~The Night Shadow Allows You~

月の水面に 映りし君の 愛でき姿は 己が命の 容なるかな

シャネルの五番~「香り」の魔力

2010年12月16日 | sub-culture
マリリン・モンローシャネルの5番を着て寝るの




不意に開いた扉からハトホルの残香が漂って来た。
この「香り」というものの持つ力というのは、女そのものの裸体以上の刺激を与えうる。
いやむしろ、醜悪な性質隠しおおせるほどの魔力というべきだろうか。

そもそも「香り」というのは人の原生的特徴に強く刺激をする。
街を歩けば、そこには様々な匂いに溢れている。
逆に排気ガスや淀んだそのような環境の中でも、人はホイップクリームや焼き鳥を焼く匂いを嗅ぎ分ける。
ユングの「アハ体験」に関するエピソードに、シチューの香りのエピソードがあるのは至極当然である。
重ねて云うが、それが人の原生的反応なのである。

さてここに来て、私は少年時代のある「香り」を思い出した。
それは私が器械体操をやっていたときに、ある少女が発していた「香り」である。
彼女の発していた「香り」の主たるものは、所詮は衣類を洗濯するのに用いた洗剤のものである。
いや、その「香り」の中に、私はその少女の本当の「香り」を感じていたのだと思う。
それは例えばホイップクリームに似た微香だったのかもしれない。

ときに何の小説だったか覚えていないが、この「香り」を述べたものがあったように思う。
それは確か最後の方で、その彼女の使っていた布団の残香でもって自慰をするとかといった感じだったと思うが、「香り」の持つ魔力というのは計り知れないものでは無かろうかと思う。