「松樹千年翠」
大徳寺黄梅院太玄師
今は
二十四節気の「大寒」
暖冬とはいえ
一年で一番寒さが厳しいこの時季にも
熱心にお稽古に通ってきて下さることが
ありがたいです
玄関を開けて
入ってこられるお弟子さんの顔が
赤く上気しているのは
遅れないように
走ってこられたのか・・・
その笑顔にほっとする日もあれば
時には
抱え込んだ心配事が
どことなく顔色に現われていたり
またある時には
精神的にも肉体的にも
極限状態の中
本来のご自身を失ったかのように
立ちすくんでいたり・・・
私自身も
これまでの人生の中で
そんな日にお茶の稽古にでかけたことも
何度かあったように思います
お茶の世界に
身を任せることで
少しずつ平常心を取り戻した日もあれば
その稽古場にいることで
逆に心が傷ついて力を失ってしまうことも
過去にはあったかと思います
いずれにしても
自分自身の平常心を取り戻す作業は
自分自身でするしかありません
しかし
いつも通り畳に正座し
よく沸いたお釜の音を聞きながら
一服のお茶をのむ
ただそれだけで
「ありがたくて・・・」と
涙する人を見た時
私は
お茶をやっていて本当に良かった・・・と
自分の運命に感謝することができました
20年ほど前
まだ茶道教室を始める前
私はひとつの夢を持っていました
それは
訪れる人が
疲れた心を癒やすことのできる
小さなスペースを作りたいと
思っていたのです
今思えば
それが「洗心亭」として
ある意味”夢がかなった”のではないかと
思う時があります
特別なことをするわけではないですが
お稽古に来られた方が笑顔になって
それぞれの日常に戻っていただけるような
お稽古場であるよう
私のできることを
淡々と続けていきたいと思います