おへそのひみつ 

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ルー=ガルー  忌避すべき狼<京極夏彦>

2005年08月02日 | 
loup-garou ルー・ガルー(仏語)
化物(夜間狼に化けてさまよい悪事を働く伝説上の怪物)



【あらすじ】
21世紀中盤の近未来、人々は生き物を殺すのをやめて合成食品を食し、外部との接触はほとんど端末操作によって行われ、それらはすべて社会に管理されていた。
そうした中、14、5歳の少女を中心とした連続殺人事件が発生し次第に少女達が巻き込まれていく。「友情」を知らない、「リアルな世界」を知らない彼女達は何を求め、どこへ向かっていくのか。(2001年6月初版)

かなり読み応えのある長編作品(分厚いハードカバー^^)
京極夏彦の作品で近未来が設定?という事で初めは多少の違和感を感じたが、舞台は違ってもやっぱり京極作品だなと感じさせるものが随所に見られた。人物の設定もそうだし、例えば少女達が「殺人」の是非を問う場面等などからもそれが伺える。

前半、凄惨な殺人事件がおこっているにも関わらず、リアルな世界に生きていない少女達は無機質で、世界観に現実味が感じられないせいか、仲々感情移入できなかった。(学校がない、友情がない、生き物を知らない、家族間の描写がない・・・など)

その分、物語後半の少女達が悪に立ち向かっていくシーンでは、人物達の躍動が魅力的に感じられ、思わず一気に読み込んでしまった。ただ、戦闘や破壊の場面は、アニメ的な世界をどうしても彷彿させてしまうが。

本作品ではユニークな試みとして、近未来設定をアニメ雑誌から公募し、それらが用いられている。(警察、病院、学校、通信メディア、未来の死語など)
この影響はやはり大きかったのではと思う。

そんな想像上の未来設定の中で、20世紀の遺物として描写されている中年刑事や伝書鳩等はかえって新鮮に感じられた。















 

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