公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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撃墜情報

2020-01-10 06:59:00 | カウンター・グレートリセット

イランには176名を誤って撃墜した原因がトランプが攻撃命令したからなのか?


Iran said its military mistakenly shot down a Ukrainian plane on Wednesday, killing all 176 aboard. The statement said air defenses were fired in error while on high alert https://t.co/sg2JQfNr5h

 
Happy National Law Enforcement Appreciation Day! #LESM
内田 通夫
<time style="box-sizing: border-box; padding: 0px; margin: 0px;" datetime="2020-01-09T23:00:00.000Z" data-always-show="true">2020/01/10 08:00</time>
 

アメリカとイランが戦争という事態は、ギリギリ「寸止め」で回避されたようだ――。

 1月8日、トランプ大統領はホワイトハウスで、「イランによるミサイル攻撃の死傷者はない」として、イランへの軍事攻撃を見送った。「アメリカはソレイマニ氏殺害という勝利を得た。しかし、イランは有効な報復ができない。われわれの勝ち」というのがトランプ氏の見立てだろう。

 そもそも今回の衝突のきっかけは、1月3日未明、イラン革命防衛隊の精鋭・コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官が殺害された事件だった。イラクの首都バクダッド付近の国際空港で、ソレイマニ氏の乗っていた車列が夜間にアメリカ軍によってロケット弾攻撃されたのである。

 アメリカのトランプ大統領は、シリア、イラク、アフガニスタンなど“危険で無用な地域”からアメリカ軍を撤退させる方針で、イラク政府にもそうした内容の通告のドラフト(草案)まで作成していた。

 が、イラクのシーア派民兵がバクダッドのアメリカ大使館を襲撃する映像を見たことから、「最も極端な選択肢である」(ABCテレビ)、「ソレイマニ氏の暗殺」を決断したという。これでアメリカは撤退方針から一転、中東からしばらく離れなくなった。

ハメネイ師は涙ぐみ、言葉を詰まらせたが…

 ソレイマニ氏はイランでは、実績と人望、人気のある司令官で、最高指導者・ハメネイ師の評価も高い、懐刀だ。実質的な地位はイラン大統領の下ぐらいの存在である。暗殺の結果、イランは怒りと憤激の嵐に包まれ、約100万人とも報道された大規模な民衆がソレイマニ氏を悼み、街を埋め尽くして、復讐を叫んだ。

 イランの終身の最高指導者であるハメネイ師も、「アメリカへの報復」を誓っている。ソレイマニ氏の葬儀には、ハメネイ師ら指導者の面々が棺に頭を下げ、ハメネイ師は哀悼の演説の最中に涙ぐみ、言葉を詰まらせた。この場面は世界に報道されている。イスラム教シーア派のアヤトラ(最高指導者の称号)がカメラの前で涙ぐみ、言葉を詰まらせるシーンを見せることなど異例だ。

 イランの英語紙『テヘランタイムス』はソレイマニ氏について、「セイエド・アリー」という敬称を付けて報道している。セイエドとは預言者ムハンマドの子孫を意味する。

 イランの宗教指導者には黒ターバン組と白ターバン組がいるが、イスラム法学者で黒ターバンを着用できるのは、セイエドだけだ。イラン革命の指導者ホメイニ師(故人)やハメネイ師は黒ターバン組。穏健派といわれるロウハニ大統領ですら、それより格下の白ターバン組なのである。

 イランのシーア派には、イスラム教の殉教者を賛美し、それを見習うべきという伝統がある。イラクのカルバラで殉教したイマーム・フセイン(紀元680年)以来、信念に従う殉教を賛美することは、イランの文化になっている。そうしたイラン国民の感情には、イマーム・フセインとセイエドで、かつ、同じイラクで殺されたソレイマニ氏を重ねる雰囲気があっても、何ら不思議ではない。

 ソレイマニ氏殺害の結果、それまであったアメリカの経済制裁による物価高やモノ不足、海外への軍事介入という浪費に反対するイランの反政府運動は消え、代わりに「アメリカに死を」という殉教精神が優勢になった。

 ソレイマニ氏には、シリアで反アサド勢力を虐殺したなど非難されることは事実だが、イランからすれば、IS(イスラム国)によるバクダッド攻略を阻止し、シリアをISから守った英雄である。さらにコッズ部隊は直接参戦していないと思われるが、軍事援助・指導でサウジアラビア・UAE(アラブ首長国連邦)連合軍から、イエメンのフーシ派を守った実績もある。

