禁酒法にはもう一つ現在のBLMに通じる大きな類似点がある。それは地方、州税収の半分を占めた酒税をゼロにして地方警察権力の実力を弱体化する目論見である。
南北戦争は新聞とドイツ系フランクフルターの勝利だった。19世紀に入りドイツ系移民は急激に増加した。ことに1848年ドイツ革命の敗北の次の年は別の意味で49ner,と呼ばれたらしい。リンカーンはドイツ系新聞社を買収(1859年5月、リンカーンはドイツ語新聞の「イリノイ・シュターツ・アンツァイガー」を買収)、急成長していた鉄道会社イリノイセントラル鉄道を顧客に弁護士事務所を経営しながら選挙(1860年の大統領選挙の投票率は81.2%驚異的歴代2位にメディアの影響は大きい)に勝利し、南北戦争にも勝った。ドイツ系をターゲットに大手ビール製造会社の殆どがドイツ系(アンハイザー・ブッシュ、クアーズ、ミラー、それにシュリッツなど)だったせいもあり「ビール=ドイツ=悪」という、単純かつ悪意の満ちたイメージがまかり通るというのは今で言うフェイクニュースとBLMの原型のようなものでありこういう運動は米国にとって危険である。
禁酒法が反ドイツ系の運動だったということは当たらずとも遠からずの合成された運動だろう。