題詠100首blog(2006) ほにゃらかの投稿歌 一覧 001~100
・001:風...............しなやかに風のかたちをとらへては束のあひだをざざめける木々
・002:指...............「内緒ね」と指きりしたる約束をみづからほどく貴女(あなた)が嫌ひ
・003:手紙...........手紙には逢ひたしといふ常套句 逢ふつもりなどひとつもなくて
・004:キッチン......くさくさとビール片手に灰汁をひく ああキッチンがぐらりと煮立つ
・005:並...............愛し子に並ぶものなどなきものを器に入れて比べてゐたり
・006:自転車.......母たちは自転車なりき支へあひ漕ぎつづけねば倒れてしまふ
・007:揺...............5円玉を揺らさばおまへは眠くなり夜泣きの理由(わけ)を語りたくなる
・008:親...............子を抱く温みがときに恋しくて親の都合で抱きしめてをり
・009:椅子...........椅子ひとつ運び出されし教室にもどれぬ心が闇に座す昼
・010:桜...............逢ひたくて逢へざる人を想ふとき夜の桜はかうも哀しく
・011:からっぽ.....からつぽでありたきわけを詰め込みて今朝もカラカラ鳴るランドセル
・012:噛...............おまへには噛み砕きえぬ教へでもいつしか溶けてゆく胡桃の日
・013:クリーム.....はじめてのリップクリーム選びつつはしやぐ娘に春は桃色
・014:刻...............どこまでも不可思議なるを侵しゆき人は幾多の轍(わだち)を刻む
・015:秘密...........秘密なら道具箱にもこつそりとまろめてあるね 捨てられぬまま
・016:せせらぎ.....せせらぎの音流れ出すトイレをば怖がりて泣く娘なりけり
・017:医...............主治医たる<母>の見立てを侮らず聞けよ 医療のスペシャリストよ
・018:スカート......スカートにかくれんぼする子の背(せな)をそつと押し出す 桜の中へ
・019:雨...............雨樋をしとしと伝ふ音のなか母より聞きし「雨だれ坊ちゃん」
・020:信号...........ああすればかうなるらむとて信号が「赤ぞ」「青ぞ」と語りたがつて
・021:美...............はつはるの晴天に立つ富士山(ふじやま)の美に奮ひ起つ大和の魂(こころ)
・022:レントゲン....胸のなか芽生えし恋の病までレントゲンには撮るべくもなし
・023:結...............まつすぐに生みだされたる雲たちが緋色の風に結ばれてゆく
・024:牛乳...........牛乳を2リットル飲み吾子のため母乳うみだす身体機能(システム)をかし
・025:とんぼ.........遊び女にあらぬをとんぼ縛られて雄をいざなふ 逃げられぬまま
・026:垂...............うらめしや 枝垂れ柳のさわさわと囁く夜半を水の泣きをり
・027:嘘...............泣けぬほど哀しき水と知りながら蜻蛉も嘘を産み付けてゆく
・028:おたく.........なにごとも精通しえぬ虚しさに<おたく>未満を引き籠もるわれ
・029:草...............ふるさとの水は甘露の水なりき草にも木にもあまねく浸みて
・030:政治...........負け難き男(を)の子らふたり対峙してお砂の山に政治は生(あ)れむ
・031:寂...............水に棲む生きものたちの寂しさが赤く澱みて潮(うしほ)ぞ染むる
・032:上海...........金色に醸せる紹興酒(シャオシンチュウ)のかげ発酵しえぬ歴史 上海
・033:鍵...............その鍵をわれら失くしてしまひしかアジアの鉄扉ひらけぬままに
・034:シャンプー.....東洋の美女チャン・ツィイーのシャンプーに<A>とふ文字の凛と立ちたり
・035:株...............ひと株の苺を買うて帰らむか 子らの笑顔がそそのかすゆゑ
・036:組...............棟上げの式か 組みたる梁の上(へ)に大工のかしらの誇らしく立つ
・037:花びら.........花びらの舞ひちる春の小さき手にわれこそ引かれゐたかもしれぬ
・038:灯...............みちの辺のほのかに白き夕顔がここへそこへと灯せるあかり
・039:乙女...........「母さんはときどき魔女の占ひ師」さてもをかしく乙女は喩ふ
・040:道...............右向かばこぞりて右へ ゆふぐれの報道(ニュース)は並べて同じ切り口
・041:こだま.........死者達の叫びがこだまするやうにチャネルのあはひ響き渡れり
・042:豆...............いつしゆんを煮くずれてゆく豆腐よりあやふく熱せられゆく時代
・043:曲線...........ゆるやかな曲線延ばす新道に見えぬあしたが速度を増して
・044:飛...............いく筋も残されてゆく飛行雲 たれか生きたる証しのごとく
・045:コピー.........<ド根性大根>とふてもて映やしそれがコピーを誰(た)がために成す
・046:凍...............凍てゆるむ朝の空気をふるはせて集ふ子どもの声のあかるさ
・047:辞書...........いつしゆんに応ふる電子辞書をして賢き母をよそほひてをり
・048:アイドル......愛(うつく)しきこの子 わが家のアイドルも人から見ればたぶん悪ガキ
・049:戦争...........戦争の勃発したる公園に見て見ぬふりをつらぬく母子(おやこ)
・050:萌...............草も木も萌え立つ春のやさしさに手を合はせつつタラの芽を食む
・051:しずく.........桃の香の匂ひたつ夏 たぷとぷと甘きしづくをしたたらす木々
