みどりのスケッチブック

いなかのくらしと身近な自然のスケッチブック。

ベトナム珍道中記 夜のバス編(ハノイ→フエ)

2005年08月21日 | おでかけ
♪あ~~夜~のバ~スが~ぼ~くをのせてはし~る
(by陽水)


ということで、マニアックな歌が頭をよぎる夜のバスは
ギュウ詰めのままバス停を出発したのだった。

しかし町を出るまでに所々で停車し、乗客は増えていく。
最初に停車した時には白人さんのカップルが乗り込んできた。
二人はあまりのギュウ詰め具合に唖然とした様子だった。
すると幸運なことに、隣のワキガ青年が反対側につめてくれた。
最後尾は5人掛けだったので、つめればもう一人座れたのだ。
車内もつめればまだ何人か座れるようだった。
そこでカップルは最後尾には男性が、シート席には女性がそれぞれ座わることになった。
私の隣は毛むくじゃらで体格のいい白人男性になったが
それほど臭いも無く、正直助かったと思った。

そうこうしているうちに、バスは町を抜けて走り出した。

南へ向かう道路は舗装はされているようだが、大変なでこぼこ道だ。
ものすごいスピードで走るバスは、でこぼこに乗り上げるたびに大きく上下した。
まるでジェットコースターだ!
乗り上げるたびに意思に反して両手が万歳状態になる。
ここは遊園地か?!
しかも相変わらずのクラクションの嵐だ。
外灯も無いような夜道をぶっ飛ばすバスは、原付バイクを蹴散らしながら無茶な追越を繰り返す。
執拗なクラクション「パァー、パパパパパパパパ!!」
まるでファミコンの連打みたいな腕さばきだ。
無茶な追い越しでトラックを追い越す。
追い越しと同時に対向車がすれ違う。
対向車のライトはバスのわきスレスレを走り去る。
隣では恐怖にかられたMエモンが小さな悲鳴を上げる。
『よく海外の旅行先でバス転落で死亡とか言うニュースあるよな・・。
あれってこういうことだったのか。』
妙に納得した。
こんなんで事故はおきないんだろうか・・・?
そんな事を考えていると、なんだか急にスピードが落ちた。
「なんだろう、料金所?検問?」
どういうわけか地元のベトナム人たちもそわそわし始めた。
少し先に進むとそこには・・・



なんと、道路の片側に転倒したスクーターが。
どうやら車にはねられたようだ。
壊れた部品が散らばっている。
バスの乗客たちは立ち上がって窓の外を興味深そうに眺める。
私達の背中は凍りついた。
「やっぱり事故るんだね・・・。」

夜中バスの爆走は続いた。
Mエモンは不安と排気ガスの匂いでほとんど眠れなかったらしい。
私はあろうことか、ジェットコースターのような揺れがだんだんと心地よくなっていた。
しかし、ベトナムのバス旅行でのカルチャーショックはまだまだ続くのだった。

バスは郊外に出ても停留所に停まり、お客を増やしていった。
客は乗り込んでくるが、もう座席はいっぱいだ。
すると、運転手がどこからか折りたたみいすを取り出してきた。
「ま、まさか・・・!?」
運転手は通路の一番奥にいすを構えると、乗客をそこへ座らせた。
「それって補助いすってことーーーッ!?」
急ブレーキかけたら飛んでっちゃうじゃん!!
私達は日本ではありえない光景に愕然とした。
しかしその後、更なるありえない光景を目にするのだった。

乗客を乗せて走り出したバス。
しばらくすると、若い女性がなにか騒ぎ始めた。
乗務員と討論している。
何かを嘆願しているようだ。
座席が込んでいるから文句を言っているんだろうか?
すると女性は突然席を立ち、座席の上の荷物棚から何かを引っ張り出した。
なんとそれは、ゴザと枕だ!!
女性はおもむろに通路にゴザをしくと横になって眠り始めた。
「ウソだろー!?」
急ブレーキかけたら飛んでっちゃうだろ!!
なんちゅう光景だ!しんじられない~。
面白過ぎる・・・。

夜のバスの旅は、暗闇とすれ違うヘッドライトの光で
まるで非現実のようで、何もかもが夢の中のようで・・・
非常に面白かった・・。

夜中、バスがサービスエリアに止まった。
時計は1時か2時ごろだ。
サービスエリアといっても、昔のドライブインのような感じだ。
駐車場には似たようなバスがたくさん止まっている。
トイレに行こうと外へ出ると、目の前には食堂があり
信じられないほどたくさんの人がガツガツと食事をしていた。
こんな夜中になんでそんなに食べられるんだろう・・・。
そんな様子を横目にトイレへ向かった。

