琉球泡盛の産業活性化を目指し、沖縄県は酒造所の経営実態に合わせた支援策の拡充に乗り出した。
酒造所を分類し、経営基盤が強く企画力があり業界をリードしていける酒造所のマーケティングを支援する一方、厳しい経営が続く酒造所には中小企業診断士を派遣し助言・指導することで経営改善を促す。
泡盛全体の認知度向上に力点を置いた従来の施策から転換し、出荷量の減少が続く泡盛の「V字回復」を目指す。
経営基盤が強い酒造所の支援に向け、県は2016年度から、戦略的な販路拡大に向けた経費の一部を補助する琉球泡盛マーケティング支援事業を実施している。17年度の予算額は約1800万円で、採択要件に企画を提案する酒造所の経営実態の分析を盛り込み、リーディング企業の育成策を強化した。
大都市圏で泡盛女子会を開いておしゃれな飲み方を提案したり、県内で増えるリゾートウエディングの乾杯に泡盛を使ってもらう取り組みなど5件が採択され、新市場開拓を目指す。
一方、経営が厳しい酒造所には「琉球泡盛産業経営改革促進事業」を12月から始めた。
泡盛の出荷量が減少し経営環境が厳しさを増す中、主体的に経営改善に取り組む意欲がある酒造所を募り、中小企業診断士を派遣して再生を支援する。予算額は約1200万円。
県酒造組合が昨年初めて公表した14年時点の泡盛製造業45社の経営状況によると、営業利益が5千万円以上の会社は5社に限られる。500万円以下が27社を占め、うち赤字経営だったところは15社あった。
16年の泡盛の総出荷量は前年比2・9%減の1万8694キロリットルとなり12年連続で減少した。最も多かった04年は2万7千キロリットルを超えたが、15、16年は2年連続で2万キロリットルを割っている。
県は従来、県酒造組合が開く県内外の泡盛試飲会開催を支援するなど泡盛の認知度向上に力を注いできたが、成果につながっていない課題があった。
県ものづくり振興課の神谷順治課長は「各社の状況が違い、一律に扱ってもうまくいかない」とこれまでの施策を見直す理由を説明した。
酒税軽減措置が2年に短縮された中「泡盛製造業は特に離島では雇用にも直結している。経営実態に合わせた支援を行い、泡盛の振興につなげたい」と狙いを語った。