気が大きくて気が弱いデザイナーの会社設立日記

大学在学中ですが、京都で「建築&ウェブ」のデザイン会社を友人4人で設立しました。

東京国際フォーラム「くじら」

2005-11-01 22:43:12 | 気になる建築
山手線の東京駅と有楽町駅のちょうど間にある「東京国際フォーラム」です。設計はRafael Vinoly(ラファエル ヴィニオリ)。日本ではたぶんこの建築しか作っていません。
はじめてみたとき、白い骨格の美しさと、木造風仕上げをしたルーバーの組み合わせで形作られたとても大きな空間に度肝を抜かれ「東京ってすげえ」と思わせられました(^.^)。とてつもなく大きな空間で、この大きさを体験できるところは日本では少ないでしょう。またとても静謐な空間です。駅のスグ近くにこんなに静かな場所があるというのも素晴らしいこと。たまに訪れては、いすに座ってぼーっと上を眺めています。このアトリウムに沿って用意されている中庭にも、いつも多くの人が憩いの時間を過ごされています。
タイトルに書いた「くじら」。
これは私の友人がつけた愛称です。その友人は建築とは無関係な職業についているのですが、この建築のことがずっと好きで、親しみを込めてこう呼んでいました。その大きさとシルエット、そして骨格から連想されたであろうこの愛称を、私もとても気に入っていて、そう呼ぶようになりました。
GAから出版されている「現代建築○と×」の中で、建築家「磯崎新」が東京粗大ゴミのひとつと言われたことでも有名です。それもそのはず、このでっかいアトリウムは、隣接している劇場やホールのための、エントランスホール兼階段室なのです。機能としてはそれだけ。そのためだけに、膨大なお金をかけて建設し、維持している。そりゃ粗大ゴミと言われても仕方ないですよね。特に納税者の立場になれば。でも、この空間には確かな魅力があります。お金はかかるけど、こういう空間はあってもいい。無駄な公共建築と一緒にされる向きもありますが、この建築の持つ上手さと、空間の質は、評価されてしかるべきものではないかと思っています。東京駅・有楽町駅・日比谷駅に行かれた際にはぜひお立ち寄りを。

撮影日:2005年10月30日

参考ウェブサイト:
ARCHITECTURAL MAP 東京国際フォーラム
http://www.archi-map.net/~tks_design/jp_tokyo/forum.html


京都:東福寺

2005-10-16 17:15:26 | 気になる建築
さてさて、京都ももうじき紅葉シーズンになり、また町中に人がごった返す季節がやってきました(^.^)今年は忙しくてもいくつかは見に行こう!と思っています。
写真は3年前の東福寺。今年の写真じゃないのでご注意を(..;)
東福寺は紅葉の名所ですけれど、この年の紅葉は東福寺だけでなく京都中、本当にキレイで当たり年だったと思います。恥ずかしながら、この時が初の東福寺でした。私はもちろん紅葉目当てでもあったのですが、写真2・3枚目の市松模様の方丈庭園もすごく楽しみでした。この市松模様、本当にいろんな京都の写真集などに登場していますよね。桂離宮の市松模様のふすまと並んで、かなり有名な建築関係の市松模様に入るのではないでしょうか。実際に見ると、市松の石よりもずいぶん高く、こんもりとふくよかな感じで苔がかぶっていて、やわらかい印象でした。また気がついたのは、石の角と角がくっついていないんですね。角と角がひっついた方眼のようになっているわけではない。それが絶妙な間というか、窮屈でない感じを作り出しているんだなと思いました。また手前から向こうに行くに従って、石がまばらになっていきます。あたかも石が動いて散っていったかのような動きのあるデザインだと思いました。やはり昔の日本のセンスには、本当にいつも驚かされますね。

撮影日:2002年11月24日

シャネル銀座店

2005-10-10 05:16:24 | 気になる建築
 予想通りなかなか時間が取れず、本当にたまにの更新になってしまいますね。油断するとすぐに何週間も経ちますね。今日は久しぶりに仕事をほぼしない日でした。しかしノーパソのメンテをしてたんですけど(..;)そんな中、せっかくのお休みだったので、思いついたように更新。

 いろいろな刺激を求めて、よく東京に行きます。やはり京都ではなかなかあり得ないようなものがたくさんありますし、たとえば店舗のデザインでも更新が激しいですから、新しい今のデザインにふれられますしね。