トイレへ向かうだろう人たちについていくと階段があり、
下った先にはコンクリートの小さい建物があった。
どうやらここがトイレらしい。
明かりは無い。
「うへ~、何でこんなに暗いの?」
その理由はすぐに分かった。
ここはベトナムに着いて初のベトナム式トイレだったのだ。
ベトナム式トイレとは、便器も何も無いただの四角い部屋だ。
どういうシステムになっているのか理解不能だが、とにかくそこで用を足さねばならない。
美人のおねいさんも、おばちゃんも仕切りも無い四角い部屋で何の躊躇も無く用を足していく。
あろうことか部屋の外で用を足すおばちゃんたちもいる。
男の人が隣を歩いているにもかかわらずだ・・・!
もちろんちり紙なんて使わないし、動作も異様に素早い。



少しひるんだが、用を足さないわけには行かないので郷に入れば郷に従った。
ベトナムって、不思議な国だな・・・。
少し哀愁を感じた。

バスは再び走り出し、所々で乗客を拾っては走り続ける。
私の隣の白人は肘掛を奪い、こちらによりかかってくる。
ワキガよりはましだが、なんだか腹が立つ。
ぐいぐい押してやった。
眠っては覚め、眠っては覚めながらバスの夜が過ぎていった。
コメント (12)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夏の終わり | トップ | いちじく »

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
きっとダメ (あっつぁん)
2005-08-21 19:14:49
oinokoさぁん、こんばんは~

あっつぁんは、きっとベトナムはダメだわぁ

バスも酔っちゃう。



すごいですよ、本当に、oinokoさんって!!



この先、ちゃんと目的地に着けたのですか?

なんだか心配になってきた。。



あ、テンプレート変更したんですね♪
返信する
トイレ (ha-chansan)
2005-08-21 21:00:49
よく、夢にトイレが出てくるとき、すっごく汚れていたり、便器がなかったり、外から丸見えだったり。

それで、用が足せなくて、幸いおねしょもしないで目が覚めるわけですけど、このベトナム式のトイレに慣れてしまうと、そんな夢を見て目覚めたとき、どうなっているかわかりませんね。

考えるだけで恐ろしい。

やっぱり、私もベトナムは行っちゃダメかも?
返信する
漫画 ()
2005-08-22 20:22:01
なかなか味のある陽水ですね。

事故現場も真に迫っているし、ベトナムトイレもう~んと感じが出ているし、

オイノコ漫画が炸裂していますね。

迫力満点のベトナム旅行ますます期待できそうです。

中国もそうですが、トイレについては、強烈な話題が尽きないですね。

オイノコさんは結構辺境の地向きかもしれませんね。
返信する
すごいね~! (ミケ)
2005-08-22 21:41:57
バスの通路にゴザをしいて寝るなんて、

日本では考えられないよね。

すごいなぁ…バイタリティがあるというか。

トイレの絵、すごく分かりやすいね(笑)

中国と似てるな~って思ったよ。

陽水の絵といい、いい味出してるね!(笑)
返信する
あたしも遠慮したい (やぶちん)
2005-08-24 01:04:24
野ションならまだ許せるなぁ。野ション。何回か経験あるけど。あえてココって決められちゃうのはねぇ・・・。なんにしてもオクニ柄なんだねぇ、それを味わうのが旅なんだねぇ。
返信する
あっつぁんさんへ (oinoko)
2005-08-24 21:59:06
おひさしです~。

ベトナム、慣れると楽しいですよ♪

私も結構酔いやすいタイプだけど大丈夫でしたよ。

緊張感があったからかな?(笑)

最後の方は揺れるのが楽しかったです。
返信する
はーちゃんさんへ (オイノコ)
2005-08-24 22:03:13
はーちゃんさん、すごい夢見ますね。

そういえばトイレの夢は最近見てないなー。

小さい時はトイレの夢でおねしょしたことありますけど。

ベトナムトイレとおねしょの関係を考えると、たしかに脅威かもしれませんね。(笑)

慣れる前に帰って来て良かった!
返信する
燦さんへ (オイノコ)
2005-08-24 22:10:08
陽水わかりましたか?(笑)



本当は夜のバスの写真があったらよかったんですけど

夜間は写真を撮っていなかったので、全部まんがになってしまいました。



辺境の地って結構好きですよ。

オイノコ探検隊結成しましょうかね?

隊長:オイノコ

隊員:オイノコ

きっとこんなかんじですが。
返信する
ミケちゃんへ (オイノコ)
2005-08-24 22:13:27
ねー!すごいでしょ?

寝てるポーズのままぶっ飛んでいく所を想像して

お腹が痛くなるまで笑っちゃったよー。

面白すぎるよね。

トイレの絵は描くべきか悩んだんだけど・・

やっぱR指定出さないとだめ?



返信する
やぶちんさんへ (オイノコ)
2005-08-24 22:17:37
野ションなんて、大胆な!!

せめてNションとか野○ョンとか・・・。

赤裸々スケッチブックになってしまうじゃないですか!



衝撃告白、やぶちんNション疑惑!?



いや、私も確かにしたことありますけどね。

結構開放感があって気持ちいいんだ、これが・・・。

返信する

コメントを投稿

おでかけ」カテゴリの最新記事