The Place

自分の言葉で、ゆっくり語ること

同窓会にて

2008-12-29 15:16:20 | 日記
一通の招待状が、僕を故郷に呼び戻す。

横浜まで地下鉄で出て、そこから湘南新宿ラインに2時間乗って、高崎で降りた。

20歳まで在籍していた学校のクラス同窓会だ。

もう5年経ったというべきか、まだ5年しか経っていないというべきか。

会場はホテルの11階の一室で、絨毯が敷き詰められた長い廊下を抜けた奥にあった。

部屋には大きな丸テーブルが3つ並び、真白なテーブルクロスが広げられている。

その周りには、刺繍のついた白い椅子が6つずつ並べられている。

テーブルの上には、折りたたまれた真白なナプキンと、透明なシャンパングラス。

天井に埋め込まれたスピーカーからは、当たり障りのないピアノ三重奏が始終流れている。

その音量は、会話の邪魔にならず、かつ、会話が途切れたときには間を埋めてくれる程度に設定されている。

部屋の隅にはウェイターが2人も背筋を伸ばして、魚のような目つきで立っている。



こういう場所でしか顔を合わせられなくってしまったことは、悲しいことだと思う。

あるいは、こういう考え方は、悲観的すぎるだろうか?

素直に、「僕達も出世したもんだ」と喜ぶべきだろうか?

僕は同窓会の間、何度もそんなことを考えていた。

そのおかげで、みんなが話してくれる近況は、あまりすんなりと頭に入ってこなかった。

みんなに悪いと思いながらも、どうしてもその考えを頭から振り払うことが出来なかった。

きっと僕は、まだまだ子供なんだろう。



話が前後するけれど、駅からホテルまで歩いてくるときに、僕は昔のクラスメイトを見かけた。

彼は、大きな道路の向こう側に居て、派手なオレンジのジャンパーに、ルーズフィットのジーンズを穿いて、コンビニに向かって大股で歩いていた。

どうせすぐに会場で顔を合わせるだろうと思い、そのときは声をかけなかった。

でも、結局、彼は同窓会には出席しなかった。

理由は分からない。




帰りの電車に乗ると、僕はお酒を飲み過ぎていたせいか、すぐに眠ってしまった。

久し振りに感じた、強烈な眠気だった。

もう少しで、降車駅を乗り過ごしてしまうところだった。