~The Night Shadow Allows You~

月の水面に 映りし君の 愛でき姿は 己が命の 容なるかな

仁義

2009年05月17日 | diary
最近、地元の駅前が改装工事のため、タクシーの待機駐車スペースが一時的に移動されているのだが、歩行者にとっては至極不便になった。
というのも、これまでの歩行ルートをぶった切って、待機スペースを回り込むようにガードレールが敷かれているためだが、工事終了までは仕方が無いことかもしれない。
しかし、慣習というものはなかなか直せないもので、というより寧ろ、迂回ルートをわざわざ歩かせる事に問題があるため、一向に歩行者は待機駐車スペースを横切って歩行する。これは仕方が無いことだ。

ときに先日、そこである事に出くわす。
それは私も当然のようにその待機駐車スペースを横切ろうとしたときである。
恐らく、そこら界隈をねぐらにしているホームレスであろうか、ひどく薄汚れたおじさんに怒鳴られた。
「何だろう?」と思い、おじさんの言うことに耳を傾けると、「ここを横切るんじゃねえ。事故にあったらどうするんだよ!」と言っていた。
私は直ぐ「成程」と思い、迂回ルートを歩いてゆくことにしたが、そのまた直ぐ後、そのおじさんに感心した。

というのも、ホームレスに身の安全を指摘されるなんぞ、なかなか無いことである。
勿論、そのおじさんはタクシーの運ちゃん連中と懇意で、おじさんはそのように注意する事を頼まれたのかもしれないし、またそれによっておじさんに何らかの見返りがあるのかもしれない。
しかしながら、それでもおじさんの注意は的を射ている。
迂回ルートを渡りきったとき、振り返っておじさんを見たが、同じように注意していた。


世間一般では絶対、おじさんに怒鳴られたことで、キチガイの言うことと蔑むであろう。
だが私には、こういうのも「仁義」なのかもしれないと、しみじみと思ったのである。

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