める力があれば、もっと楽しめるものって、
世の中にいっぱい溢れてるはずだから。

だから、自分の受け止める力、
共感的に中から理解する力、を育てていきたいと思う。
「批判する」じゃわからない所に行くために。


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2 コメント

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Unknown (soratombo)
2021-03-14 18:12:37
こんにちは。いつも楽しみに読ませて頂いております。

音楽の話、共感しながら読みました。
「もし何かを見て「つまんない」と思うなら、そのうち半分は自分の責任」…本当にその通りだと思います。

ワルツと言えば・・・
息子はバレエを踊るのですが、小学生の頃、楽器の練習で「日本人には珍しく、ちゃんと3拍子が出来ている。踊るおかげだね」と言われたことがあります。そんなものなのかな?と思っていたのですが、私もウィーンっ子と一緒にウィンナワルツを踊る機会があり、おかげで「ワルツってこういうことだったんだ!」と目から鱗で、身体を動かすことの大切さを痛感しました。何でもそうですよね。

オキツさまのワルツストーリー、読んでいて楽しかったです。私も拙いながらピアノのレッスンを続けているので、音楽と奏者と聞く人とのコラボ、意識して楽しんでみようと思います(^▽^)
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Unknown (オキツ)
2021-03-14 23:20:15
コメント、ありがとうございます。バレエを踊る中学生の息子さんも、ウインナワルツを踊るsoratombo様も、時代に左右されない芸術的な世界におられるんですね。ステキ!
身体使うのって、すごく大事だと思うんです。頭で立派な事考えても、身体が何もしないなら、その考えは社会に何も生まないというか…。それ、ず~~~っと私の課題なんです。身体使って初めてわかることがいっぱいあるのに、全然使えてない。
そういう意味で、手仕事や芸術っていいですよね。間違いはないけど、正解は無数にある。だから安心して自分軸で身体を使る練習にもなる。美しいかどうかはまた別問題として(^^)。お互い、これからも楽しみましょうね!
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