・052:舞...............いちめんの菜の花ばたけ舞ふ蝶のひらりひらりと春をたのしむ
・053:ブログ.........ややこしき母のブログに彩りを添へて娘の写真かがやく
・054:虫...............鈴虫のかたわれ果つるを知らぬがに「りり…」と鳴く夜ぞ秋は悲しき
・055:頬...............寝ぬる子のやはらかき頬に触る指はわれのかたへの母性を覚ます
・056:とおせんぼ....甘さうな水の匂ひに誘はれふらり飛び立つ子をとほせんぼ
・057:鏡...............この都会(まち)を万華鏡かと見紛へばぐるりぐるりと天地ゆらめく
・058:抵抗...........プライドをもちて抵抗するかぎり<負け犬>などと呼ばせぬだらう
・059:くちびる.....愛もなく くちびる合はす哀しみに少女はいつかこの日を悔いむ
・060:韓...............ハングルは大いなる文字 韓国に生れし女(をみな)に許されし文字
・061:注射...........点滴につながれてゐる小(ち)さき手に刺さるは憎きこの注射針
・062:竹...............竹とんぼ くるりくるりと舞ひ上がり思ひ思ひに着地してゆく
・063:オペラ.........ずば抜けて華麗なるかな胡蝶蘭 オペラ・セリアのアリアが似合ふ
・064:百合...........白百合は馨しすぎる 見舞ひ人(びと)帰りしあとを噎ぶばかりに
・065:鳴...............目覚ましが「朝ぞ、起きよ」と鳴るからに「春ぞ、しばし」と頼みてゐたり
・066:ふたり.........ふたり子のためなら死ねる ふたり子のためにも死ねぬ われは母なり
・067:事務...........ゆふぐれの事務所を閉める直前にかかる電話を見逃せなくて
・068:報...............報告は書面で出来む それよりも、もつと話を聞いてくれぬか
・069:カフェ.........カフェオレに浮かぶハートが嬉しくてもつたいなくてギザギザにせり
・070:章...............いにしへの大和ごころを章(あきら)かにせむと紐解く浦島太郎
・071:老人...........約束をたがへし罰を受くるごと老人(おいびと)となる太郎かなしも
・072:箱...............閉ざされし箱に籠めたる<時>と<愛> どうぞこの箱ひらきたまふな
・073:トランプ......わたくしが君の副官なることを悟らせぬやうトランプを切る
・074:水晶...........ひきだしの奥に隠せる水晶がぬくみをませり もう光りだす
・075:打...............ひとりでも咲けるとの驕り打ち砕き手折れらぬやう室(しつ)に入れたり
・076:あくび.........聞き馴れし母の小言にあくびしてお前は馬か、はたまた釈迦か
・077:針...............子のための袋ばかりを縫ふからに針はわたしを<おふくろ>にせむ
・078:予想...........予想だにできぬ未来がそこ此処にかくれゐるともわれ米を研ぐ
・079:芽...............浅春の芽生えそめたる草を摘む ひだまりのなか痛み残して
・080:響...............これほどに響く言葉は他になし「われが好きか」とたしかむる娘(こ)よ
・081:硝子...........砕け散る硝子のかけら<子ども>らは玻璃のムシロをうちそとに向け
・082:整...............体裁を整へたがるオトナたち 獣(けもの)の匂ひ拡がるばかり
・083:拝...............出る杭は打つがよろしき風潮もひとたび光らばこれをも拝み
・084:世紀...........次世紀に汚点残せし者として焼却さるるわたしの骸(むくろ)
・085:富...............夕焼けは富士の山をも薔薇色に染めてしづかに夜を溶かすらむ
・086:メイド.........メイドではなきゆゑぐつと魂を込めて言ふなり「疾く帰れ」とぞ
・087:朗読...........<ほにゃらか>で変換すれば<本屋等か> 本屋ぢやないが朗読しやう
・088:銀...............銀色の翼ならびて震えをり 巣立ちをまよふ鳥たちの滑走路(みち)
・089:無理...........「無理」といふ答へに何も見えぬ午後 やはらかくなれ まあるくなあれ
・090:匂...............あたたかき夕餉の匂ひする道をうた唄ひつつ帰れればよし
・091:砂糖...........お砂糖がすぐに固まりゆくごとくわれら甘へに塊(かたまり)をなす
・092:滑...............ガラガラと回る滑車の心地せり こちら立てればあちらが立たず
・093:落...............崩落を恐れて囲ひたる山にひたひた溜まる雨ひたひたと
・094:流行...........流行はなにを壊してきたのだろ なにを創つてゆくのだらうか
・095:誤...............直球の母を誇りに思ふ子よ 誤りかもしれぬ生き方を
・096:器...............<器量>とふ言葉は不思議 でかさより見た目ばかりが一人で歩く
・097:告白...........告白も断罪もせぬ生き方を選べずにをり われはわれなり
・098:テレビ.........犯罪の抑止力すでに失ひてテレビは模倣の術(すべ)たれ流す
・099:刺...............傷口へ枝を突き刺し涼しげに花よひらけといふはなにゆゑ
・100:題...............割り切れぬ問題さへも解きながらやがておまへもオトナになりや
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★題詠100首blog(2006)投稿歌 001~050
★題詠100首blog(2006)投稿歌 051~100