真菌とはカビのこと。真菌が起こす病気を真菌症と呼び、最も有名なものは白癬菌による水虫だが、患部が皮膚にとどまらず全身の感染症を生じる例もある。

 カンジダ・アウリス(Candida auris)は、2009年に日本から報告された新しい真菌である。70歳の女性の耳だれから見つかったため、ラテン語で耳を意味するaurisと名付けられた。発見当初は高齢者で外耳道炎を起こす程度で、病原性は高くないと思われていたが、今やこの真菌が各国の病院や老人施設で死亡例を含む集団感染を引き起こし、世界的流行(パンデミックと呼ばれる)となっている。発見者である帝京大学大学院医真菌学教授の槇村浩一氏に話を聞いた。