 テヘランタイムスはソレイマニ氏を“アンチ・テロ・コマンダー”と賛美。そのソレイマニ氏を殺したアメリカは“悪魔”だというニュアンスがあるわけだ。

 イランには国防省が管轄する「正規軍」(陸海空軍)と革命防衛隊省が管轄する「革命防衛隊」という、2つの軍隊が存在する。ハメネイ師が管轄し指導する、革命防衛隊の地位と重要性は高い。戦況によって変化はあるものの、革命防衛隊の人員は約12万5000人。そのうちコッズ部隊の人員は約3万人と推定される。コッズ部隊の人員は戦況によって伸び縮みがある。

 さて、これからがアメリカ、イラン双方にとっての本番だ。

国連でイラン外相は「戦争を求めていない」

 アメリカのイラク撤退という流れを信じ、ソレイマニ氏殺害を想定せず、無警戒だったのがイランである。ソレイマニ氏殺害により、国内で盛り上がった反政府運動が沈静化し、アメリカに対する反感で国民がまとまったことはむしろプラスだろう。しかし、アメリカにかかされた恥を、戦争に至らぬ範囲で払拭し、体制を維持する困難が待ち構えている。

 アメリカとイランが真っ向勝負に出て、イランが勝つとは誰も思わないはず。ロシアや中国にしても、国益を捨ててまでイランにつく、とは考えにくい。

 “無難な”方法は、レバノンのシーア派武装政党・ヒズボラの指導者が語った、「レバノン、シリア、イラクでアメリカ軍人を殺害する。民間人には手を出さない」ことかもしれない。だが報復の「試し打ち」は喪が明けた1月7日に実行。早くもイランから、イラク西部にあるアメリカのアル・アサド空軍基地に向けて、15発のミサイルが撃ち込まれた。

 イラン国営テレビは「アメリカ軍人が80人死亡」と戦果を伝えるが、アメリカ側の報道では軍人の死傷者は確認されていない。この事件に関して、イランのザリフ外相は国連に、「イランは戦争を求めていない」と通告している。

 この時期にソレイマニ氏を殺害した動機の1つとしては、トランプ大統領の連邦議会下院の弾劾裁判をそらし、3月2日投票が予定される3回目のイスラエル選挙でかねて反イランを唱えているネタニヤフ首相を支援するため、と語られることが多い。

 だが、トランプ大統領のいちばんの関心を推測すると、11月3日にも予定される大統領選挙での再選である。そのためには株価の高値維持が必要だ。イランと本格的な戦争が始まると、株価に影響を与える。再選への前提条件が崩れることを恐れたのだろう。

 イラクによるイラク空軍基地へのミサイル攻撃は、アメリカへの「平手打ち」(ハメネイ師)であり、非常に抑制された攻撃で、アメリカがどう反撃するかという反応を探ったものだろう。意外なことに、好戦的な性格のトランプ大統領がイランのミサイル攻撃に対する軍事報復を見送った。

 これは一見、イランにとって有利に見えるが、実際は違う。なぜなら、ソレイマニ氏という高官を殺害されたのに、イランはそれに見合う報復ができないことを意味するからだ。

 この結果どうなるか。イランの体制は恥をそそぐことができず、国民の強硬派は体制に不満を持つことになる。加えて、ソレイマニ氏殺害で盛り上がった国民の団結は、興奮が冷めるにつれ、経済制裁による生活苦問題に再び関心が高まる。ハメネイ師がどうやって恥をそそげるか、これからの課題になったようだ。

国際政治は“見せ場”を作るプロレス?

 一方で、イランがアメリカが引き返せないレベルの厳しい報復をしなければ、アメリカとの本格戦争には至らないということが、一連の経緯で読めてきた。

 しばしば国際政治は、トランプ大統領の好きなプロレスに例えられる。シナリオ(戦略)があり、お互いに大きなケガをしない範囲で、“見せ場”を作り、観客を沸かせる。とはいえ、シーア派宗教国家のイランと、気まぐれ大統領が指導するアメリカの対決だ。

 異質な競技相手でも、あくまで本格戦争にはならない範囲で、世界が注目する見せ場が続くと信じたい。それでも、アメリカ、イランともに“手打ち”が読めなくなってきており、不安は国際社会に残る。

恥を雪ぐ?言ってることがよくわからないなあ。

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