 本題ですが、写真はシャネル銀座店です。見たいと思っていたのですが、なかなか夜の銀座に行くタイミングがなくて、この夏に見ました。ガラス張りのファサードの裏にLEDを数多に使用していまして、基本的にはずっとイメージ映像が流れています。開店当初はコレクションの映像だったりしたようですが、私が見たときは「泡」の映像でした。私は通りの向かいから座ったり写真を撮ったりしながら10分ほど眺めていました。けっこう立ち止まって見上げている人は多かったですね。ちなみに音などは流れていません。泡が浮かび上がっていく静かな映像は、高級感とか落ち着いた感じでした。
 正直、商業施設の更新頻度って早いですから、これだけ建築と一体化した液晶ディスプレイを作ってしまって、飽きられたらどうするんだ?っていう心配も感じました。ただこのスクリーンは「モノクロ」なんですね。またドットもかなり荒い感じ。技術的に見れば新鮮な感じはしませんでした。モノクロ、しかもドットの荒い状態としたことは、かえってよかったのかもしれません。それは今の世でもモノクロ写真やトイカメラの絵の魅力を感じるように、このディスプレイは技術が進歩したときに見ても「絵」として成立している可能性があるのかも、と思ったのです。表現手法を絞るということは、映像制作側の工夫を誘うことにもなりますしね。荒さや色味にセンスを感じたので、コスト削減の結果だったのかもしれないけど、将来陳腐化させないようにというのは、設計段階で意図されていたのでしょうね。
 やみくもに最新技術を使うのではなく、少し使い古された技術を使う。特にライフサイクルの長い建築では、よく考えないといけないことですね。ウェブでも使い古されたテクノロジーを使いこなしているサイトが良かったりします。最新の技術にチャレンジしながらも、ひとつふたつ古い技術を使いこなす。とても重要なことを感じさせられた建築です。

撮影日:2005年7月17日

箱根ポーラ美術館

2005-09-13 22:30:44 | 気になる建築
箱根にあるポーラ美術館です。設計は日建設計+安田幸一。2004年日本建築学会賞・作品賞を受賞した建築です。前評判通り「とてもよくできた上手な建築」でした。キレイです。ディティールも行き届いています。建築自体は地中に埋没していて、1枚目の写真のエントランスだけが飛び出て見えます。ここからエスカレータで下がっていくアプローチです。3層~4層の吹き抜けの壁面全面が「ガラスの光る壁」になっているところは、見に来て良かったと思わせてくれました。SFチックです。心の底から感動する建築というわけではないですが、すっきりとした収まりにはため息がでました。またかなり奥深い山の中なので、行ったときには深い霧に包まれており、帰り際暗くなってからのぼやっと光る様は幻想的でした。<2004年12月12日見学>

関連:株式会社ポーラ化粧品本舗 の 受賞を伝えるページ


旧帝国ホテル フランクロイドライト

2005-09-07 00:34:21 | 気になる建築
この写真は帝国ホテルのエントランス。
近代建築巨匠のいとりフランク・ロイド・ライト設計のかの有名なホテルですね。
2005年1月20日に見に行きました。
愛知県の明治村にエントランスの一部が保存されています。
エントランスホールの一部とは言え、それだけでも十分感動ものでした。
さすがライト。本当にデザインの密度が濃い。全部残っている状態をこの目で見たかったものです。

旧東ドイツのパネル工法団地

2005-08-19 03:25:12 | 気になる建築
これまで本文に何の関係もなく、気になる建築をイメージとして挿入していましたが、
ひとつずつ抜き出して「気になる建築」カテゴリにすることにしました。

この写真は、旧東ドイツのエリアにある、チューリンゲン州、ライネフェルデ・ウォービス市にある
パネル工法団地です。
第二次世界大戦後に作られた社会主義時代の労働者のための団地です。
その名の通り、パネル、つまりプレキャストコンクリートのパネルでできています。
日本の多くの団地の鉄筋コンクリート造とは大きく異なる点です。

老朽化が激しく、また平面プランが狭すぎてほとんど現在の状況に対応できなくなってきました。

そこで環境先進国のドイツは、つぶして建て替える、という方法ではなく、
「団地を再生する」選択をしました。

パネル工法ですから、けっこうあっさり部分的に解体することができるんですね。
5F建てだった建物を削り取って、3F建てにしたりとか。
200~300mもの長さの巨大な住棟を羊羹のようにざくざく切って
間引くような感じで、ポイントハウスと呼ばれる、棟のような住戸にしたりとかしています。

この思い切った再生は、見た目にわかりやすく、また効果もはっきりと現れていることもあり、
ライネフェルデ市はドイツの都市計画賞のようなものを受賞しているとのことです。

なんで、いきなりこれを取り上げるのか、というと、
うちの4人の社長のうちの1名が、ここライネフェルデ市に1年間の留学をしているからです。
そして、僕らはいまここを対象としたコンペに、ウィーンの建築家と共同で
出そうと日々案を練っています。