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「題詠100首blog」(2006)ほにゃらかの投稿歌 051~100 目次
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051:しずく.........桃の香の匂ひたつ夏 たぷとぷと甘きしづくをしたたらす木々
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052:舞...............いちめんの菜の花ばたけ舞ふ蝶のひらりひらりと春をたのしむ
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053:ブログ.........ややこしき母のブログに彩りを添へて娘の写真かがやく
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054:虫...............鈴虫のかたわれ果つるを知らぬがに「りり…」と鳴く夜ぞ秋は悲しき
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055:頬...............寝ぬる子のやはらかき頬に触る指はわれのかたへの母性を覚ます
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056:とおせんぼ....甘さうな水の匂ひに誘はれふらり飛び立つ子をとほせんぼ
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057:鏡...............この都会(まち)を万華鏡かと見紛へばぐるりぐるりと天地ゆらめく
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058:抵抗...........プライドをもちて抵抗するかぎり<負け犬>などと呼ばせぬだらう
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059:くちびる......愛もなく くちびる合はす哀しみに少女はいつかこの日を悔いむ
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060:韓...............ハングルは大いなる文字 韓国に生れし女(をみな)に許されし文字
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061:注射...........点滴につながれてゐる小(ち)さき手に刺さるは憎きこの注射針
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062:竹...............竹とんぼ くるりくるりと舞ひ上がり思ひ思ひに着地してゆく
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063:オペラ.........ずば抜けて華麗なるかな胡蝶蘭 オペラ・セリアのアリアが似合ふ
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064:百合...........白百合は馨しすぎる 見舞ひ人(びと)帰りしあとを噎ぶばかりに
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065:鳴...............目覚ましが「朝ぞ、起きよ」と鳴るからに「春ぞ、しばし」と頼みてゐたり
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066:ふたり.........ふたり子のためなら死ねる ふたり子のためにも死ねぬ われは母なり
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067:事務...........ゆふぐれの事務所を閉める直前にかかる電話を見逃せなくて
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068:報...............報告は書面で出来む それよりも、もつと話を聞いてくれぬか
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069:カフェ.........カフェオレに浮かぶハートが嬉しくてもつたいなくてギザギザにせり
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070:章...............いにしへの大和ごころを章(あきら)かにせむと紐解く浦島太郎
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071:老人...........約束をたがへし罰を受くるごと老人(おいびと)となる太郎かなしも
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072:箱...............閉ざされし箱に籠めたる<時>と<愛> どうぞこの箱ひらきたまふな
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073:トランプ......わたくしが君の副官なることを悟らせぬやうトランプを切る
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074:水晶...........ひきだしの奥に隠せる水晶がぬくみをませり もう光りだす
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075:打...............ひとりでも咲けるとの驕り打ち砕き手折れらぬやう室(しつ)に入れたり
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076:あくび.........聞き馴れし母の小言にあくびしてお前は馬か、はたまた釈迦か
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077:針...............子のための袋ばかりを縫ふからに針はわたしを<おふくろ>にせむ
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078:予想...........予想だにできぬ未来がそこ此処にかくれゐるともわれ米を研ぐ
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079:芽...............浅春の芽生えそめたる草を摘む ひだまりのなか痛み残して
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080:響...............これほどに響く言葉は他になし「われが好きか」とたしかむる娘(こ)よ
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081:硝子...........砕け散る硝子のかけら<子ども>らは玻璃のムシロをうちそとに向け
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082:整...............体裁を整へたがるオトナたち 獣(けもの)の匂ひ拡がるばかり
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083:拝...............出る杭は打つがよろしき風潮もひとたび光らばこれをも拝み
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084:世紀...........次世紀に汚点残せし者として焼却さるるわたしの骸(むくろ)
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085:富...............夕焼けは富士の山をも薔薇色に染めてしづかに夜を溶かすらむ
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086:メイド.........メイドではなきゆゑぐつと魂を込めて言ふなり「疾く帰れ」とぞ
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087:朗読...........<ほにゃらか>で変換すれば<本屋等か> 本屋ぢやないが朗読しやう
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088:銀...............銀色の翼ならびて震えをり 巣立ちをまよふ鳥たちの滑走路(みち)
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089:無理...........「無理」といふ答へに何も見えぬ午後 やはらかくなれ まあるくなあれ
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090:匂...............あたたかき夕餉の匂ひする道をうた唄ひつつ帰れればよし
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091:砂糖...........お砂糖がすぐに固まりゆくごとくわれら甘へに塊(かたまり)をなす
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092:滑...............ガラガラと回る滑車の心地せり こちら立てればあちらが立たず
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093:落...............崩落を恐れて囲ひたる山にひたひた溜まる雨ひたひたと
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094:流行...........流行はなにを壊してきたのだろ なにを創つてゆくのだらうか
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095:誤...............直球の母を誇りに思ふ子よ 誤りかもしれぬ生き方を
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096:器...............<器量>とふ言葉は不思議 でかさより見た目ばかりが一人で歩く
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097:告白...........告白も断罪もせぬ生き方を選べずにをり われはわれなり
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098:テレビ.........犯罪の抑止力すでに失ひてテレビは模倣の術(すべ)たれ流す
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099:刺...............傷口へ枝を突き刺し涼しげに花よひらけといふはなにゆゑ
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100:題...............割り切れぬ問題さへも解きながらやがておまへもオトナになりや
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「題詠100首blog」 完走報告
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☆題詠100首blog(2006) ほにゃらかの投稿歌 001~050